表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪意の値段はプライスレス

作者: 作者不詳

・・・・・。


吐く息が白く漂う。

「車の中だってのに、なんて寒さだ。いくら時給がいいからってこんな話に乗るんじゃなかった」

そんな悪態も白く漂う。


2月某日

天気、雪、と言うか大雪。ラジオでも連日の雪の情報を流している。

昨日から降り続いた雪のせいで積雪は1mを超えた今日この頃。

オレは2時間4000円前払いの高時給に釣られ、弟の家の雪かきの手伝いをすることになった。


そして、1行目。


雪かき開始から1時間、さすがに疲れ始めたオレは車で休憩しながら、そんな事を呟いていた。

無駄口が聞こえたのか弟が駆け寄ってくる。


・・・フゥーーー。


1つ深い溜息を吐きながら窓を開けるオレに対して。

「兄さん疲れたろ。後少しだし残りは僕一人で大丈夫だから、これでも飲んで車の中で休んでてよ。雪かき終わったら飯でも食いに行こうぜ。」

と缶コーヒーを渡しながら言い残し、弟は白い雪の中に戻っていった。


弟が差し入れてくれた缶コーヒーが思いのほか暖かい。

昔から喧嘩ばかりで今もギクシャクしてると思ってたけど、オレの一方的な思いだったらしい。


何だか缶コーヒーが眠気を誘う。


「・・・・・・・・。」


「・・・・・・のニュースです。連日の大雪の影響で死亡事故が起こっています。先日、車内で意識不明の状態の男性が発見され、病院に運ばれましたが一時間後死亡しました。死因は一酸化中毒に・・・・・・」



「・・・・・・ハーーー」


溜息は白く漂う。

深い溜息とは裏腹に男は満面の笑みで飲みかけの缶コーヒーを持っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