夏休み〜31日目〜
いきなり31日目まで飛んでますがこれも意図的です、ご了承ください
今日は夏休み最終日だった。
永久は仕方なく夏休みの課題を終わらせるため、テレビをつけながらダラダラと課題をしていた。
しかし数分前から、その手は止まっていた。
『特に重傷を負っていた高校1年生の天音 響さんは病院に搬送されたもののその後死亡が確認されており〜〜』
永久はテレビ画面を見ながら呆然としていた。
『響が...死んだ?』
永久は頭の中を整理しようとする、が、それを遮るかのように永久の携帯が鳴った。
画面を見ると、佐藤の文字が。
『もしもし永久!!お前ニュース見てみろ!響が...、響が...!!!』
『ああ、俺もちょうど見ていたところだ』
永久は、妙に冷静だった。
まるで過去に似た経験があるように...。
永久がそんな自分に違和感を覚えた時、何かが頭をよぎった。
『トラックが歩道に飛び出し、高校1年生の天音 響さんが意識不明の重態〜〜...
『もしもし永久!!お前ニュース見てみろ!響が、響が...!!!』
『何だ今の...!?...そうだ、あの時、夏休み前のあの夢...!?』
『え?夢?...そうだ、そうだよな、こんなの夢に決まってる...!』
佐藤の声を聞き、ようやく永久は電話していたことを思い出す。
『佐藤、すまない、あまりにも唐突すぎてぼーっとしていたみたいだ、何て言ったんだ?』
『あ、ああ、マジか、響の死因はわかるか?』
永久は少し黙ってから、言う。
『いや、何だったんだ?』
『何か頭のおかしい奴が大通りで包丁ぶん回したらしくて...響は楓を庇って刺されたらしいんだ』
『楓は...!?』
『響が刺されてすぐ警察が来たから楓には傷一つないらしい、そんでもって意外と冷静だと』
それを聞いても永久は楓が心配だった。
ショックで楓が自殺してしまう可能性がある。
永久はそれを恐れているのだ。
『そんなことをして救われる人なんかいない!...すまない佐藤、また明日!』
永久は通話を切るとすぐに楓にかけた。
永久は通話中かと思ったが、意外とすぐ繋がった。
『もしもし、楓か!?』
『ん?悪いが夏目、俺だ』
その声は楓とは全く違う野太い男の声だった。
『う、牛山か...、悪いな、間違いだ、忙しいから切るぞ』
牛山 大貴、とにかく巨体の永久の中学時代のクラスメートだ。
が、今はそれどころではない。
『焦って電話帳1つ上の牛山と間違えたのか...』
忘れられやすいが、楓の苗字は梅尾である。
永久は今度はしっかりと確認をとってから、通話をかける。
『もしもし、楓か?』
元級友の声を聴いて少しリラックス出来たのか、永久はさっきより少し冷静になっていた。
『うん、ナガヒサだよね?』
いくら冷静と聞いていたとはいえ、自分よりも冷静な様に永久は少し戸惑う。
『自殺するかもしれないと思ってかけたんだが...、落ち着いてるな』
『絶望して自殺なんかしたってキョウは報われないし、天国で会えるとも限らないし、てか信じてないし』
それを聞いて永久は安堵する。
『そうか、良かった』
『うん、私はキョウを諦めない』
その言葉を聞いた永久は動きを止める。
『(今...何て言った?)』
永久が黙ったことに気づいていないのか、楓は続ける。
『キョウを助けるためなら、私は何回でもやり直す』
『っ!??楓!?』
『あ、そうだナガヒサ、アンタが電話してきたのは2番、1番最初にかけてきたのはリューコだったよ、私が自殺なんかしないかすごい心配してくれた、私はリューコに謝っといたよ、ごめんって』
永久は完全に混乱する。
『は?流子?ごめん?何を言ってるんだ?』
永久は楓がおかしくなってしまったと思った。
楓は続ける。
『アンタにも謝んなきゃね、ナガヒサ、私がアンタとリューコの関係を、幸せを切り裂くんだもんね、ごめんね、けどアンタ達はそっくりだから、忘れてもまた同じ結果になりそうだけどね』
楓は笑って永久に意味不明なことを言う。
永久が何かを言おうとしたその瞬間、永久の視界が白くなった。
音が、においが、消えた。
そして永久の視界はゆっくり、ゆっくりと白くなっていき...
世界が消えた。
夏休み最終日31日目、終了。