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夢も希望もありません

主人公視点

 私がここに来てから、一ヶ月という長い月日が経とうとしている。


 ――ガツン。


 ばったり、用水路に浮かぶアランハルトこと木崎夏帆璃きさきかほりは、いま異世界に来ています。回想シーンを現実さながらに掘り下げられたら、そりゃ知らないところから始まるのと同じなわけで、


「うるせぇぞ。さっさと仕事しねぇか」


 やたらと毛濃いおっさん(?)は、そんな私の苦労すら無視して錆びたバケツを投げてきやがった。(おまえ、知ってっか? これ三つでサブクエの納品クリアできんぞ)ゲームじゃ無くなった今もあるかは知らんけど……


「あ、はい。すみませんでした」


 そんな私は、絶賛平謝り中だ。金も貰えないのに、ほんとよくやってるよ。


「ステータスオープン」


◆□◆

種族 :エルフ

JOB:盗賊

レベル:14

デバフ:短剣装備不可

パッシブ:カリスマ


 やっぱ、変わんないか。(レベルなんて、上がらないよね)回想シーンは、魔法で栄える大陸へ向けて脱走するところで終わる。だけど私には、それがいつなのかさえ分からなかった。宿舎に戻ったって、今日もどうせくっせぇ飯なんだろうなぁ。私はこの異世界でどうするのかって考えながら、どぶさらいという労働にまじめに励む。そして時折、この高い煉瓦造りの塀を見上げる。


「まさか、こうなっていたとはねぇ」


 当初私は、テンプレ的な展開が起こるって思ってたし、ゲームの知識だってあるんだし余裕だと考えていた。だけど、そんなに甘いわけがなかった。この国は第二次産業が盛んで、工業廃水をこの用水路に排出してそのまま川に繋げて垂れ流してる。まさか奴隷の宿舎も用水路に隣接する地下で、地上に出る方法が無かったなんて、誰だ異世界なんてチートで余裕なんて言ったやつ私に謝れッ。


 しかし、こいつどうやって脱走したんだよ。


「ほんとッ! わかんないからぁぁあああ!」

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