私という人間⑤
【鬱病舞々の一日の過ごし方 ~PM編~】
普通、鬱病の方は午前中調子が悪く、起きるのにも一苦労、と言う話を聞く。
しかし私は、イレギュラーで午後になると調子が悪くなってくるのだ。
だから、「十五時に〇〇に来てください」という約束が一番つらい。この十五時までの時間が、地獄のように長い時間に感じられる。
なので、なるべく用事は午前中に済ますようにしている。
午後になると不安が強くなってくる。そこで午睡ができれば、夕方少しだけ持ち直すことができる。
ここで持ち直せないと、夕食が作れないから最悪だ。
朝食、昼食とちゃんとしたものを食べていないのに、夕食まで質素では申し訳ない。だから力を振り絞ろうとするのだけれど、どうしても起き上がれない時はある。
私が住んでいる地域では十七時に『夕焼け小焼け』が流れるが、それを聞くと絶望的な気持ちになる。
(あー、今日も一日何もできなかった)
そんな思いで、心が圧し潰されそうになるのだ。
うちの息子二人は家事ができる系男子なので、夕食を作って、片付けまでしてくれる。でも、どうしてもの場合はコンビニご飯で済ませてしまうこともある。
本当に母親失格だと、謝ることしかできない。
なんて情けない母親なんだろう……と、とことん自分が嫌になるのだ。
そして最近は大好きだったお風呂が面倒くさく感じるようになってきている。
日中動かないから体力が落ちてしまったということと、鬱特有の「何もしたくない」の合わせ技がそうさせているのだろう。
しかし、さすがに入浴はしなくては! と毎日頑張っているのだ。
高齢の方が「毎日お風呂に入っていない」と言っていた意味が、ようやく理解できるようになった。
お風呂って大変なんだな、と最近改めて感じている。
だから毎日お風呂に入っているあなた、それだけでも偉いのだ。
そして最近は夜になると「ギャー!」とプテラノドンのような雄叫びをあげてしまうようになった。
きっと一日疲れたことと、「ギャー!」と言っても受け止めてくれる誰かがいる、という安心感から、不安が一気に爆発してしまうのだろう。
意味も分からず、心がはち切れそうに痛くて、辛くて苦しい。でも、どうにもすることができない。これが雄叫びの原因である。
「ギャーギャー‼」と喚き散らす母親を相手にする息子は、さぞや大変だろうと、申し訳なく思っている。
大体、大の大人が泣くなんてありえないだろう。
でも、もしかしたら鬱病のせいでパニック発作を併発したのかもしれない……と密かに思っている。
そして薬で眠くなってきて、眠りつく=映画上映が始まる……、を今のところ毎日繰り返している。
鬱病舞々は早寝早起きを意識するようになったので(前は睡眠時間が四時間とかだったし、夜間の緊急onコールも担当していた)、二十二時には寝るようにしている。
一生懸命働いている人から見たら、さぞや羨ましい生活に見えることだろう。
でも、本当に辛い。辛いんだ。
私は精神科に何年も働いていたため、鬱病の人をたくさん見てきた。
そして今、私はその人たちに心から謝罪したい。
鬱病がこんなにも辛いとは思ってもいませんでした‼ もっと優しくしてあげられなくて、ごめんなさい‼
また看護師に戻れたら――。
普段の生活の中で鬱病の人に会う機会があったなら――。
私はその人に優しくしてあげたい。
そんなことを思いながら、大きな魚のぬいぐるみに囲まれて眠りにつく。いや、映画の上映会の始まりだ。
一日も早く、元の生活に戻りたい……。そう願ってやまない。




