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鬱病、参る!  作者: 舞々
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私という人間③

 皆様、おはようございます。



 舞々は今日も朝早起きして、子どものお弁当を作ることから一日が始まった。

 鬱病は普通「朝が辛くて起きられない」というけれど、私は、朝は意外と元気だ。でも、午後になるにつれてしんどくなってくる。これは、鬱病と診断された頃から変わっていない。

 育ち盛りの男の子二人のお弁当を作り終えると、一瞬で炊飯器から米が消えていくから不思議だ……。母は、毎日お昼は、残ったご飯で卵納豆ご飯を食べているというのに。



 突然ですが、みんな夜はよく眠れている? 

 今思えば、私の鬱病は『不眠』から始まった気がする。病院に駆け込む直前は、本当に眠れなかった。でも、不思議と昼間も眠くなかったから、仕事には支障はでなかった。

 それでも、体は休む暇なんてなかっただろう。

 だから、突然緊張の糸が切れてしまったのかもしれない。



 ちゃんと通院して内服を開始したら、夜は本当によく眠れるようになった。

 私の夢は、「気付いたら朝だった」だ。夜一度も起きずに、朝を迎えてみたかった。だから、その夢が叶ったのだ。

 でも最近、また夜眠れなくなってきた。

 眠りが浅いのか、夢ばかり見る。

 これは睡眠の質が低下し、レム睡眠が増えることや、日中のネガティブな感情が夢に反映される、などが原因らしい。

 そう言われてしまうと、「そうか……」と引き下がるしかない。



 私の今の睡眠状況は、一つ映画のような夢を見終わると目が覚める。そしてもう一度眠ると、もう一つ夢を見てまた目が覚める、の繰り返し……、といった感じだ。

 一晩で大体四本くらい映画を見ているように感じられる。

 それと不思議なことに、夢の内容も本当にヘンテコなのだ。

 昨夜見た夢で覚えているのが、水泳の世界大会の日に私が厨房でコックさんに料理を教えている夢。私は料理なんて普通レベルだし、大体世界の水泳大会で、そんなに料理を作る必要があるのだろうか?

 後は、母が蕎麦を打っていたり、近所のおじさんに悩みを打ち明けられたり(内容は覚えてないけど、凄く深刻そうな悩みだった)……。



 だから朝起きたら疲れ果てている。だって、一晩で映画を四本も見るのだから、疲れたって当たり前だ。

 それに、夢の内容も大体がネガティブなものが多い。

 次に受診した時に、主治医にちゃんと相談しようと思っている。



 そして、子どもが登校した後、急に具合が悪くなる。

 本当に電池の切れた玩具みたいになってしまうのだ。

 辛い時や困ったときに、助けてくれる人がいないということは、私にとってかなりのプレッシャーとなる。



◇◆◇◆◇◆◇◆



 それから、昨日事件は起こった。

 夜の九時頃、早寝を目標としている私は、そろそろ寝る準備を始めた。

 昨日は天気が良いからと、次男がシーツと枕カバーを洗濯してくれていた。でも、その頃から私の精神状態はちょっとおかしかった。

 夕ご飯はなんとか作って、食器を洗って、お風呂から出た辺りから精神的に不安定になり、頓服を飲んだ。



 鬱病の症状のひとつに、「今までできていたことが突然できなくなる」「体が怠くて仕方なくなる」というものがある。それに突然襲われたのだ。

 私の体は途端に重くなり、「何もできない! 何もしたくない!」という衝動に駆られてしまった。



 私は常に心に不安を感じていたり、焦燥感があるのだけど、ひどくなると辛くて、苦しくて堪らなくなる。

 例えるならば、失恋して一番苦しい時の状態がずっと続いている感じ。

 私は「辛い、苦しいよぉ」と椅子に座り込んだ。



 目の前には、洗濯してお日様の香りのする式布団のシーツと枕カバー。

 シーツのカバーなんて布団の四隅にゴムで固定するもので、本当に単純で簡単なものだ。ほんの数分で終わる。

 でも、私にはそれができなかった。

 数時間前には唐揚げを揚げられていたのに……。

 本当に鬱って恐ろしいもので、突然何もできなくなってしまう。



 先日は、元気いっぱいにハンバーグを作り始めたら、途中で「駄目だ。作れない」となってしまい、私は泣き出してしまった。

 その「駄目だ」もちょっと気合を入れればどうにかなるものでもなくて、本当に何もできなくなる。そんな自分に失望する。そして消えてなくなりたくなる――。それの繰り返し。

 その後、子どもがハンバーグを作ってくれたんだけど、焦げた肉の塊が完成した。それでも、私からしたら本当にありがたいな、って思った。



 そんなことを思い出しないながら、私は目の前のシーツたちを見て、呆然としてしまう。

 ついには「できない! やりたくない!」と心が限界を迎え、泣きながら長男を呼び、シーツを掛けてもらった。

 長男は数分もかからず、仕事を終えてしまう。

 私は、テキパキと動ける彼が羨ましかった。



 そんな夜を越えて朝を迎えた。

 眩しい朝日も、鬱病の私にしてみたら辛いだけだ。今日も雨だったらよかったのに……。

 これからみんな出勤したり、登校する時間になるだろう。

 でも、私はこの時間がとても辛い。

 だって、私は外に出ることさえできない。それに、少しずつ調子が悪くなってきた。リビングの掃除くらいしたいのに……。



 みんな月曜日は特に辛いと思う。

 でも偉いね。それでも出社したり、登校しようとしているのだから。

 働ける、学校に行けるということは当たり前ではない。本当に凄いことだ。みんなに花丸あげたいくらいだ。



 でも私も数か月前まではそうだった。「嫌だ嫌だ」と思いながらも、出社できていたのだから。

 あの頃が懐かしいし、あの頃に戻りたい。

「おかん、仕事が楽しそう。生き生きしている」

 そう子どもに言われた頃が、大変だったけれど楽しかったかもしれない。



 だから、例え嫌々でも、出勤しようとしていること、登校しようとしている自分を褒めてあげてほしい。

 だってそれは、決して当たり前のことではないのだから――。

 


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