ミニ人物紹介(801 ガルマニア帝国の興亡(43) ~ 850 ガルマニア帝国の興亡(92))
改稿作業がサブタイトル850まで来ましたので、十七回目のミニ人物紹介を入れます。
また、登場人物の所属はこのパートでのものになります。
尚、ここまでのネタバレがありますので、ご注意ください。
【中原】
この物語の舞台となる世界。
別名を『豊穣神の箱庭』というように、肥沃な穀倉地帯。
西の端はスカンポ河、北はベルギス大山脈、東はガルム大森林、南はアルアリ大湿原に囲まれている。
大湿原の南側にあるスーサス山脈のさらに南に沿海諸国がある。
スカンポ河の西側には辺境が広がっている。
中原は、乾燥した西部と湿潤な東部、肥沃な北部と痩せ地の南部、という二つの軸によって、西北・西南・東北・東南の四つの地域にわけることができる。
【魔道について】
中原には魔道という技術体系が存在する。
人間が本来持っている理気力を使うものとされている。
また、マオール帝国には、独自に発達した東方魔道がある。
波動:掌からロゴスを放出し、相手に衝撃を与える。
発火:指先を口元に当て、息を吹きかけることで火を出す。
隠形:周囲の色彩に溶け込み、姿を消す技。上級者になると、微かな気配すら感じさせない。
浮身:文字どおり身体を浮かせる技であるが、垂直水平の移動だけでなく、所謂飛行までを含む。
跳躍:瞬間移動。但し、大きな距離を移動すると航跡が残るため、中継点を取って、ジグザクに進むことが多いため、時間がかかる場合がある。
転送:人や物を瞬間移動させる。
結界:一定の区域内を進入禁止にしたり、中の話し声が外に聞こえないようにする。
時渡り:時間移動。但し、禁じられている。
隔力:空間的に離れた相手を掴んだり、物を持ち上げたりできる。
鬼火:指先に炎を出して周囲を照らす。上級者になると、指先から離して移動させることもできる。
言霊縛り:言葉の暗示により、相手の行動に制限を掛ける技。技を掛けた人間が解除しない限り、無効にすることはできない。
潜時術:サンジェルマヌスが得意とする術で、時の狭間に潜り、自由に活動できる。
但し、上下左右が閉鎖された場所でしか使えない。
尚、ここでの出来事は、術を掛けている本人以外、記憶に残らない。
識閾下の回廊:上記と同じくサンジェルマヌスが得意とする。別名『夢の通い路』。通常と異なる次元の通路となっており、精神だけが移動できる。
仮死術:大きな怪我などで動けない時、生命活動を極端に低下させ、仮死状態で仲間の救出を待つ技。
但し、予め復活を設定して置かないと、本当に死んでしまう。
幻術:暗示により、他人を操る技。効果を高めるために、魔香などを使う場合もある。
呪詛返し:幻術などが効かないアールヴ族は、それ以上の力で相手に同じ技を掛けることができる。
幻影:周りの人間に自分の分身などを見せる技。高度な術者は、幻影に簡単な受け答えを喋らせたりもできる。
消魔草:本来は若返りの妙薬とされる薬草だが、魔道を使える者に煎じて飲ませると、数日間魔道の力を奪うことができる。
虚空眼:魔道屋スルージの得意技。空間の歪を感知して、時間が経ったリープの航跡を追える。
魔種:東方魔道に特有の技。頭頂部にこの種を植え込まれると、術者の操り人形となり、最後は廃人となって死ぬ。
【失われた種族】
太古、中原に高度な文明を築いていた共通祖先(ノシス族?)に、天からの災厄が襲い、生き残った人々は南の大海にあったダフィニア島に移住し、普通の人間より寿命が長く、特殊な能力を持つ十の種族となった。
その間、徐々に中原にも人が住めるようになり、周辺地域から流入したが、原始的な生活のままであった。
二千年前、一夜にしてダフィニア島が海中に没し、十種族の大部分は対岸の沿海諸国に渡り、中原にも広がった。
一般的にはこれ以降の十種族のことを、失われた種族と云う。
尚、混血が進む程普通の人間に近くなる。
