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SHIELD  作者: ミヤモト リオ
第一章 学園編
8/13

第六話 後 王都の攻防






 迷宮が崩壊した際の城というものは酷く厄介で、人員を回せば回す程魔物が集中してしまう。

 増援を送れば同じだけ魔物も集中するから、適当な人数を送るのが難しい。特に今回は半分近くの騎士が迷宮に向かっていた為、城を主語するのは精鋭達が数十人のみという状態になっていた。


 とはいえ、無論城を守るのは騎士だけではない。

 宮廷魔術師に王城警備兵、更には王都に居を構える武官達が居る。城の中に入れば近衛隊が待ち受けているし、何より城というものはそもそも防戦――特に籠城戦に長けた作りをしている。


 で、あるからこそ。

 城を守る戦いは、攻防共に苛烈を極めていた。


「ぉおおおおおお!!」


 逞しい怒号が(はし)る。

 重く鋭い剣閃が魔物の肉を裂く。骨を断つ。

 駆け抜ける勇士――の、身体に槍が突き立った。


「が――」


 足を止めたのは、致命的だ。飛来する矢が、突き出された槍が、彼の身体に穴を開ける。

 また一人、白兵部隊から死者が出た。

 群がるようにして魔物が寄り、腕を、足を、内臓を食らう。


「後方! 結界の強度が落ち始めたぞ!」


 宮廷魔術師を指揮する壮年の男が声を張り上げる。前列で攻撃魔術のみを使用する騎士団の魔術隊と宮廷魔術師達の防御は、後列の張る結界のみだ。

 その強度が落ちたと聞いて顔に焦燥を滲ませた前列が、言霊を唱える。


「《土よ》《我が魔力を喰らい》《槍となりて》《刺し貫け》《クエイク・ボルグ》」


 地面より発射された槍が、魔物を貫く。 乱戦において敵のみを狙うのに最も適した、土属性の魔術である。


 河童戦士の中で、動きの鋭かった個体が仕留められた。これによって、再び騎士が巻き返す。


 ――が。


 やはり、人も魔物も多ければ、魔物もいい獲物がいると気付くようで。

 第十階層ボス《喝破河童(ボーズマーマン)》。

 他の種であれば皿のある頭部をつるつるに禿げ上がらせた巨大な河童は、その手に持った錫杖を、振り回す。


 ――敵味方など、区別なしに。


「な――」


 漏れた声は、誰のものか。人間側に生まれた一瞬の硬直を見逃す程、二足歩行の魔物は愚かではない。


「カァアアアアアアアツ!!」


 電光石火。衝撃波を伴う叫び――かの河童の名の由来たる《喝破》と共に撃ち出された錫杖が、揺らいだ結界に突き立った。


 ビシビシ――と、高い、嫌な音。


 指揮する男の頬を伝った汗が、ぴちゃりと落ちて。


 バ、リィイイイン。


 強固な筈の結界は、硝子の砕ける音を立てて破砕する。


「く、そ――ッ! 増援はまだなのかッ!?」


 怒声。されど何が好転する筈もなく。

 勢い付いた魔物達の物量で――城門が、破られる。


「ぉおおおおおお!!」


 響く怒号は、高い雄叫びは。果たして、魔物のものなのか、人間のものなのか。

 開いた門に跳ね飛ばされ、突き出された槍に身体を貫かれ、或いは生きたまま身体を食われて、次々に城門を守護する者達が減っていく。

 ――万事休すか。

 指揮する男が、覚悟を決めて――


「ォ、オオオオオオオオオオッ!!」


 ――上がった叫びは、破壊の象徴。


 軍隊が来たわけではない。魔物が上げた声でもない。

 唯、大槌を構えた一人の男が。

 戦車(チャリオット)もかくやと言わんばかりの勢いで、突っ込んで来たという、それだけの事実。

 それだけで、あれほどまでに戦場を掻き回した喝破河童は、反応する間もなく身体の中央に大穴を開けて絶命した。


「な――」


 戦線、再びの硬直。

 そこに投じられた一石はしかし、元からいた誰かのものでも、たった今現れた男のものでもない。


「――《クルーエル・ギフト》」


 ひょい、と投げ込まれた赤い、紅い球体。正に投じられたそれは石ではなく、超高位魔術の素である。

 一瞬の収縮――そして。


 目までを灼き尽くすような、閃光。


 膨れ上がるように、爆発。


 対象を魔物のみに、正確過ぎるほどに定められた攻撃が、場を蹂躙する。

