戦うお豆腐メンタル②
その人は、桜が咲く四月にうちの訪問看護ステーションに復職してきた。
その人……というと、呼びにくいので、このエッセイの中だけでもニックネームを付けようと思う。
そして私は考えた。私はその人を見た瞬間「ニ〇ちゃん大王」に似ている! と感じたから、それにしようと思った。でもそれでは、ニ〇ちゃん大王に失礼だ。
そこで、同じ職場だった仲のいい人が、『ブルドーザーのブルちゃん』と呼んでいたので、ブルちゃんと呼ぶことにしよう。
さて、久しぶりにブルちゃんが出勤してくる日――。
(ブルちゃんって、どんな人だろう)
そう思うと、少しだけ胸が躍る。
するとブルちゃんはボストンバック(旅行に持っていく大きなバック)を持って出勤してきた。ちなみに私はエコバックで気軽に出勤している(勿論パジャマで)。
ボストンバックの中には、たくさんの参考書や資料が入っているらしい。
ブルちゃんの髪形は、白髪交じりのボブで、身長は小さい(でも態度は大きい)。口を一文字に結び「お世話になりますぅ」と無遠慮に出勤してきたのだ。
顔は、昔、屋根瓦に使われていた鬼によく似ている。
そして自分の意見を言う時には、ノンブレスでまくしたてるように話す。
ブルちゃんは整理整頓が苦手なようで、隣の席の私のテーブルは、あっという間にブルちゃんの書類で埋まってしまうほどだった。
久しぶりに出勤してきたのに、この貫禄……。
ただ者ではない(実際にただ者ではないのだ)と感じる。
だから距離をとれば良かったのに、幼稚園から習っている『みんなで仲良く』が染み込んでいる私は、ブルちゃんと仲良くなりたいと思った。
今思えば、無遠慮ではなく、そこまで他人を思いやることができない人、だったのかもしれない。




