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鬱病、参る!  作者: 舞々
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戦うお豆腐メンタル①

 さて、そろそろなぜ私が鬱病になったのかをお話しよう。

 まずはじめに、私の仕事について聞いていただきたい。

 


 私は『訪問看護』という仕事をしていた。訪問看護とは名前の通り、患者様のお宅に訪問して、病院と同じレベルの看護業務を実施する、という仕事だ。

 ただ病院と違うのは医師がいないため、色々な判断を自分でしなければならないということ。それから、基本一人で訪問するので、患者様とそのご家族との距離が近い、ということだ。

 この距離が近い、ということは信頼関係を築きやすいという利点もあるが、気に入ってもらえないとクレームが入る、という点もある。

 幸い私は理不尽過ぎるクレーム以外、クレームが入ったことはなかったし、他のスタッフがクレームを受けたご家庭に行っても受け入れてもらえた。

 だから訪問看護は、いくつもの科を回ってきた、ベテランの域に入った看護師でなければ難しいのかもしれない。



 それから赤ちゃんのお宅や、末期癌の患者様のお宅の訪問、力がいる仕事のお宅、はたまた自転車に乗ったお子さんを走って一時間追いかけるお宅の訪問にも行っていた。

 だから、私は自分で言うのは何だけれど、オールラウンダーだったと思う。


 

 職場の仲間はみんないい人だし、激務だけれど仕事にやりがいはある。

 看護師としてのスキルも、どんどん上がって行っているのを感じることができる。

 子どもや両親からも「最近の舞々は、生き生きしながら仕事をしているね」と言われるくらい、私は仕事が楽しかった。

 そう、あの人が来るまでは……。



 私を鬱病に陥れたのは、私より十五歳以上年上のおばちゃん看護師。

 その人は色々な武勇伝を持っている、私の住んでいる市では、有名な看護師だった(私は全く知らなかったけれど)。

 私の父は、その人が働いている病院でボイラー関係の仕事をしていたのだが、「あいつにだけは気をつけろ」と忠告をされたくらいだ。ボイラー技士が看護師のことを知っているのだから、余程の有名人なのだろう。



 そして、私たちは多職種とのカンファレンスの為、他の施設や病院に行くことがある。

 その時に「はじめまして、舞々と申します」と名刺を差し出そうとすると、「あの人、そちらの訪問看護ステーションにいるんだって?」と、挨拶よりも先にその人の話題になってしまう。

 おかげで、名刺を渡すタイミングがいつもかなり遅くなる。



 その人が元居た病院では、その人のせいで何十人もの看護師が辞めていったらしい。

 その人は、まぁまぁ大きな総合病院で働いていたが、『あの病院で、あの人の事を好きな人はいない』とまで言われるほどの曲者だった。



 実はその人が、総合病院を辞めて、うちの訪問看護ステーションに在籍していたらしい。

 しかし、大学院で勉強しているため、他県にいたようだ。その人が、大学院を修了し、またうちの訪問看護ステーションで働き出すとのことだった。



 当時の私は、その人に会ったことがなかったから、「別に一緒にいれば上手くやっていけるだろう」と簡単に考えていた。

 しかし、その考えがどんなに甘かったことか……。

 その時の私は、まだ知らなかった。


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