あなた
あなたの初めての任務に、私は笑顔で見送った。
不安は勿論あったわ。
でもその日、私はあなたを明るく送り出せた。
心の中にあった不安は全て消えていたのよ。
だってあなたは私に言ったもの。
英雄になって帰ってくるって。
私はそれを信じて疑わなかったわ。
だって私達はこの世で一番仲のいいカップルだもの。
お互い離れて生きるなんて出来ないほど私達は愛し合っていたんだもの。
だから、信じられなかったの。
一通の手紙が届いた時、私はそれを思わずビリビリに引き裂いてしまったわ。
だって許せなかったのよ。
こんな薄っぺらい便箋一枚で、あなたの存在を全て否定されるなんて。
世界で一番愛する人があっけなく死ぬなんて、信じたくなかったの。
悲しかったわ。
そして憎らしかった。
全てが憎らしかったわ。
あなたは帰ってくるんでしょう?
英雄になって私のもとへ戻るんでしょう?
約束したでしょう?
あれからもずっと私は待ってるのよ。
一日二日一年二年と、ずっと。
それでもあなたは帰ってこないのね。
私は待ちきれないの。
私は信じたいの。
だから私は決めた。
あなたが帰ってこないのなら、私があなたのもとへと向かえばいい。
あなたがどこにいるのか分からないけど、きっとまた会えるわよね?
だってあなたと私は離れて生きられない存在だもの。
待っていて。
今すぐあなたを見つけに行くわ。
あなたを探しに戦場へ。
あなたを探しに戦場へ。
ご閲覧ありがとうございました。
今回は悲哀ものです。
突飛に思いついたものをさっと書きました。
それにしても女の愛は怖い…
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