両性族:寿命数百年。両性具有で、一人の身体に男女両方の人格を持つ。
尚、女性形の方が魔道の力が強い。
長命族:寿命三千年。見た目は普通の人間と変わらないが、様々な能力を持つ。
但し、孤立を好むため、人間との混血は少ない。
妖精族:寿命千年。サラサラの直毛、先の尖った耳などの特徴を持つ。
人懐こく、一番人間との混血が進んでいる。
主知族:太古の時代、中原を支配していたという。
自分たちが失われた種族全ての共通の先祖であると主張している。
アルゴドラスに弾圧され、廃都ヤナンの地下に取り残されて赤目族になったという。⇒赤目族を参照。
妖蛇族:寿命二千年。大蛇に変身する。
霊癒族:寿命は人間とあまり変わらない。別名、医の民。癒しができ、薬草等の知識もある。
魔族:ダフィニア島の海没の際、絶滅したと思われていた。
【魔道神の三種の利器】
古代ノシス族が持っていたとされる超文明の道具のようなもの。
機械魔神:巨人のような機械。
口から火を噴き、目から熱光線を出す。
干渉機:後の『アルゴドラスの聖剣』
有翼獣神:実際に見た者はいない。ゾイアのことであるらしい。
【出身国不明】
ゾイア:本編の主人公。天空から飛来した光の球体が、タロスと合体したことにより、この世界に登場した。
超絶的な剣の技を持ち、獣人や鳥人に変身する。
通称、獣人将軍。
変身能力も徐々に高度化しつつあるが、心理的なショックがきっかけとなり、最初の光の球体に戻ること(=初期化)がある。
かつてサンジェルマヌスがタロスに施していた識閾下の回廊も、最初の合体の際に転写されていた。
また、この回廊でウルス・ウルスラと繋がった際、相互の入れ替わりにより、魔道や癒しを使えるようになった。
現在はバロードの参謀総長。
【古代バロード聖王国】
二千年前にアルゴドラスによって建国され、中原を統一したが、千年前に滅んだことにより、戦乱の世を招いた。
アルゴドラス:聖王。両性族。禁断の時渡りを行い、二千年の時を越えて現代に甦った。
現在は、ドーラ(妹)、または大元帥ドーン(兄)を名乗っている。
ドーラの姿の時には魔道を使うことができ、魔女ドーラとも呼ばれる。
尚、孫のウルス・ウルスラと違って、男女間の性格の違いは殆どない同型で、表裏一体である。
マルス:聖王。千五百年前、初めて聖剣でドゥルブを中和した。また、辺境伯を置き、北長城を造らせた。
ナルス:聖王。千三百年前、王都をヤナンからバロンに移した。通称、遷都王。
ボルス:最後の聖王。最初で最後のバロン大公。最初のバローニャ公。
【バロード連合王国】
古代バロード聖王国の子孫が建てた国。王都バロン。
ガルマニア帝国支配下の自治領から独立し、共和国となったが、カルス王の復帰によって、王政復古した。
赤ん坊のレウスが形式上の聖王となったが、生母レナと共にガルマニア帝国に亡命し、一旦空位となった。
現在は、ウルス王子・ウルスラ王女が政権を奪還し、新体制に移行しつつある。
カルス:王。両性族。カルボン卿の謀叛によって死んだと思われていたが、変身して北方へ逃れ、蛮族の帝王カーンとして戻って来た。
バロードを奪い返し、王に復帰した。
しかし、蛮族の長老レオンらの叛乱によって重傷を負い、ウルスラたちに看取られながら死去。
ウィナ:王妃。カルボン卿の謀叛で殺された。
ウルス:王子。両性族。男性形(弟)。ウルスラと同じ肉体を共有。現在十二歳。
カルボン卿の謀叛の際、タロスと共に国外へ逃亡し、放浪の王子となった。
サンジェルマヌスの識閾下の回廊で、ゾイア、タロスと複雑に心と身体が入れ替わったが、クジュケたちの協力で元に戻り、ゲティスベルクで行われた父の葬儀では、名演説を行った。
姉ウルスラが白魔を中和する役目を果たすため、ゾイアの身体を借りて国内に残ったが、偶々入れ替わってしまい、結果的にウルスがその役目を果たす。
また、王都バロンで大蜥蜴が暴れた際、冷気を吹く魔道によって冬眠させた。
