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限界集落で暮らす女子中学生のお仕事はどうやらあやかし退治らしいのです  作者: 釈 余白(しやく)
第四章 文月(七月)

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72.七月二十日 午前 終業式の後

 一体何のためにやって来たのかわからなくなるくらい、今日の学校はあっという間だった。それは当然で、明日から夏休みということは今日は終業式だけである。


 各教室や廊下も含め学園中には大掃除が入るので、掲示物を含めた私物はすべて持ちかえるように言われていた。それでも多少残った荷物と、配布された夏休みの課題を併せるとそこそこの量がある。


 車で来ているとは言え距離のある八早月(やよい)は、近所から通っていない生徒のことも考えてほしいと文句を言っていたが、担任には事前に伝達済みなのに荷物を持って帰っていなかったのが悪いと逆にたしなめられていた。


「私も自分が悪いことはわかってましたよ?

 でもさすがにこれだけ荷物があると文句の一つも出ると言うものです」


「八早月ちゃんったら全然持って帰ってなかったんだね。

 ロッカーの中いっぱいだったもん。

 しっかり者に見えてもこう言うところあるよね」


「そうだね、自宅の部屋もなかなか散らかってたし、イメージと違ったよ。

 まさか脱いだら脱ぎっぱなしとか、教科書も積み上げておいてあるとかね」


「へえそうなんだね、かなり意外だわ。

 いかにもしっかりしてて整理整頓得意って雰囲気なのに面白ーい」


「でも今回は皆さんの期待に沿わぬよう、すでに片づけは済ませたのです。

 二十四日には綺麗なお部屋でお迎えすることをお約束しましょう。

 それにしても本当にお迎えは不要なの?」


「うん、あの辺のバスって乗ったことないから楽しそうじゃない?

 ちょっとした旅行気分を味わいたいって感じだからホント平気だよ」


「私は微妙だけど、ハルがどうしてもバス旅行したいって言うからさぁ。

 一時間半くらいかかるのよね?」


「確かそこまではかからないはずだけど、一時間以上はまずかかるわ。

 だって板倉さんに送ってもらっても五十分くらいはかかっているもの。

 途中で止まったりするバスならきっともっとかかるでしょうね」


「まあそれも楽しみの一つってことでいいじゃないの。

 だいたい夢はいつも楽しようとし過ぎなのよね」


 七月二十三日には寒鳴綾乃(さむなき あやの)に対する祓いの儀を行うのだが、この儀式では大蛇舞祭(おろちまいまつり)での八岐贄(やまたにえ)の儀のように呼士(よびし)によって身体に(やいば)を立てる護り刺しと言う工程が存在する。


 これが相当な痛みを伴うもののため、さすがに友人に見られたりその直後の様子を知られたりするのは嫌だろう。そのことを考慮して、美晴と夢路が遊びに来るのを翌日からとしているのだ。


 こうして夏休み最初の週の予定は決まりたっぷり遊ぶ準備は整った。もちろんその間に宿題も進めるつもりだし鍛錬を怠るつもりもない。もちろんそれは楓や直臣、ドロシーも同じことである。


 おしゃべりしながら学園を出て、運ぶのを手伝ってもらっていた荷物を車へ押し込み、八早月たちはそれぞれの帰路へと別れて行く。これでいよいよ中学生活最初の夏休みがやって来たと実感できた。


 明日の土曜は朝の鍛錬、日曜は見回りのお役目があるが、少しでも宿題を進めておき遊ぶ時間を確保しておかなければならない。それにやっぱりお菓子とかも用意しておくべきだろう。


 小遣いを十分に持ってきていた八早月は、帰り道にスーパーマーケットへ寄ってもらうよう板倉へ頼んだ。それを聞いた板倉は、八早月が選ぶお菓子のセンスを心配しながらも、それもまた経験だし微笑ましい物だろうとあえて口は出さないよう心がけるのだった。


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 お読みいただき誠にありがとうございます。数ある作品の中から拙作をクリックしてくださったこと感謝いたします。少しでも楽しめたと感じていただけたならその旨をお伝えくださいますと嬉しいです。


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