このおっさん何者!? その2
私に言わせれば、すでにこいつらとは話は終わっているし、話すことなんですでにない!!こいつらの相手をするだけ時間の無駄だ!
とはいうものの、ここを出るにはこのでかいのが邪魔で出るに出られない!!教頭一人だったら、何とか振り切れそうだが…。
「君の気持ちはわからんでもないが、ああ見えても教頭先生は柔道2段だよ…。」
だから、あんな馬鹿力だったんだこの人。さっき、迂闊に捕まった時、全然離れなかった事を思い出してみると余裕で納得はできた。
そんなことも今となってしまえばどうすることもできないのでどうでもいい。問題は…。
「さっきから、あんた何!!?人の考えが読めるからっていい気になるんじゃないよっ!!」
あー、何はなくともこのおっさんはむかつく!!何でこの私が大人の前でここまで本性さらさなきゃならないのよー!!今までうまくやってきたのにーーー!!って!!まずい!ここで私がこんなことを考えていると言うことは?
「って今も口に出してはまずいこと思いっきり考えてたでしょ?」
「へっ?」
まずいまずいまずいまずいどうしようどうしようどうしようどうしよう・・・なんか本気で何もいえない…。とにかく今は何も考えないことだ。そうでないとこいつには勝ち目はない…。
「まぁ、そこに座りなさい。」
とにかく、何も考えずにいよう。どちらにせよしばらくは逃げられそうもない。
「君は日本という国は好きかね?」
「別に…。」
「君はどこの国が好きかね?」
「さぁ~」
なんかどうでもいいことばかり質問されている。と言うか何なんだろう?このおっさんはいったい何がしたいんだろう?それを考えることすらゆるされない私っていったい?な状態だった。まさに奴隷だよな。不思議なことに誕生日とか血液型とかそういう普通な質問は一切なかった。人の心が読めるなら、別にする必要なかったんじゃないか?とこのときは気がつかなかったので、思うがままに答えていくしかなかった。もう完全に脱力していた頃。
「では、もしあなたが将来、私と同じ立場になったとしたら、どうしますか?」
「…(その人の心が読める便利な能力を利用しまくるに決まっているでしょ…。いい加減疲れてきた…。)」
「利用しますか?多分無理だと思いますがね~。ってもう疲れてきましたね~?いいでしょう。」
といわれたときだった。私はハッと我に帰った。
「ていうか今まで適当に言っていただけだけど、ほんとにそうだったの?」
おっさんがネタ晴らしをしたとき、さらに本当にたまげて目が覚めた。こいつ自分の勘だけでそんなことを言っていたのか!!?マジでこわいわっ!!って余計に目が覚めた。
そういえば…、こいつって何者だったんだっけ?…確か無職とかいってなかったか?
ふん!そんなの奴、完全無欠の負け組で人生終わっているじゃん。私なら、恥ずかしくて生きていけないわ~。
でもね…。私だったら…、私だったらね。
「では、もう一度聞きます。もしあなたが将来、私と同じような立場になったとしたら、どうしますか?」
「…ったら…、…いに……………ない…。」
「ん?もう少しはっきりいってくれないかね?」
「・・私だったら、絶対にあんたみたいになんかならない!!そんなみじめな生活してたまるものですかっ!!」
絶対にこのへぼっちいおっさんなんかに負けまいと言いきってやった。
「ほー、では君はこの厳しい社会をどう乗り切るのだね?何か具体的な案でもあるのかね?」
「何それ!?そんなのあんたには関係ないでしょ!?あんたになんか答える義理などないわよっ!!」
「義理はないかもしれないが、質問されたことをはっきり答えられないとなると面接で落とされるから、今の問いに答えられないなら、君の将来も無職確定かね?」
私は絶対に負けたくなかった、何が何でもこのおっさんにだけは勝ちたかった。だから現役無職のこいつに自分将来をかって決められるなんて絶対に許せない!!
「判ったわっ!答えてやるわっーー!!」