ウルスラ:王女。両性族。女性形(姉)。ウルスと同じ肉体を共有。魔道が使える。
生後まもなくウルスラの存在を知った両親は、それを隠し、本人が物心ついてからも、表面に出ないように命じていた。
凡庸な弟に比べ、利発で大人びているが、やや感情的なところがある。
誇り高く、母国を救いたいと、女王として即位することを望んでいる。
父カルスの死去の際、偶々ゾイアと身体が入れ替わっていたため、母ウィナの姿となって最期を見届けた。
大怪我をした老師ケロニウスを救うため、ゾイアの言葉をヒントに、癒しの力を身に着けた。
クジュケ:元魔道師。共和国の外交担当参与であったが、王政復古により国外へ逃れ、ニノフの参謀的な立場になった。
その後、逃亡中のゲルヌ皇子と共にいたが、ウルス・ウルスラの許に戻った。
現在は、連合王国の統領。
アールヴ族サンサルスの曽孫に当たる。
ツイム:マリシ将軍の部下であった。カリオテの出身。元海賊。マリシに命じられウルス・ウルスラに同行して旅に出た。
ゾイアと共に、ヤナンで義勇軍を率いて戦った。
現在は将軍。
ロック:元コソ泥。カリオテの出身。幼い頃、ツイムに生命を救われた。
ゾイア、ツイムと共に義勇軍を率いていたが、ピリカを助けようとメギラ族の族長ギルガと戦い、辛くも勝利した。
現在は軍団長。
タロス:ウルスとウルスラの従者。
最初のゾイアとの合体で記憶を失い、ティルスとして暮らしていたが、記憶が戻り、逆にティルスの記憶を失った。
サイカ包囲戦でゾイアと再度合体し、またティルスとなった。
その後、ティルスの親友ベゼルの死で、タロスに戻った。
ゾイアがドーラに身体を乗っ取られた際には、ゾイアの心が逃げ込んで来て、ウルスラたちも含めて複雑に心と身体が入れ替わってしまったこともある。
現在は将軍。
シャンロウ:小太りの東方魔道師。他のマオール人と違い、被征服民族の南人。
ゲルヌ皇子を誘拐する際、上司のタンリンに捨てられ、ゾイアたちの味方になる。
トニトルス:元バロード軍の軍曹。
ピリカ:トニトルスの孫娘。実は、ニノフの異父妹。母がサナト族であったため、癒しの力を持つ。
【暁の女神】
元は野盗『暁の軍団』の砦であった。
その後ゾイアらによって陥落し、辺境からの難民受け入れの拠点となっている。
ニノフ:カルス王の落とし子。両性族。男性形(兄)。バロード共和国機動軍の将軍であった。
エオスを中心にした国造りを目指している。
ニーナ:ニノフの女性形(妹)。癒しの力がある。
ボロー:機動軍副将。ニノフの親友。常にニノフと行動を共にしている。
ワルテールの会戦で大怪我を負うが、ニーナの癒しの力で救われる。
ペテオ:北方警備軍の元哨戒兵。
将軍となったゾイアの副将を務めていたが、現在はニノフを手伝っている。
【隠れ里】
他種族と交わることを避けるため、霊癒族が隠れ住む里。所在は不明。
エマ:サナト族。隠れ里の責任者。ニノフやピリカの祖母。
リリル:エマの娘。カルス王と恋に落ち、里から追放される。ニノフやピリカの母。
不遇のまま死去。
ゲルカッツェ:ゲールの次男。正妻の子。太っており、成人しているのに甘えん坊。
チャドスらに操られてブロシウスを討伐し、ガルマニア帝国皇帝に即位。
バロードから亡命して来たレナと愛し合うようになり、皇帝失脚後は共にバロードへ逃げた。
その後、サナト族の隠れ里に移住。
レナ:シトラ族の娘。母方にアールヴ族の血を引く。
カルス王の愛人であった時、レウス王子を出産。
カルスの死後ガルマニア帝国に亡命していたが、皇帝ゲルカッツェと共にバロードに逃れた。
現在は、ゲルカッツェと共にサナト族の隠れ里にいる。
レウス:生まれたばかりの赤ん坊ながら、外曾祖父のレオンによって、一度は聖王に祭り上げられた。
母レナと共にガルマニア帝国からバロードへ移動。
母とゲルカッツェと共に、サナト族の隠れ里に移住。
