このおっさん何者!? その1
ところが思うようにはならなかった。
帰りの挨拶が終わってすぐに担任代理をしていた教頭につかまった。これはさすがにやばいと思った。まさかとは思うが、今まで自分がしてきた悪事がすべてばれた?いやそんなことはないはず、私はまだ瑠奈には何もしていない。だから瑠奈は私を売ることはないはずだ。瑠奈じゃないならいったい誰が?とも思えたがここはどう逃げ切るか考えないとやばいと思った。ところが私の腕はしっかり教頭先生につかまれていて、教頭先生は離してくれそうもなかった。私はしぶしぶ連れて行かれることになった。
教頭に連れて行かれた場所は、学校の応接間だった。そこにはすでに3人の大人と思われる人物がいた。3人とも知らない人だった。誰なんだろ?と思った。もしかして、警察の取調べだろうか?とさえ思えた。
教頭は何を思ったのかは知らないが、
「この人たちと何か、適当に会話してみて」
と言われた。
そんなこと言われたって、いきなり見ず知らずで初対面の大人と会話するほうが無理がある。話せることは特に何もないのでだんまりを決めていると教頭が、
「何でもいいから、君から何か質問してみなさい。」
というので、
「てーか、この人たち誰?何者?何でここにいるの?」
私は何の前触れもなく。本当に適当な質問をした。これはさすがに教頭も質問された側の大人も驚いていた。今の子はこんな質問まで平気でしてしまうわけか~?と大人たちはあっけにとられていたがそんなことは知ったことか!今の私にとって見れば、私が今質問したことだけだ。相手はおまわりなら、警戒しまくらないとまずいからだ。
「これ、大人にそんな言葉遣いをするでない。」
「教頭先生が、何でもいいとか言っていたじゃんか~」
「それでも、もう少しまともな言い方をしなさい。」
「わかったってば!うるさいなー!」
しかたなく
「ご職業は?」
問題はそこだ。警察とかだったら、昨日のことでの取調べだろうから。
「無職です。」
と3人口をそろえていうものだから、
「いい年して無職ですかー?いいご身分でー。そんなんで恥ずかしくないんですかー?」
なんかうざくなってきたから、いじりたくなったよ~。こういう場合、どうしてもこうなるよね?って教頭の表情も確認するが教頭は何も反応してないから、これでもいいのだろう。いうまでもなく場の空気は凍りついた。いい年こいた大人が子供にこんなことを言われるなんておもってもいなかったのだろうか?3人とも何も口を割らない。
数分ほど沈黙が続いたその時、3人のうちで一番年配のおじさんがようやく、
「無職なことがそんなにもいけないことなのですか?」
と口を開いた。
いけないって?はぁ~?何いってるんだ?このおっさん?ていうか息くさいし~なに言ってるんだ?この人?言うことはすでに決まっていたから、言い返そうとしたとたん、
「君は好きな食べ物は何かね?」
といきなり関係ない話に返られていた。なんなんだ?このおっさんは?ここまでいきなり話を変えるか!?
「そうじゃなくて…。」
「私はお好み焼きが好きだけど、あれいいよね~?君もお好み焼き食べたことあるかね?」
何だ?このおっさん?調子狂うな~。
「だーかーらぁー」
「君はブタかね?」
突然また何なんだ!?人のことをブタ呼ばわりかよっ!!?いい大人がとんでもないこというよな!
「ハァーーー!!??私がブタだってぇー!!教頭先生!今こいつ人のことブタよばわりしましたよね!!?ねぇっねっ聞いたよね~!!」
私はブタよばわりされてマジむかついた。教頭をマジで恨んだ。こんな奴とあわせるために私をここに呼んだのか!!?教頭はいったいなんでこんな失礼なやつと私を合わせようとしたのか?本当に意味がわからなかった。
「私、こいつのこと訴えたい!!というか人のことをブタ呼ばわりする大人が何でこの場にいるの!!?おかしくない!!?教頭先生!何とか言ってよっ!!」
教頭はだまったまま、何もいわなかった。
「お好み焼きのことだよ。」
「ハァ~?」
「お好み焼きって、ブタとかイカとかミックスとかあるけど~君はブタがすきそうだ~と一目見て思ったんだよね~。ちなみにあなたは何が好きですか~?」
「えっ?私ですか?私はイカ派ですね…。硬いもの好きですから…。」
とこのおっさんの隣に座っていたおばさんはそう答えた。
「そうですか~。私もなんとなくそう思いましたよ~。」
いったいこのおっさんは何が言いたいんだ!人の話を勝手に変えて!なんて失礼なことをしてくれるんだ!!こんな奴見たことがない!!
「いったいこのおっさんは何が言いたいんだ!!?人の話を勝手に変えやがって!こんな奴見たことはない!!って思っているでしょ?」
「!!!」
「もう私!返ります!!大事な用があるので!!と言いたいんでしょ?」
「!!!」
何よ!このおっさん!!?
「その大事な用って何ですか?」
だってよ~!つくづくしらじらし~奴!
「そこまで人の気もち読めているなら、判ってるんでしょっ!!?友達の家に行くの!!友達の家!!その子今日、学校休んだから、様子見に行くのー!!失礼します!!」
といいはなって出ていこうとした。そしたらなぜか私の行く先を教頭が阻んだ。そして教頭のサイドにはボディガードみたいな体型がいい男が二人並んでいた。
「そのことなら、すでに北村君と山田君に頼んであるから、君が気にすることはないよ。」
えっ?直子とめぐみに?いつの間に?でもそんなことはどうでもいい。私は連絡もとかに関係なく、自分のためにいきたいだけだ。
「それにまだ話は終わってない…。」