 弱い魔物は蒸発した。

 中位の魔物は爆散した。

 強い魔物は炭になった。


 恐る恐る目を開いた生き残りの人間達が倒すべき魔物は既に、殆ど居ない。


「…………《震皇》に、《魔城》」


 誰によってか呟かれたそれは、最早伝説と化した元冒険者の二つ名で。


「ふん、懐かしい名だ」


 はためく白衣は、愉快そうに言って、新たな煙草をくわえる。

 指先に灯った火は、綺麗な青色であった。



 ◆◇――――◇◆



 ぎゃりぎゃりと、金属同士が擦れる音がした。

 大振りの一撃を危なげなく逸らしたシルトが、隙だらけな河童戦士を蹴ってアルバの方に寄越す。それにとどめを刺して、アルバは恨めしげにシルトを見た。


「一応とはいえ、お前も武器を持ってるだろ。自分でやれよ」

「いや、さっきやってみたんだけど……やっぱり返り血が鬱陶しくてさ。僕には向いてないよ」

「……あのなぁ。俺だって好きでやっている訳じゃないぞ」


 アルバは呆れたように言うが、会話をしながらも返り血塗れの格好のまま次々と魔物を仕留めていた。説得力の欠片もない。


「まあ、いいでしょ別に――あ」


 とある方向に視線を固定させる。彼の目を追ってそこを見たアルバも、一瞬だけ動きを止めた。


「《赤河童(レッドマーマン)》か。第七階層だったか?」

「第九だよ。馬鹿力の奴」

「ああ……。そういえば」


 赤い巨体の河童が低く唸って、武器を構える。二人は周囲の雑魚の様子を伺いながら、油断なく腰を落とした。


「よし、じゃあ僕が隙作るから、首筋に一発頼むよ」

「応」


 言ってから、シルトは数歩右に動いた。直後に、寸前まで彼の居た場所を斬撃が通過。

 空振りして蹈鞴を踏んだ河童戦士を、アルバが仕留める。

 シルトはすたすたと歩いて、赤河童の前に立った。


 嗄れた雄叫びを上げて皿を頭に乗せた赤い大河童は剣を振り上げる。

 対するシルトは半身になって、僅かに腰を落とす。右手の大盾は、視線を遮らないよう低めに構えた。


「――来いよ、林檎野郎」


 言葉は解さなくとも、挑発されたことは解ったか――雄叫びに、微かな怒気が混じる。

 そしてその怒りのまま、河童は風をも切り裂くような重撃を放った。


「っ」


 シルトは、盾の上部をほんの少し身体に引きつける。

 そして、斬撃が盾に当たる瞬間に――


「ふ、ッ!」


 盾上部を強く横に突き出す。

 ぐわん、と金属の撓むような音がした。

 力の向きを強制的に変えられた形になった赤河童は、つんのめるようにして姿勢を制御した。


 ――あまりに大きな隙だ。


「せッ!」


 交差させた短い剣を鋏のように使って、アルバが首筋に攻撃。


 鮮血が噴き出す。


 ――しかし、浅い。


「グゥオオオオ!!」


 叫びを上げた赤河童は痛みか怒りか、恐らくは両方から、我武者羅に剣を振り回す。それらを全て叩き落しながら、シルトは落ち着いて狙いを定めていった。

 感情が剥き出しなった攻撃のほうが受けやすい――というのは、人間に限った話である。元よりフェイントなど使わない魔物の、怒りによって更に速くなったそれを防ぎ続けることは非常に困難であった。二、三弾き損ないかけ、慌てて身を捻って避ける。

 そして、好機は間もなく訪れる。


「…………ッ!」


 刃筋の大きく乱れた大振りの攻撃。

 それの右側に滑り込むように移動して、外側から腕ごと剣を弾く。再び大きく姿勢を崩した赤河童の剣を蹴って、シルトが後方へ下がった。


 阿吽の呼吸とはこのことか、抜群のタイミングで駆け込んだアルバの剣閃が、河童の頭の大きな皿に突き立った。


 今度こそ、間違いなく致命傷だ。砕け散った頭部の皿が、撒き散らされる。

 どうと倒れ臥す赤い巨体を脇に避け、二人は周囲を見渡した。


「よし、討伐完了」

「……他のも、かなり減ってきたな」


 気が付けば、徘徊していた魔物がかなり減っていた。

 ボスである赤河童を倒したのが効いたのか、或いは気付かぬ内に始末していたのか。しかし、やはり一般人や冒険者、騎士の犠牲者や怪我人も多い。あまり強力な魔物はいないとはいえ、ここまで多くの魔物が居れば相応に犠牲は出る。恐らく、学生にも犠牲者は出ているだろう。