レイチェル:レウスの女性形。超絶的な魔道の力を持っている。
【自由都市エイサ】
魔道師の都として千年の間、中立を保っていたが、ガルマニア帝国に焼き討ちされた。
尚、その市内の荘園の一つが、かつてバロードの直轄領であったバローニャ。
ガルマニア帝国の新帝都ゲルポリス、イサニアン帝国の首都エイサと変遷し、現在はガルマニア帝国の占領下にある。
また、その地下には古代神殿があり、赤目族の新たな拠点となっている。
ゲルヌ:ゲールの三男。ウルスと同じ年齢。
幼いながら、軍略の才があり、サイカ包囲戦を勝利に導く。
チャドスの配下の東方魔道師にエイサに誘拐されたが、クジュケらに助け出される。
そこで出会った赤目族に、クジュケと共にエイサの地下にある古代神殿に案内され、この世界の秘密の一端を知る。
額に第三の赤い目が現れ、赤目族から『魔道神のみ使い』と尊称される。
エイサで『神聖ガルマニア帝国』を宣言するが、次兄ゲルカッツェの報復に市民が巻き込まれることを懼れ、赤目族の許で身を隠していた。
そこでの修行により、魔道が使えるようになった。
また、母方にアールヴ族の血筋を引く。
兄ゲーリッヒに幽閉され、臣下になることを条件に解放された。
その後、ギルマン戦に参加したためガルマニアに戻れなくなり、エイサに身を隠している。
ケロニウス:魔道師の都であった頃のエイサの長。ウルスラ王女の魔道の師。
活発化しているンザビの動きを探るため、ウルスラと共に辺境に渡ったが、機械化したタンリンによって大怪我を負い、ゾイアとウルスラの協力で一命を取り留める。
スルージ:正規の教育を受けていないが、魔道師同様に魔道を使える魔道屋。
金のためにはどんな仕事でも引き受けるが、業界での信用は高い。
実は、老師ケロニウスの養子であったが、若い頃に家出してしまったという。
【赤目族】
元々失われた種族のノシス族であったが、アルゴドラスにイサニアから拉致され、ヤナンに連れて行かれた。歴史上、これを『ヤナン虜囚』という。
弾圧を逃れるため地下に移り住み、ヤナンが廃都となった後、地下生活のためか赤い目となった。
赤目族はずっとヤナンの地下に住んでいたが、ドーラに居場所を察知されたと勘違いし、全員エイサの地下にある古代神殿に移住した。
第一発言者:常に薄い板のようなものを持っている。
ゲルニア:ゲルヌ皇子を遠隔監視するために作られた擬体。
【ガルマニア帝国】
ガルム大森林の野人とも言われるガルマニア人(ガルム族)が建てた国。帝都ゲオグスト。
ゲール:皇帝。大剣二本を操る双剣術の達人。
新帝都ゲルポリス(=エイサ)滞在中にブロシウスの謀叛に遭い、奮戦した後、自死。
ゲーリッヒ:ゲールの長男。母が野人であるため、野人太子と呼ばれる。
チャドスに生命を狙われるのが煩わしいと、自ら皇太子の地位を下りた。
しかし、方面将軍たちを味方に付け、帝位を奪還した。
強引なやり方で帝国を統一しようとしたが、却って方面将軍たちの離反を招き、僅か数箇月で帝位を追われ、国外に逃亡を余儀なくされる。
ミラ:元海賊『ラカム水軍』の女首領。現在はゲーリッヒの妻。
ギラン:野人ガルム族の族長で、ゲーリッヒの実の祖父。身を挺してゲーリッヒを諫め、帝位を去るよう説得した。
チャドス:元宰相。マオール人。かつての宰相ザギムを陰謀によって陥れ、その座を奪った。
ブロシウスの謀叛も、実は、裏でお膳立てをした。
皇太子ゲーリッヒの暗殺も企てたが、ゲーリッヒ自身が位を下りたため、目論見どおり次男のゲルカッツェを擁立。
そのゲルカッツェが逃亡し、ゲーリッヒが即位したため、国外に脱出した。
現在は、皇帝の従兄コパ将軍を擁立しようと画策していたが、ヌルチェンの『幽の玉』によって惨殺される。
チャロア:東方魔道師。元は暗黒都市マオロンの警備団長。
エイサも管轄していたが、ゲルヌにエイサから追い出され、帝都ゲオグストで直接チャドスに仕えることになった。
