突然ですが……明日調停に行ってきます③
恐らくブルちゃんに私の申し立て書(裁判所からの呼び出し状付き)が届いたのが、昨年の十二月の半ば頃。
私が想像するに、ブルちゃんはすぐに所長(私が在籍していた訪問看護ステーションで一番偉い人)にチクったらしく、申立書が届いた翌日に私は恐怖に襲われた。
なんと、所長から絵本が届いたのだ。
しかも郵送ではなく、直接自宅のポストに投函されていた。
私はそのあまりに早い対応に、恐怖すら感じたのだ。
何しろ所長は私が退職する際に「お疲れ様」「ありがとう」の一言もなかった人だ。
それなのに突然届けられた絵本……。
私は恐る恐る絵本を開いた。
そして、その内容に言葉を失ってしまう。
その絵本を簡単に説明すると「過去に囚われて生きていても幸せにはなれないよ」というものだった。
つまりは、過去を振り返らずに未来を向け。すなわち「調停を取り消せ」と言いたいのだろうか?
更に絵本には「笑って笑って、幸せが逃げちゃうよ」とも書かれている。
お金がなく、その日暮らしの無職の女がどう笑えばいいのだろうか?
私は鬱病になってから笑うということがなくなった。だから顔の筋肉が硬直してしまい「笑う」ということができなくなってしまっていたのだ。
そんな私に笑えと?
引き攣った笑いしかできませんけど?
恐怖と怒りを感じた私は、所長のプライベートのLINEに、今自分が鬱でどれほど苦しい思いをしているか。
鬱で苦しむ人に、絵本のような綺麗ごとの言葉は届かない。返って励ましの言葉は辛くなること。
そして、今更なんなの? キモイんですけど?(ここまでは書いていない)
と、書いて送り付けてやった。その後は勿論、即ブロックだ。
絵本は一応証拠にもなると思い、ごみ屋敷のような長男の部屋に放り投げておいた。
でもこのことから、裁判所からの通知にブルちゃんが相当焦っていることが伝わってくる。
ブルちゃんは意外と気が小さいので、私にこの絵本を読ませ、心を穏やかにし、調停を取り下げさせたかったのだろう。
しかし、その絵本に私は恐怖心を抱き、ブルちゃんが恐れおののく姿を想像し、喜んでいるのだ。
残念だが、今の私の心に、絵本などというものは届かない。
もし鬱病の知人に、そういった絵本をプレゼントしようとしている人がいたら、やめることをお勧めする。
きっと、逆に落ち込ませてしまうだろう。
鬱病とは、そんな綺麗な言葉ではどうにもならない、辛い病気なのだ。
しかし、私の申立書が届いたのが昨年の十二月の半ば。
そして私に回答書が届いたのが今月の十九日。
一体ブルちゃんは、回答書を作成するのに、どれほどの時間を要したのだろうか……。
そして、そんなタイムリーな絵本を、一瞬でどうやって準備したのだろうか……。
私は不思議で仕方がない。