「大分片付いてきたね」

「そうだな。……目の届く距離の犠牲者は、もう少し減らしたかったところだがな」


 二人は顔を僅かに俯けた。しかし周囲の警戒は怠らない。学生とはいえ、王都の守護は義務だ。死んでしまえばそれは自己責任であった。


「そろそろ残党討伐部隊が来る頃か」

「そうだね」


 アルバが重くなった空気を払拭するように声を上げ、シルトも瞬間の逡巡の後にそれに乗る。

 残党討伐部隊とは、その名の通り討ち漏らされた魔物を探し出して討伐する、騎士団の隊長格で構成された部隊である。大方の魔物の討伐終了後、後は自分達がやるから、と王都の騎士や冒険者に知らせて回る役目がある。因みに、彼らも最初から討伐に参加しているので、相当の体力が必要だ。

 要するに、そろそろ魔物もいなくなる頃ではないかと、詰まりそういうことであったのだが。


「――あ?」


 アルバが低い声を上げた。その視線を追って、シルトも絶句する。


「なんだ、あれ」


 魔物の大群である。一体どこから湧いて出たのか、先ほどまでの魔物に匹敵するほどの数だ。

 しかも、河童戦士のような弱い個体ではない。《吸血蝙蝠(ヴァンプバット)》に《大砂蜥蜴ギガントサンドリザード》。

 魔術師ノ墓標に多い真っ赤な蝙蝠と、蜥蜴大穴が主な生息地である砂色の蜥蜴戦士。どちらも、旋廻洞穴では滅多に見ない類の、Cランクの魔物である。

 特に、大砂蜥蜴はCランクの中でも相当上位に入る強さを持つ。人によってはBランクが妥当だという者もいるほどだ。

 それらが、二百近く。

 これは本格的にまずいんじゃないか――と、アルバが僅かに冷や汗を垂らしたところで。


「シルト、アルバ!」


 後ろから声がかかって、二人は振り返った。

 見れば、走ってきたのか汗だくで、少女を抱えたロディアが二人に駆け寄ってくるところである。合流できるとは思っていなかった二人は喜色を顔に浮かべて振り返った。


「ロディア!」


 呼びかけて近寄る。それから、彼女が抱えた少女に視線を向けた。眠ってはいるが、目元に赤い涙の跡がある。泣き疲れて眠ったと見るのが妥当なところだろう。


「この子は?」

「あ……」


 辛そうに視線を落としてから、ロディアはその少女――フィスタを見つめてポツリと漏らす。


「母親が居た避難所が、魔物に攻め込まれたみたいで」

「な!? ――避難所が!? 担当の騎士が十人は居たはずじゃ」

「あの魔物の数を見たでしょ。騎士にも冒険者にも、犠牲者は相当数出ているわ。偶々その避難所が、魔物の集中する区域にあったというだけの話よ」

「じゃあ、騎士は……」

「良くて何人か逃げたか、ってところでしょうね」


 ロディアは苦々しげに吐き捨てた。二人は顔を見合わせる。いくら騎士があまり優秀ではないとはいえ、十人もの数が全滅させられるほどとは、この王都に一体何体の魔物が攻め込んできているのか、気が遠くなる。


「……取り敢えずはロディアはその子を抱えて僕達の後ろに居てくれる? 取り敢えず別の避難所に向かって、そこを僕らで守ろう」

「そうね。それじゃ、行きますか」



 しかしそれは、直ぐに良く知った人間によって邪魔されることとなる。


「う、ぉらッ!!」


 彼らが最も警戒していた魔物、大砂蜥蜴が四体ほど纏めて吹き飛んだ。ドバッ、という異様な破砕音と共に、再び飛ぶ。あれは恐らく、大槌の一撃だ。それも、膂力のみを鍛え上げたBランク――いや、Aランクほどの強さはあるだろう。


「よう、お前ら」


 呆気にとられて立ち尽くす彼らの元に、後ろから近づいてきたのは――白衣に咥え煙草が特徴的な女性。

 ナザニアである。


「先生!?」

「おう。ラルドの馬鹿――ああいや、ラルド先生は強いだろ? あれでも昔はA級冒険者だったんだ」

「え、ラルド先生、って」


 言われてみれば、前方で更に十体程の大砂蜥蜴と吸血蝙蝠を蹴散らした人影はとんでもない巨漢だ。というか、あれは確かにラルドであった。

 まさか教師陣が生徒の担当地区まで出張ってくるとは思っていなかった彼らは再び目を剥く。


「何で先生達がこんな端の方の区域に!?」


 全員の気持ちを代弁したロディアの疑問に、ナザニアはにやりと笑った。


「いやな、今じゃあこの区域が一番魔物が多いって言うんでな。というか、他の集中した場所は他の先生方やら私等で大体処理が済んだんだよ、もう」


 はっはっは、と笑ってみせるナザニア。後は任せな、と笑って、彼女はてくてくと歩いていく。そして、魔物の群れのど真ん中まで歩いていってしまった。


「ちょ、先生!?」


 シルトが叫んで飛び出そうとして、それにアルバも追随しようとする。だが、それをする前に、ナザニアは行動を起こしていた。

 ポケットに突っ込んでいた手を引き抜き、掴んだ瓶を放り投げる。

 地面に落ちたそれは、ガラスの砕ける甲高い音を残して――魔力の爆発的な集中。

 これは――転移魔窟と同じ!?

