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鬱病、参る!  作者: 舞々
17/18

突然ですが……明日調停に行ってきました②

 お昼寝から目覚めたら夕方だった。

 精神安定剤を飲んでいるので、一度寝ると一生眠り姫(眠り老婆?)になってしまう。

 長男の部屋に「ヤモリがいた」と、顔にヤモリを乗せられて目が覚めたのだ。



 さて調停だが、順番としては申立人がまず呼ばれて調停員が話を聞いてくれる。

 次に、別室で待機している相手人が呼び出され話を聞いてもらい、また私が呼び出され「ブルちゃんはこう言ってたよ」と聞かされながら、もう一度話を聞いてもらう。こういった感じで調停は進められていく。

 なので、ブルちゃんと顔を合わせることはない。相手方の待機部屋が空けた硝子になっているので、ブルちゃんがいるのはわかる。それだけで、心臓はバクバクものだった。



 調停員とは社会経験や専門的な知識を持つ中立・公平な立場の人なので、申立人の私の味方、というわけではない。かと言ってブルちゃんの味方もしない。

 あくまでも中立な立場に立って、両者から話を聞いてくれるのだ。



 さて、私が調停をする部屋に呼ばれた時には過呼吸の真っ最中で、涙目だった。もうお話どころではない。

 しかし、調停員のお二人(男性と女性の一名ずつ)が、仏様のような方で、過呼吸も少しずつ治まってきた。頓服よりも、このお二人の方が鬱病には優しそうだ。



 調停員さんは私の話をよく聞いてくれたから、私は色々なことを話すことができた。

 ブルちゃんのことは悪くは言わないが、今までどれだけ辛かったか、今もどれだけ辛いか(過呼吸になりながら話しているのだから、それは伝わっただろう)、働きたくても働けないということが一番困っていることを調停員さんに伝えた。



 そして、謝罪をしていただき、慰謝料を払ってもらえば、金輪際ブルちゃんとは関わらないことを誓う、と言い切った。

 私が言いたかったことはそれなのだから、私は自分の思いを、素直に調停員さんに伝えることができたのだった。



 次にブルちゃんが呼ばれる番だ。その間待機しているのだが、三十分間が異常に長く感じられる。過呼吸が治まった私は、疲れからか眠くなってしまい、ウトウトしてしまう。

 きっと今頃ブルちゃんは、私の悪口を好き放題に言っているだろう。

 でもそれでいい。調停員さんに、彼女の本当の姿を見てもらいたかったのだ。



 三十分後、私がもう一度呼ばれる。

 ブルちゃんを見た調停員さんは「随分とキツイ話し方する方ですね。そういうのが伝わってきました」と言っていた。

 たった三十分の間で、ブルちゃんの性格がどうやらうっすらとわかったようだ。

 なんとなく、調停員さんが私の味方になってくれたような気がする。

 ただやっぱりブルちゃんは私の悪口を、三十分言い続けたようだ。



 しかし結果から言うと、なんと私の理想としていた形でブルちゃんと調停員さんの話は決着がついたようだ。

 自分の非をやや認め、私が希望した慰謝料の全額は無理かもしれないが、慰謝料を支払うと言ったとのこと……。



 私はこの結果に驚愕した。

 こんなに上手くいくとは思っていなかったのだ。



 これはブルちゃんが私に対して申し訳ない気持ちというよりも、ブルちゃん自身が一刻も早く調停を終わらせたかったのだろう。

 調停を申し立てようとした時、私はまずブルちゃんをビビらせたかった。裁判所から突然出頭の通知が来て、恐れおののけばいいと思った。

 私のその思いは神様に通じ、想像以上に、ブルちゃんはビビり散らかしていたようだ。



 弱い犬程よく吠える――。

 本当にそうなのかもしれない。

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