あらすじ(プロローグ ~ 50 鞭と戦斧)
(作者註)
なんとか作りました。
これから、順次ミニ人物紹介と共に挿入して行きます。
気長にお待ちください。
古代バロード聖王国の滅亡により、千年にも及ぶ戦乱が続く中原世界。
その間中立を守って来た魔道師の都エイサを束ねる老魔道師ケロニウスは、天の一角に眩く光る点が現れ、物凄い速さで西の方に飛んで行くのを目撃する。
それが何か調べる間もなく、中原制覇の野望を持つガルマニア帝国のエイサへの攻撃が始まった。
ケロニウスは、古代バロード聖王国から伝わる秘宝『アルゴドラスの聖剣』を、牢内に囚われていたコソ泥ロックに、身柄を解放するのと引き換えに、辺境伯ソロンに届けるよう依頼する。
その頃、バロード聖王家の子孫が再興した新バロード王国は、家臣であるカルボン卿の裏切りによって国家ごとガルマニア帝国へ隷属することになり、王家で唯一生き残ったウルス王子と、その従者タロスも追われる身となっていた。
二人が遂に中原の西端を成すスカンポ河の河原まで追い詰められた、その時。
天の一角に、月をも欺くほどの眩い光が現れ、轟音と共に落下して、タロスを直撃した。
そのまま河に落ち、死んだと思われたタロスは、甦って獣人に変身し、追っ手を全て斃してしまう。
しかし、タロスは記憶を無くしており、自分が護るべきウルスにも襲い掛かろうとしたところで、ウルスに驚くべき変化が起きた。
ウルスが女性に変わり、魔道の力を振るったのである。
そして、自分は双子の姉ウルスラだと名乗る。
ウルスとウルスラは、一つの身体を共有する姉弟であるという。
しかし、タロスの記憶は戻らず、覚えているのは「ゾイア」という言葉だけであるため、ウルスラは改めてゾイアとして自分たちを護って欲しいと頼んだ。
一度死んだにも拘わらず、腐死者となって襲って来た追っ手を、超絶的な剣技で倒したゾイアは、ウルスを背中に乗せてスカンポ河を泳いで渡り、対岸の辺境へ着く。
途中、スカンポ河の河底に棲む人喰いザリガニによって怪我をしたゾイアが、痛みで獣人に変身したところへ、辺境伯ソロンの息子アーロンが通りかかる。
事情を説明しているところへ、ゾイアの血の臭いを嗅ぎつけて吸血コウモリが寄って来たため、ウルスをアーロンに託し、ゾイアは後から合流することにした。
だが、ウルスを連れてアーロンがクルム城に戻ると、既にガルマニア帝国軍に占領されており、辺境伯ソロンは晒し首になっていた。
半狂乱になるアーロンを傅役のシメンが迎えに来て、ウルスと共に自分の砦へ連れて行った。
一方、何も知らぬゾイアはクルム城に入り、ガルマニア軍に拘束されてしまう。
暴れようとするところへ、ガルマニア帝国の軍師ブロシウスが現れ、魔道でゾイアを眠らせた。
ブロシウスは、城主ソロンから奪ったというアルゴドラスの聖剣を受け取り、帰国した。
牢に閉じ込められたゾイアは、そこで、聖剣をソロンに届けたロックと出会う。
脱獄の相談をしているところへ、野盗『荒野の兄弟』がクルム城を襲撃して来たため、そのドサクサの中、二人は城の外へ脱出した。
ウルスとはぐれてしまったゾイアは、ロックの助言で商人の都サイカへ行き、女主人ライナと小人族の情報屋ギータと知り合う。
その間、ウルスをもっと安全な場所へ隠すため、アーロンは辺境と北方を隔てる北長城へ行く。
しかし、北長城を護る北方警備軍のマリシ将軍は、ここではウルスを預かれないと断り、その代わり、スカンポ河を下る早船で南の大海へ出て、沿海諸国へ行くことを提案する。
そのため、沿海諸国出身のツイムという男が同行することになった。
ウルスが既に去ったと知らないゾイアとロックは、北長城を目指ざして緩衝地帯を進む。
河を下るウルスは、暴漢に攫われそうになるが、ウルスラに交代して難を逃れる。
だが、そのことによって魔女の疑いをかけられてしまい、異端審問を受けることとなった。
そこで待っていたのは、行方不明になっていたケロニウスであった。
お蔭で魔女の疑いは晴れ、無事に旅を続けることになる。
アルゴドラスの聖剣をガルマニア帝国に持ち帰った軍師ブロシウスは、それを宰相のザギムに渡すが、それによって野心に火が点いたザギムの謀叛に巻き込まれることになった。
潜入捜査をしていた魔道師カノンにより、ザギムの陰謀は暴かれ、皇帝ゲール自らが斬殺する。
そのザギムと気脈を通じていたバロードのカルボン卿は、ザギムの死に動揺するが、ガイ族の女がザギムから預かったというアルゴドラスの聖剣を手に入れ、ガルマニア帝国に叛旗を翻し、独立を図る。
河を下っているウルスは、湊町で古い書店を訪れ、老店主の勧めで、真実が見えるというダフィネの面を被り、ゾイアとは別に本来のタロスが生きていることを知った。
そのタロスは記憶を失い、助けてくれた『荒野の兄弟』の首領ルキッフの許で、闘士ティルスとして生活していた。
北へ向かうゾイアとロックは、水と食糧を補給するため、バロードの廃都ヤナンに入る。
そこは、カルボンに雇われたガイ族が住んでおり、ゾイアは痺れ薬を塗った刀子にやられ、拉致されてしまった。
ロックの方もヤナンの地下へ落ち、不気味な赤目の一族に憑依されてしまう。
ゾイアは、共和国総裁となったカルボンのところまで連れて行かれるが、ガルマニア帝国が攻めて来るという非常事態の中、逃げ出すことができた。
ヤナンにいるロックを発見したが、憑依に気づかぬまま連れて行く。
一万五千のガルマニア帝国遠征軍は、途中で武装宗教団のプシュケー教団と諍いとなり、行軍が止まっているところを、バロードの傭兵部隊に横撃され、将軍ゴッツェを討たれてしまう。
このシャルム渓谷の戦いの活躍で、バロード人ながら傭兵隊長であるニノフが、救国の英雄として俄かに注目を集めることとなった。
旅を続けるゾイアは、食い扶持を稼ぐため、ロックの従兄リゲスの紹介で、野盗『暁の軍団』の闘士として働くことにした。
同じ野盗の『荒野の兄弟』と縄張りを賭けた闘士試合があり、一度は敗れたため、その再戦には負けられないという。
その模擬試合で、鞭一本で戦斧に勝ったゾイアだが、いずれ闘うことになる『荒野の兄弟』の相手が、ティルスことタロスであることは、まだ知らない。




