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第十四話 自称未来の騎士隊長

 空色の髪色に、桜色の瞳。色合いだけなら可愛らしいし、見目も背丈が非常に見栄えがしない、いやいや大変小柄な貴族のため第一印象はショタってかんじの貴族である。

 だが攻略するうちに、この会社は何を考えている?と思うくらいに、人間性が熱い貴族であるシナリオだったのを思い出す。

 よく妹が、「SAN減るサン人気あるよー!」と笑っていたのを思い出す。

 兎に角、行動が突拍子もないのだ、この貴族。

 そんな王子だが、キャロライン姫の婿候補である。


「ディスタード様!」

「お、呼んでくれた、君か、君だな! 良い奴だな君は! 君の敵は誰だ、シルビア姫かぃ?」

「そう、あの、俺、契約獣いなくて、決闘?っていうの、できなくて……」

「このぼーくーに! 任せると良い!! つきましては、銀貨一枚」

「へ?」

「おっとこんなことを言うと金に困っているのかとか言われそうだがね、そうではない。対価というのは大事なんだよ、対価がない正義はただの自己満足の押しつけであるから! 銀貨一枚は、君がボクの正義に納得した証である!」

 そう、こういうところ! こういうとこが、あの乙女ゲー何考えてる!?って思った。

 熱血漢正義厨でありながら、金銭欲が物凄いところ。

 慌てて銀貨を支払うと、満足そうに鼻息を荒くして、ディスタードは頷いて大事そうに受け取った。


「シルビア君、弱い者虐めはよくないよ、この人は契約獣がない人だよ。今なら君の名誉を穢すことなく、負けた出来事にしてあげようじゃないか!」

「ディスタード様、あのね……まぁいいわ、面倒ですわ。ルル、あとは宜しく。また授業で宜しくね、リーチェ様。乙女の誘いは、しつこいのよ、ドレスに付いた果汁のように」

「長ったらしくて意味判らん揶揄だね、シルビア君、オシャレなこと言いたいのかぃ!?年頃だなぁ!」

「無礼者! ディスタード様は今度個人的に決闘申し込みますわ!! それでは御機嫌よう、授業に戻りますわ私も」


 シルビア姫はちら、と面食らって固まっているキャロライン姫を見やり、目を鋭く細めた。

「……どうして、あの人が……気に入りません」

 シルビア姫は踵を返し、その場からさっさと立ち去っていく。

 女性陣はほぼほぼ面食らっていたが、ささっと俺たちを避けるように去って行った。



 残った男性陣でぽかんとしていると、ディスタード様はグリフォンの背を撫でながら、俺に笑いかけた。


「この子を決闘の時だけ、君に貸してあげよう。いいかね、アッサム?」

 アッサムと呼ばれたグリフォンは、ケルルルルと鳴くと目を細め、ディスタード様に戯れる。

 ディスタード様は「イイコだ」と爽やかに笑った後に、俺の肩をぽんぽんと背伸びし叩く。

「君が決闘で呼ばれたときはボクが相手になろう、何、心配することはない! 何故ならッボクのッ熱いッハートが、燃えているからだ!」

「ディスタードと言ったか、貴様」

「そうだよ、未来の騎士隊長だよ!」

 にこにこと掴めないディスタードにイミテは顔をくしゃくしゃに歪ませて、眉をしかめた。


「チョット来い、リーチェや私達に関わるというのならば」

「うむうむ、いいだろう、何だね恋の相談かい?! それともボクの武勇伝が聞きたいのかな!? あれはそう、齢0才のときボクは産声を、いや、生命の怒りを叫んだ!」

「短時間で話を終わらせるから、はよう来い、暴走男!」

「人は常に暴走しまくるものさ! うっ、視線が怖いな、刺さる刺さる。判った、行くよ! リーチェ、君もおいで。君に纏わる話だろうから。他の皆は授業でまたなー!」


 まだ言語能力が回復していない集団に、平気と挨拶を交わして、茫然としているすれ違う一人一人に握手をしながら、ディスタード様はイミテの案内した方角へついてきた。


 ディスタード様と俺と、イミテの周囲には前に、聞かれないようにしてもらったときの半球体の結界をイミテは張っていた。



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