チャドスと共に国外へ脱出し、行動を共にしていた。
そのチャドスの死を隠蔽するために影武者となったが、結果的にチャドスと間違われて殺されてしまう。
ヌルチェン:親衛魔道師隊隊長タンファンの弟タンチェンと思われていたが、実は、マオール皇帝ヌルギスの第九皇子。十三歳ながら、皇帝となったゲーリッヒの補佐官となって暗躍していた。
しかし、ゲーリッヒの失脚と前後して、いずこかへ失踪した。
ツァラト:通称赤髭将軍。生粋のガルマニア人。
情に厚いが、義理堅い。
当初は、暴君ゲーリッヒに従っていたが、ゲルヌらに説得されて離反し、ザネンコフの許に身を寄せた。
カール:皇帝家直属の魔道師。死んだ兄のカノン同様、すぐに顔を忘れるほど目立たない。
隠形を得意とし、魔女ドーラにも気づかれずに接近できる。
コパ:皇帝ゲールの甥。ギルマン自治領を占有していたが、蛮族に奪われた。ガルマニア帝国軍五万を率いて奪還を試みたが果たせず、彷徨える軍となっていた。
皇帝を僭称していたが、部下に裏切られ、首を刎ねられる。
マインドルフ:元方面軍将軍。脂ぎった顔の野心家。
元々独立志向があったため、謀叛を起こす前に皇帝ゲーリッヒの追討を受けたが、コパの軍勢を盾にして逃げ、アルゴドラスの力を借りてゴンザレスを斃し、その砦を奪って立て籠もった。
一時はツァラト率いる十万を超える軍に包囲されたが、皇帝ゲーリッヒがツァラトを謹慎処分にしたため、包囲軍は内部分裂し、ザネンコフの離反もあって、逆にマインドルフの配下となってしまう。
現在は、新帝国アーズラムの初代皇帝を僭称している。
ゴンザレス:元方面軍将軍。山賊上がりの大男。
弟の仇であるマインドルフを倒そうと挑戦したが、助太刀のアルゴドラスに馬ごと惨殺された。
ヒューイ:元方面軍将軍。貴族出身。
コパ軍に攻められたため皇帝ゲーリッヒに泣きついて援軍を貰ったが、それは罠であり、行軍中にヌルチェンに殺された。
ザネンコフ:元方面軍将軍。剣豪将軍との異名を持つ。
私淑するツァラトに頼まれ、マインドルフが立て籠もるゴンザレスの砦を包囲していたが、ゲーリッヒのやり方に嫌気がさし、陣を払って自分の領地に戻った。
その後、ゲーリッヒの依頼を受けたマオール軍二万に攻められたが、ゾイアの援けと、ツァラトの参戦で撃破し、独立勢力となった。
ポーマ:方面軍四将軍の一人。ギョロリとした目をしており、短気。
ゲーリッヒの命令でマインドルフの包囲に加わっていたが、ザネンコフと対立し、同僚のジョレと共にマインドルフの配下となった。
しかし、敗走するマオール軍二万と激突し、戦死。
ジョレ:方面軍四将軍の一人。山羊のような顎鬚をしており、気弱。
同僚のポーマと共にマインドルフの配下となった。
リンドル:方面軍四将軍の一人。短い頭髪に不釣り合いな口髭を生やしている。筋肉自慢で、二の腕が見えるように袖のない服を着ている。
皇帝ゲーリッヒに従うフリをしていたが、帝都ゲオグストが手薄になったところを狙って武力で占拠して帝国を簒奪し、元首となった。
ハリス:方面軍四将軍の一人。ガーコ族で、常に白い頭巾を被っている。智将。
元々旅商人時代のマインドルフの部下であったため、敵味方に分かれた後も、情報を伝えたりしていた。
領地が近いこともあり、自分を差別しないリンドルとは盟友関係であったが、事前の相談なく帝都ゲオグストを奪取されて以来、多少ギクシャクしている。
かつて宿敵同士であったガイ族のバドリヌと恋仲となり、生まれた子供がハンゼであるが、ゾイアの仲介もあって漸く親子の名乗りを上げることができた。
【ギルマン自治領】
かつては王国であったが、諸侯の一人であったザギムによって国ごとガルマニア帝国に差し出され、自治領となった。
その後、ゲール帝の死による混乱の中、コパ将軍に占拠され、更にセガ戦役中に蛮族軍に占領されてしまった。
ガルマニア帝国軍との戦いのため、分裂していた蛮族が共に戦うこととなり、新たな国造りへ向かって動き始めた。
