夏休み〜15日目〜
いきなり15日目まで飛んでますが意図的です、ご了承ください
『響クンに楓ちゃんおはよー』
『おはよう流子ちゃん、今日はお祭りだね』
『おはよーリューコ!...あれ?ナガヒサは?』
夏休みも半分が経過した今日は永久達の住む街1番の祭りだ。
『あの馬鹿は...あ、いた!』
手を振る流子、楓、響に永久は無気力に手をあげる。
『あれ、佐藤クンは?』
『佐藤は何か知らんけどいなかった、連絡もつかねえ、夏休み前に見た夢じゃ一緒に行ってたんだけどな』
それを聞いた楓は笑う。
『夢の話でしょー、それによくそんな夢ずっと覚えてたね』
永久は頭を掻く。
『何でだろうな、昔からどーでもいいことをよく覚えてるんだ』
流子は永久の背中をバシバシと叩きながら言う。
『アンタの話なんていいからいいから!ほら、響クン困ってるでしょ!?』
『ぼ、僕は別に...』
こんなグダグダな4人も珍しいな、と永久は思う。
佐藤がいたら、もっと良くなっていただろうか?
答えはおそらくNOだ。
『何笑ってんの?永久』
『ん、あ、いや』
『付き合い始めた頃は照れてばっかで可愛かったのに、こんな無愛想に...』
『うるせえ、てかそろそろ行こうぜ』
すると4人は口々に言い出す。
『私金魚すくいしたいー!』
『私はりんご飴かな〜』
『僕もう疲れたから休みたいなぁ...』
『奇遇だな響、俺もだ』
『ちょっと男子共!それに永久が休みたいのはいつもでしょ!響クンと一緒にしないでよ!』
『本当に無気力だね、はい、飲み物』
歩き疲れた永久の元にやって来たのは、飲み物を抱えた楓だ。
『ああ、悪いな、てっきり流子が持ってくるもんかと』
『リューコだったら良いんかい、リューコとキョウならかき氷買いに行ったよ』
永久は一瞬だけかき氷に興味を持ったが、やめた。
頭がキーンとなる感じが、なかなか忘れられず苦痛なのだ。
すると楓が突然口を開いた。
『ねぇナガヒサ...、ナガヒサっていつも無気力だけどさ、アンタリューコが危なくなった時、本当に守れるの?』
永久は戸惑う。
『急に何だよ?』
『ううん、...キョウはね、それが出来る、私が危ない時は命懸けで、自分を犠牲にして守ってくれるよ』
永久は冷めた目で楓を見る。
『俺はアンタ達の愛とやらを否定する気はないんだがな、何で言い切れる?響が絶対アンタを守ってくれるとは限らないだろ?』
『うるさい...!!』
その声は永久の冷めた視線よりもっと冷たく、もっと熱く、そして乾いていた。
『アンタに私の何がわかるの!?』
その威圧感に、永久は少し恐怖を覚えた。
『っ...、悪かった、ごめんごめん』
すると楓は正気に戻ったのか、永久に謝った。
『その...、こっちこそごめんなさい』
『ん、ああ...』
永久は、どうにも腑に落ちない気がしていた。
自分の心の中の何かが、何かを抑えようとしているような...。
夏休み15日目、終了。