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限界集落で暮らす女子中学生のお仕事はどうやらあやかし退治らしいのです  作者: 釈 余白(しやく)
第二章 皐月(五月)

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26.五月四日 昼 卒業アルバム

 まだ三度しか見たことはないが、印象の希薄な出会いではなかったため覚えてしまった顔が目に飛び込んできた。特に興味があるわけではないつもりだった八早月(やよい)だがつい聞いてしまう。しかも八岐贄(やまたにえ)の視点で。


「この子…… ちょっとうつむき加減で映っているから変に目立つわね。

 なにかを抱えていそうな、そんな気配を感じるわ」


「ああ、この子も同級生だったんだけどねぇ。

 公立の金井中へ行くのが嫌で九遠(くおん)を受けたんだけど落ちちゃったんだよね」


「そうそう、同級生にいじめられてたんだって言ってたね。

 それで小学校の卒業式で暴れちゃって大変だったの」


「ああ、それで―― いやなんでもないわ。

 卒業式で暴れるなんて、見た目に寄らずすごい事するのね。

 一見するとそんなことできそうな雰囲気は無さそうなのに」


 八早月は入学早々いじめられていた彼が、一度でも反抗できたことが信じられなかった。それならば中学に上がってもまだ絡まれて続けているなんて無さそうだと考えたのだ。


「この男子って地元ではそこそこ有名な一家なのよ。

 えっと、まあ悪い意味で、なんだけどね……

 両親ともにあまり褒められた人じゃなくて、今は祖父母と暮らしてるの」


「別に仲良かったわけじゃないアタシたちでも知ってるくらい有名ってこと。

 両親が両方とも不良だったらしくてさ、親世代の中でつまはじき者なの。

 でも今は街を出て行ってて、恨んでる親の子供たちから目の敵にされてさ」


「本人は関係ないのにかわいそうね。

 そう言うことがあるのは知っていたけど、現実に見ると辛いわね。

 でもいじめって人間の本能で起こってしまうって宮司さんが教えてくれたわ」


「宮司さんって神社の? なんか深いわねぇ、さすが。

 かわいそうでも止めるのは難しかったからね。

 だから加担してない人が多く通う私立へ行きたかったんじゃないかな」


「名前もかなり変わってるから良くいじられてたしね……

 子供って意外に残酷って思ったもん」


「確かに変わっているわね。

 これなんて読むのかしら、じょうちゅうげ? さゆう?」


「普通読めないよね。

 これはひとそろい(上中下) ソウ(左右)って読むの。

 名前はさうって読み仮名だけど発音はソウなんだってさ」


「なるほど、上中下でひとそろい、(おもむき)があって素敵ね。

 名前の読みは歴史的仮名遣いでこちらも知的さを感じるわ」


 八早月は正直な感想を述べたのだが、二人はそのことに驚いたようだ。もしかしてこれはそういうこと? なんて顔を見合わせて相談している。


「なんだか八早月ちゃんがそう言うとすごくステキな名前に思えてきちゃう。

 もしかしてこの子みたいなのがタイプだったりするんじゃない?

 気のせいか、思い入れみたいなのを感じちゃうもん」


「いいえ、全然、まったくあり得ないわ。

 その小学校の卒業式で暴れたのは別にして、うつむいて自分を卑下するような人は好きじゃないの」


 たかが卒業アルバムの顔写真一枚でここまで言われてしまうのもかわいそうだ、美晴と夢路はそう思っていた。だが八早月にしてみれば、絡まれているところを二度助け、その後に声まで掛けたのに酷い暴言を吐かれたことを含めての印象だったのだからきつい意見となっても仕方ない。


「まあ確かに暗い感じの子ではあったよね……

 あ、それでこっちが美晴の好きだった男子だよ。

 サッカーやってて人気のある子だったなぁ。

 名前は橋乃鷹涼(はしのたか りょう)って下に書いてあるからわかるか」


「仲良かったのに疎遠になっちゃったのはこの子。

 こっちの蔵毎海砂(くらまい あすな)って元気系の女子ね。

 勉強嫌いだから受験なんてしないっていっててさ。

 誘ったんだけど無理だったの」


「人には向き不向きもあるから仕方ないわね。

 私でその子の代わりになれるとは思わないけど、これからも仲良くしてくれると嬉しいわ」


「なに言ってるのよ八早月ちゃん!

 誰かの代わりとかそんな風に思ってないからね?

 海砂とはまた仲良くしたいとは思ってるけど、それは八早月ちゃんと友達になったことはまったくの別問題だよ!」


「そうだよ、アタシたちのこと見くびらないでほしいね。

 だから社長令嬢羨ましいとかもギャグみたいなもんだから気にしないで。

 変に気を使わせたりするつもりはなかったんだからさ」


「私こそ二人に失礼なこと言ってごめんなさい。

 友達って初めてだからどう付き合っていいのかわからないのよ。

 本当に悪気はなかったの、代わりと言うのも欠員補充の意味で言っただけ。

 でも友達ってきっとそう言うことじゃないのよね?」」


「そうだよ、もちろんだよ!

 サッカーなら十一人必要とかあるけどさ。

 友達は何人組だっていいんだもん!」


「こう言うところが八早月ちゃんの天然って感じるとこだね。

 ホント、友達になれてよかったー」


 再び『天然』というワードが出てきて、八早月はやはり自分はどこかずれているのだろうかと真剣に考えていた。だがそんな思考も、階下からかけられたお昼ご飯の呼び出しで空腹を刺激され、即座にかき消されるのだった。


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 お読みいただき誠にありがとうございます。数ある作品の中から拙作をクリックしてくださったこと感謝いたします。少しでも楽しめたと感じていただけたならその旨をお伝えくださいますと嬉しいです。


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