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限界集落で暮らす女子中学生のお仕事はどうやらあやかし退治らしいのです  作者: 釈 余白(しやく)
第四章 文月(七月)

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66.七月十四日 午前 準備

 今日は朝の鍛錬を手短に終わらせて外出に向けて準備をしなければならない。そんなことを考えながらやや上の空だった八早月(やよい)は、足元に崩れ落ちた直臣にようやく気が付いた。


 少し離れたところではすでに楓が地面にひっくり返っており、ドロシーは膝をついて天を仰いでいる。どうやら八早月が何も言わないので真宵(まよい)も手を止めずにしごき続けていたようだ。


「ごめんなさい、考え事をしていて相手のことを気遣うの忘れてしまいました。

 直臣も楓も大丈夫ですか? でもドロシーはこれくらいでへばっていたらいけませんよ?」


「はひ…… 精進がガンバルのデス……

 それにしても筆頭様それほど筋力ないハズなのにつよいデスか?」


「組み合うような体術でも無ければ筋力は重要ではありません。

 例えば剣なら正面から受け止めるとかなりの力が必要でしょう?

 でも受け流せば力なんてそれほどいらないのよ?」


「クルクルまわるもそれなのでスカ?

 まるで空気を斬っているヨウナ、素振りをしているヨウナ感触なのデスよ」


「そう、受け止めるのでも避けるのでもなく流すことを意識するのです。

 私からすれば英語を話す方がよほど難解で困難ですけどもね」


「それことれではマタクちがうのデスよぉ。

 自然に流す…… 滝にでも打たれてキマしょうかネ……」


「それも悪くないですね。

 自然の中で風や水、土と一体感を持つことはとても大切なのです。

 ですから八岐贄(やまたにえ)としての生活は幼少からが望ましいのですから。

 ドリーはその分不利を抱えているのですから、のんびり取り組んで追いつくのは容易ではありませんよ?」


 理解したようなしていないような複雑な顔をしたドリーは春凪(はるなぎ)に抱えられながら帰って行き、楓と直臣はしばらく寝転がっていた後、動けるようになってからトボトボと帰って行った。


 朝の鍛錬に実が入っていないわけではなく、どちらかと言うと早く終わらせたくて集中しすぎていた八早月は、さっぱりと汗を流した後に母である手繰(たぐり)の部屋を訪れていた。


「お母さま、それではいよいよでございます。

 申し訳ありませんが髪の手入れと、あの…… お小遣いをお願いいたします」


「あらあら、八早月ちゃんったら随分と緊張しているのね。

 そんなに難しい顔するくらいなら百貨店の人に来てもらっても良かったのよ?

 一人で行くなんて大丈夫かしらねぇ」


「私だってもう中学生ですから平気に決まっています!

 それに一人ではありませんよ? 板倉さんに乗せて行ってもらいますしね。

 なんと言っても、今日は学園の前で待ち合わせてみんなでお買いものと言う重大事(じゅうだいじ)!」


 そんなやり取りをした後、一緒に行くと言ってだだをこねた母を振り切った八早月は、休日にもかかわらず板倉の運転で学園へと向かった。



◇◇◇



「休みの日にこうやって待ち合わせるのってなんかいいよね。

 でも綾ちゃんはちょっと遠くて大変だったでしょ」


「ううん、いつもの通学よりも遅いから全然平気だよ。

 電車通学で朝起きるの早くなったけど、一週間で大分慣れたしね」


「お店の場所はわかってる?

 アタシは国道がどっちなのかもよくわかってないよ」


 そう言いながら美晴は地図を表示しているスマホをくるくると回し、夢路は遠くを見たいのか地図を傾けている。さらに言い出しっぺの綾乃でさえ、母親にマーク設定してもらった店の場所を拡大表示しているだけで、その場所がどこなのかわかっていない。


「でもきっと大丈夫よ。

 八早月ちゃんのところの運転手さんって車でレースやってた人らしいもの。

 運転だって上手だろうし、知らない場所なんてないに違いないわ」


「夢ちゃんの言うことに間違いなければ安心だね。

 直接話したことはないけど痩せててちょっとカッコいい感じの方だよね?」


「八早月ちゃんちで働いてるんだもん、きっとタダ者じゃないわ。

 アタシはあの人ってすごく強いボディーガードじゃないかと睨んでるのよねぇ」


 八早月の到着を待ちわびている三人は、思い思い好き勝手なことを言いながら到着を待っていた。


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