プロローグ
俺の名前は神野翔、高校2年生。
趣味はゲーム、アニメ、ラノベ。いわゆるオタクと呼ばれる部類だ。だが、俺はただのオタクじゃない。
俺の通っている高校は日本国内でもトップ5に入る名門校で、テストも難しい。
それでも俺は毎回学年3位以内を必ず取っているし、運動も得意とは言わないが平均以上は出来る。今のところ人生に不備を感じず楽しく日々を送っている。
そして俺の頭を良くしてくれたのもオタク。テストで良い点数を取るとその分お小塚いが増える。よって軍資金が増し増し、最高のスパイラルだ。
うちの高校は2年になると成績優秀者3名に留学権利を与えられる。そんじゃそこらの留学とは違って全てが豪華らしい。
それで俺が権利をいただき、もちろん。
「留学する」
と即答した。
心を踊らせながらついに アメリカ……だと思ったのだが、どうも飛行機のなかで睡眠をとってからの記憶がない。
しかも、ここは明らかにアメリカではない。
一緒に来てた2人の生徒は?引率の先生は?
ただ、俺は大きなストリートのど真ん中で立ちすくんでいた。
さて、ここは何処なのか…。夢の可能性もない訳ではないが、夢だとしてもリアルすぎて、あり得ないほど鮮明…
町並みは良くラノベでありそうな中世のヨーロッパ。例えるならばフランスのマルセイユと言った所だろうか。街行く人は人間だが、現実には居ないような顔立ち。
一理、異世界って言うパターンもあるな。まぁ量子力学からの証明でパラレルワールドが存在するって言うぐらいだしな。
「おっ、そうだ。俺の持ち物は………よし!」
両手をパンパンと体中を触り確かめる。肩にはしっかりと鞄がかかっていた。
「えーと。左手に時計、ポケットにはスマホ、充電は………87%よかった。モバイルバッテリーも2個あるから、5回フル充電できる。あとは、 ハンカチティッシュ、お茶、菓子パン、アメ、財布、留学のしお……ん?待てよ」
『留学のしおり』と書いてあったはずの冊子が『異世界のしおり』となっている。
もしかしたら……!
翔は中を軽く見た。
すると読み書き、やるべき事、初歩的な呪文など、沢山の情報が載っていた。
「やっぱり異世界なのか!?まぁ、このしおりがあってよかったよ。とりあえず1ページから読むか」
【財布を確認】と書いてある横に硬貨の絵と価値が書いてあった。
「財布の中は………金貨5枚、銀貨15枚、銅貨5枚と。それで価値は、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚。単純だな」
すると、【財布を確認】の文字と硬貨の絵は消えて、【言語と生活呪文を覚える】と言う文字が浮き出てきた。
「覚えるのは楽勝だな」
翔はものの1時間ほどで言語をほぼ完璧に覚えた。
生活呪文も家事が楽になるようなものばかりで覚えると言ってもゲームに出てきそうな単語だったので、すぐ覚えることができた。
次に【宿を確保】マップが表示され、複数の宿屋の場所と金額が表示された。
「まー、この世界の物価とかまだ分かんないから、一番安いのにしとくか、銀貨4枚が1番安いのか。『宿屋:月下』とりあえずそこまで行こう」
街は和やかで剣を持つ者、杖を持つ者、店で商売をする者など色んな人が行き交う。そんな光景に見とれていて
「うっ……」
急剣を持つ冒険者らしき人にぶつかってしまった。━━いや、性格にはぶつかってきた。だろう。
「おいおい、俺にぶつかるとは良い度胸してやがるぜ。金を出せ、それで許してやる」
「あぁ、当たりやか。忙しいから失礼。俺も当たって痛かったんだ。お互い様だろ。じゃあな」
「俺に抵抗するのか、中々の度胸だな」
男は剣を抜き、構えた。
なんだろう、この何処でも有りそうなテンプレ展開。━━悪くねぇ!
「良いだろう」
━━さっき冊子をチラ見したときに火の呪文の唱えを覚えたから使ってみるか。
男が剣を振りかざした瞬間、急かさず翔は呪文を唱えた。
「ヴェーニッフィフレイム!」
すると翔の手から火が勢い良く放たれ、剣を溶かした。
「おぃ………何で鉄の剣を溶かしてるんだ…。ヴェーニッフィフレイムは火起こしの呪文だぞ…」
「ほぉ、かなり使える呪文だな。鉄の剣か、それなら俺から出た火は1538℃以上。恐ろしいな」
━━あれぇ…おかしいな…。猫だましするつもりだったが、こんなの想定外だ。まさか自分の手が溶鉱炉と同じとは。
「恐ろしいどころじゃねえ、俺が悪かった!謝るから許してくれ」
そう言って男は走って逃げていった。
周りの民衆がざわめいているのを無視し、騒ぎの場所から遠退いた。
その後、宿屋に着き、銀貨4枚を払い、宿を確保した。
時間を聞いたところ、まだ午前9時だったのが幸運だった。
時間については日本より3時間ほど早い時間だが、1日24時間なのは一緒。
そして、何より時計もこの世界にある。
これからどうすれば良いのか曖昧なまま翔の異世界留学生活が始まろうとしているのだった。