アンリ:最後の王。
アンヌ:アンリの遺児。
【ギルマン王国(三千年前)】
ギルマン中央の竪穴に潜む怪物蛟を退治しようとしたゾイアは、そこで『ケルビムの石碑』と呼ばれているモノリスを発見し、三千年前の世界へ送り込まれる。
ジェルマ:見た目は五歳、実は百五十歳当時のサンジェルマヌス。
ゾイアを救うため、思わず「時よ、止まれ!」と発言し、初めて潜時術が使えるようになった。
三千年後にゾイアに会うまで、『ケルビム』という名前しか知らなかった。
ルネ:当時のギルマン王。家宝として聖剣を保管していた。
第一発言者:当時のノシス族の族長。
惑星開発委員会:この時代より更に一万年前に墜落した宙船に乗っていた謎の知性体。
ジェルマの潜時術に敵わず、逆に協力を申し出る。
後のバルル。
モノリス:惑星開発委員会が救難信号を送るために造った送信装置だが、独自の知能を持っており、ギルマン中のロゴスを集めてゾイアを過去へ送り込んだ。
【北方蛮族】
辺境伯領の北の地域。ここに住んでいた蛮族たちは、カルス王と共に、中原へ渡り、バロードの支配階級となった。
しかし、カルス王死後の内戦でバロードを去り、セガ戦役の最中、ギルマン自治領を占領した。
更に、ガルマニア帝国軍との戦いによって一致団結するようになり、新しい国造りへ動き出した。
クビラ族:武器は戦大鎌。通称は北方の死神。現在2,400名。
マゴラ族:全身を刺青で覆っている。食人族。ほぼ絶滅した。
シトラ族:唯一中原と交易を行っている。実は、時渡りしたアルゴドラスの子孫。現在2,100名。
メギラ族:武器は半月刀。通称は北方の処刑人。顔がマオール人に似ている。現在900名。
キナラ族:現在1,700名。
サテラ族:現在800名。
ビガラ族:現在600名
イダラ族:現在1,900名
バサラ族:現在900名。
パイラ族:武器は三叉の銛。現在2,200名。
アテラ族:蛮族で唯一の農耕民。現在2,100名。
アニラ族:現在2,200名
ローラ:レロンの娘でシトラ族の若き族長。先祖返りした両性族。十二歳。
ローランド:ローラの男性形。弟。性格は冷酷。
ゴーク:メギラ族の若い指導者。中原の言葉が得意だが、仲間にバレないようにしている。
ガタロ:クビラ族の指導者。元はカルス王の秘書官で、流暢に中原の言葉を話す。
シンザ:イダラ族の族長の息子。発明の才能がある。
【辺境伯領】
古代バロード聖王国に北方警備を命ぜられて、この地を領有するようになった。中心はクルム城。
愈々北方の異変が迫って来ており、全住民が中原へ渡った。
アーロン:辺境伯。温厚で人が好い。現在はニノフの許に身を寄せている。
シメン:アーロンの傅役。
マリシ:北長城を護る北方警備軍の将軍。ンザビに腕を噛まれたため、自ら斬り落とした。
マーサ姫:マリシの娘。真っ赤な甲冑を身に纏い、皆から姫御前と呼ばれている。
【荒野の兄弟】
野盗であったが、現在は、辺境伯アーロンやニノフらと同盟関係にある。
ルキッフ:首領。常に片目に黒い眼帯をしているが、その目だけ色が違う。
実は、ツイムの長兄ルイームであるが、自分のせいで母が不義を疑われたため、国を出たという。
【沿海諸国】
南の大海に面した小国の集まり。カリオテが最大、ダフィネが最古の国。
ファイム:カリオテ海軍の提督。ツイムの次兄。
スーラ大公:カリオテの元首。
リゲス:ロックの従兄。頬に大きな刀創がある。
かつて頬の刀創をつけた因縁の相手として、ツイムの生命を狙っている。
【ダフィニア島】
二千百年前、一夜にして海中に没した。
サンジェルマヌス伯爵:長命族。年齢は三千歳。大魔道師とも呼ばれる。
時間の狭間に潜る『潜時術』を使う。
アルゴドラス聖王とは親友、同体の妹アルゴドーラは初恋の相手であったが、聖剣を巡る攻防で決裂し、ウルスラに命じて『アルゴドーラの魔剣』を消滅させた。