 魔力を所持していないからこそ魔力に人一倍敏感なシルトは、それが覚えのある魔力の動きであることに驚愕した。


 だが、それは。転移の術式は。


 失われた魔術の筈、では。



 斬斬斬斬斬殲惨ザンザンザンザンザンザンザン、と断続的な、鋭く鈍い音。矛盾した二つの音が混ざり合ったそれは確かに、斬撃の音であった。

 瓶より飛び出した幾つもの剣が、槍が、刀が、矢が、棘が、薙刀が。周囲の魔物を瞬時に絶命させる。


「どうだ。転移魔窟の胃袋の入り口だけを切り取って必死こいて研究したら、ちょっとした四次元倉庫が出来上がったんだよ。流石に人間移動させることは出来ないが……中々のモンだろ?」


 中々、どころではない。失われた魔術を、唯の人間が再現しようというのである。なんという化け物なのだ、この女性は。三人は、最早何度目になるかわからない絶句をした。


「さあ――殲滅の時間だ」


 紫煙が、捻じれて空に上がる。



 ◆◇――――◇◆



 目を覚ました少女――フィスタは、王都に攻め入った魔物の四割近くを殲滅してみせたのが自分の目の前に居る女とその同僚であると知って激昂した。


「何でもっと早く! どうして、もっと早く動いてくれなかったの!? そうしたら、お母さんは――お母さんは!!」


 襟首を掴んで捻り上げる少女の顔を、しかしナザニアは冷めた目で見下ろしていた。


「何とか言ってよ! ねえ、あなたは強いんでしょ!? お母さんを助けられたんでしょ!?」

「――この世界ではな、命に価値が付いているんだよ」


 突然何を言い出すのか、とその場に居る全員がナザニアに視線を向けた。そんな中でも、彼女は視線を目の前のフィスタにぴたりと固定したまま言葉を続ける。


「な、何を」

「お前の母親の命の価値が、王都の中心部に住んでいる貴族や王族よりも、圧倒的に安かった。唯、それだけのことだ」

「いったい何を……?」


 言い過ぎだ、とシルトは思った。これではフィスタになんの希望もないではないか。

 口を出そうと足を踏み出す。そんな彼の前に手を突き出して止めたのは、なんとロディアであった。


「ロディア……?」

「大丈夫よ」


 ロディアの表情に悲壮はなく、寧ろ確信めいた希望が見える。どういうことなのかと視線で問いかけるも、帰ってくるのは「大丈夫」との呟きだけ。


「どうしてッ! そんなに理不尽なのよ!?」

「それが、この世界の在り方だからだ。いや……国というものが存在する以上、絶対に生まれてしまう不平等なんだよ」


 それだけで理解したのか、フィスタはその顔を大きく歪めた。聡明な子だ、とシルトは密かに感心する。


「それにな、小娘」

「何よ……なに、よおっ」


 既にフィスタの顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった。ナザニアは自分の襟首を掴んでいるその手をゆっくりと、しかし有無を言わせぬ力強さで外した。逆に、フィスタの胸倉を掴む。そして顔を思い切り近づけた。額がくっつくかと思うほどに、である。


「死んだのは、お前の母親だけじゃあない。そして何より――お前が今こうして生きているのが誰のお陰か、それを考えて(なお)そうやって喚き散らすだけなら、私がお前を縊り殺してやる。私に怒って当り散らすのはお前の勝手だし、私は甘んじてそれを受け止めてやる。だがな、そこで黙ってる私の生徒が、お前の母親を救えなくてどれだけ悔やんでいるか、分からないとは言わせないぞ」


 フィスタがロディアに視線を移して、ハッと息を呑んだ。シルトは、やはり賢いな、と再び感心する。そして、自分の横でフィスタと同じように驚いているロディアを見て、この展開は予想していなかったのか、と思う。


「あ……」


 ナザニアが胸倉から手を外す。一瞬よろめいたフィスタだったが、それを気にする様子もなくふらふらとこちらへと進んでくる。

 そして、ロディアの目の前で、その頭を大きく下げた。


「たすけてくれて、ありがとう……ッ!」


 狼狽、困惑、それから溜息を一つ吐いて、ロディアは少女の頭に手を乗せた。


「いいのよ。お母さんを助けられなくて、ごめんなさい」

「いいの、お姉さんは……何も悪くないから。ありがとう……ありがとう……ッ」


 嗚咽交じりの言葉を横で聞きながら、シルトとアルバは胸に詰まるものを覚えて空を仰いだ。


 青い空の中に、一筋の白い煙が見えた。





 


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