今までの経緯
とりあえず、ふーんと思うことにした。そうでないとやってられないから。
それにしてもさ~、ちょっとしたガキの悪ふざけに絡まれたぐらいのことで、勝手に傷ついて自殺なんかするものかね~。私だったら、意地でも自分が優位に立てるようにやり返してやるけどね~。案外もろいおもちゃでがっかりだわ~。まぁ、死んでしまったからにはガラクタでしかないけど~。
「…ちょっと、秋子あんた…どうするつもりよ…?」
「…別に。」
問題は、この事態をどう切り抜けるかだわ。瑠奈は一応仲間だから、これまでの歴代担任だった4人を辞職に追い込んだ首班は私だということを知っている。(それでもこれまでなぜか黙っていてくれた)それゆえに私のことを心配してくれているらしい。でもそんなもんはいつもどおり、何か聞かれたら「知りません」しらばっくれていればどうにかなる問題。というか選択肢は毎度それしかない。何も聞かれなければ、ラッキーでしかないし~。
というふうにしか、正直考えていなかった。
「…あんたそのうち…ばれるよ…。」
「大丈夫よ~そんなこと~。今までだってうまくいっていたじゃ~ん」
そうそう、今までの歴代担任の辞職劇だってうまくいっていた。
まず初代は新任男性教諭の曽我。通称ソガっちと呼ばれてクラスでは割と親しまれていた。特にノリのいい女子からのウケがよかった。そこが何かと鼻について気に入らなかった。無理やりスクハラの罪をでっち上げて退職に追い込んだ。
次に来たのは田嶋陽子似のおばさん先生ヒステリー森。顔も性格も気に入らなかったので、クラス全員で「出てけコール」をしたら、ヒステリーを起こしてそのまま二度と顔を出すことは無かった。
その次に来たのは、臨時採用にしかなれないなと子どもからでも明らかに判るトロくさそうなボヤ○キー(あだ名はまさにそれ)みたいな奴だった。こいつも精神的に追い込んだ挙句、わざと挑発して暴力沙汰を起こさせて即アウト!ちなみに本名が補屋木だったのには笑えた。
一番厄介だったのは先代のじいちゃん先生戸山。歴代先生で一番長くこのクラスを勤めたのはこの人だったな。こいつはすでに隠居の身だったので、かなりできる奴で全くの隙が無くて手ごわかった。さすがに3人もの教師が次々と辞めてさすがに問題児クラスだということに気がついたんだろうな~とあきらめていた時だった。あるとき、戸山が誰もいないところでずーっとボーっと突っ立っていたのを見かけた。私も今までの鬱憤がたまっていたので、何を血迷ったのか?戸山の後ろから思いっきり蹴りを入れてしまった。そしたら戸山はあっけなく倒れたのでそのまま逃げた。
もうバレるのも時間の問題か?と思いきや、運がいいことにあの時戸山を助けた男子生徒がなぜか戸山にけりを入れた疑いをかけられたのであった。しかしやっぱり男子生徒は無実でしかない。だから、その男子生徒の親が学校まで抗議しにしたときには一騒動あったらしい。そのときは本当にこわかった。で結果的に犯人は謎のまま、この件に関しては終わった。
いうまでもなく、戸山の方は腰を悪くしてしまったので学校には来なくなった。そして戸山の代わりに来たのが大野だった。