『アルゴドラスの聖剣』を預かったまま、行方を晦ませていたが、白魔の活動を一時停止するために、ウルスラの前に現れた。
ウルスラに後事を託し、死去。
【自由都市サイカ】
別名、商人の都。商人が創り、自ら統治している都市国家。
中原南西部の自由都市を糾合し、『自由都市同盟』の盟主となった。
ライナ:サイカの実質的な支配者。女性。
ギータ:情報屋。小人族。剣も上手い。
ゲルヌの誘拐事件で、敵であったシャンロウを味方に引き入れた。
ロレンゾ:辺境砂漠の遊牧民ベド族の族長。
ギータの誘いを受け、中原に渡河して来た。
【自由都市リベラ】
サイカ包囲戦でガネス将軍の副将を務めたロムは、実は、カルス王の圧政と蛮族支配に抵抗する秘密組織『自由の風』の指導者であり、サイカ包囲戦の後、一万の兵をバロードから離脱させ、放棄された自由都市を復活させ、リベラと名付けた。
現在は『自由都市同盟』の一翼を担っている。
ロム:市政長官。
フォルス:サイカ包囲戦では千人長であったが、終戦後の会議ではバロード側の代表となった。
現在はロムの副官となっている。
【ガイ族】
暗殺部族。諜報活動を得意とする。
黒尽くめの衣装を纏い、顔も黒い布で覆っている。
バドリヌ:女族長。幽閉していたカルス王に徐々に心惹かれていたが、蛮族の叛乱の際、大怪我をしたカルスをヤナンの地下神殿跡地に匿った。
しかし、生命を救うことができず、号泣する。
魔女ドーラと蛮族のレオンをその仇と思い込み、復讐するため生命懸けの呪術を仕掛け、死亡。
ハンゼ:バドリヌの息子。ピリカの患者として、ヤナンに通っていた。
ゾイアとの間に友情が芽生えている。
父はガーコ族のハリス。
【プシュケー教団】
武装宗教団。中心は聖地シンガリア。
サンサルス:教主。妖精族。年齢は千歳。
クジュケの曾祖父に当たる。
ウルスラ王女を諦め、現在はゲルヌ皇子を教団の後継者にしたいと考えている。
ヨルム:妖蛇族。サンサルスの弟子。
いつも詰襟の制服を着ている青年。
怒ると大蛇に変身する。
ファーン:本来は親衛魔道師隊隊長のタンファンであるが、ドーラのせいで記憶を失くし、更にサンサルスに暗示を掛けられて、弟子のファーンと信じ込んでいる。
【マオール帝国】
別名暗黒帝国。ガルム大森林のさらに東側にある。
ヌルハン:南北朝を統一し、初代皇帝となった。
ヌルガン:二代皇帝。
ヌルギス:三代皇帝。母はマギア族。魔眼を持つという。
【魔物など】
腐死者:北方や辺境で死んだ者の屍体を焼却しないと、ンザビ化して動き出す。
ンザビに噛まれた人間もンザビとなる。
辺境では夜間だけ動くが、北方では日中でも動ける。
現在、蛮族が去った北方を占拠し、徐々に辺境に迫りつつある。
ガンク:ザリガニのような動物。スカンポ河の底に潜み、人や他の動物、更にはンザビをも襲う。
実は、このガンクのお蔭で、ンザビは中原に渡って来れない。
ノスフェル:コウモリのような動物。吸血性だが、馴れたものは伝書鳩のような役割をする。
龍馬:全身を鱗に覆われた馬のような生き物。一日で千里を走る。
白魔:永遠に凍り付いている北の大海に突き刺さる巨大な円盤に居る謎の存在。
幾重にもズレた白い影のように見える。
赤目族は非位相者と呼んでいる。
機械兵:ドゥルブによって、東方魔道師タンリンをモデルに造られた機械兵士。
口から銃口を出し、肘や膝の関節からロケット砲を撃つ。
蛟:ギルマンの中央にある巨大な竪穴の底に棲む。
自由自在に伸びる多数の触手を持ち、その中心部に家が一軒丸ごと入りそうな大きさの円形の口がある。
口の三方からギザギザの白い板のような巨大な歯が一本ずつ出て来て少し交差するように開閉する。
実は、元々隕石孔であるギルマンを『惑星開発委員会』(=魔道神)がパラボラアンテナとして利用する際、隕石に含まれていた種子から育てた伝導蔦を、常温超伝導ができるため回路の一部に使っていたが、数千年に一度、それが突然変異を起こし、怪物化したもの。