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限界集落で暮らす女子中学生のお仕事はどうやらあやかし退治らしいのです  作者: 釈 余白(しやく)
第二章 皐月(五月)

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25.五月四日 昼 略して恋バナ

 知ってしまえば納得できる、世の中にそんなことは多くある。しかし八早月(やよい)は自分が知らない母と一族の秘密、いや秘密でもなんでもない公然の事実に今更気が付き、自分の鈍さを含めて驚きを隠せなかった。


「あ! えっ!? まさか、そうなの?

 お母さまと学園が関係があるってこと?」


「ピンポーン、そうなのよ?

 私たちが通ってる九遠(くおん)学園を建てたのも九遠グループってわけなのよ!

 ホントに知らなかった? お母さんはなにも言わないんだねぇ」


「初耳だわ! お母さまは勉強とか興味ないらしいし。

 それに私も入学式の日まで八畑村を出たこと無かったんだもの。

 町のこともお母さまの実家のこともほとんど知らないのよね」


「えっ!? 入試や制服の採寸で学校まで来たでしょ?

 教室で試験やったじゃない?

 それに合格発表だって昇降口前に受験番号張り出しだったんだしさ。

 アタシは夢と一緒に見に来たけど、もうドキドキで代わりに見てもらったよ」


「入試はここで受けたの? 制服の採寸もそうなの?

 私は言われるがまま入学試験だからって分校で受けたわね。

 合格はお母さまが教えてくれて、制服の採寸は家まで来てくれたわよ?」


「へー、じゃあやっぱり優遇されてたのかもしれないね。

 でも八早月ちゃんは普通に頭いいから裏口入学ってことはないだろうけど。

 そう言えば八畑村って中学校ないんでしょ? 他の子とかどうしてるの?」


「さすがに隣の村にはあるのよ?

 歩きだとちょっと遠くて一時間くらいかかるみたい。

 確か太一郎が通ってて通学中に熊に出くわしたことがあるって言ってたわ。

 太一郎って言うのはもういい歳の親戚ね」


「熊が出たなんてのは笑い事じゃ済まないわね……

 そっか、でも高校は街まで来ないと無いから不便よね。

 ここからだと二つ向こうの久野(くの)駅にある久野高校が一番近いかな。

 アタシはそれもあって九遠受けたんだ、高校まで考えなくていいからさ」


「私はハルに誘われたからかな。

 パパもママも行っていいよって言ってくれて良かったよ。

 落ちて泣いてた子や仲悪くなっちゃった子もいるけどさ……」


「やっぱり人数多いからか人間関係って結構大変なのね。

 二人がすぐ友達になってくれて良かったわ。

 入学前はとても不安だったのよね」


 こんな風に話をしながらケーキを食べたりお茶を飲んだり、八早月は初めてテレビを見たりしながら過ごした。初めて見たマンガの内容は難しくてよくわからなかったが、夢路が恋愛に興味津々だと言う事だけはすぐに理解できた。


「夢ってさ、実は書道部の部長先輩狙ってない?

 名前知らないけどまあまあイケメンの部類だよね。

 どうなのよ? 部活中とか話するでしょ? 脈アリナシとかさ」


「部長って直臣(ただおみ)のことでしょう?

 夢路さんはああいう男性がお好みなのね」


「八早月ちゃんって名前呼び捨てにするほど部長と仲いいの!?

 まさか…… つ、付き合ってるとか!?

 部活見学に来た時も様子おかしかったし……」


「えー八早月ちゃんってそうなの?

 それじゃ夢に勝ち目無さそうだなー、あははっ」


「もう、美晴さんったら、そんなこと言ったら夢路さんがかわいそうでしょ?

 あの子も八畑村の人なのよ、もちろん親戚ね。

 多分好きな女性のタイプはキリっとした感じで三つ編みとかだったような」


 八早月は別に聞かれてもいないのに、直臣の呼士を参考に勝手な暴露をした。今までそんな話をする相手が存在していなかっただけで、実は八早月も色恋の話が好きなのかもしれない。


「わかった! 私もう少し髪を伸ばして三つ編みにするわ!

 でも書道部っていっつも静かだからあんまり話す機会ないんだよね。

 黙々と練習するだけだから話すこともないんだけどさ」


「夢は単純でいいなぁ。

 八早月ちゃんは? 誰か好きな男子とか気になる人とか出来た?」


「私はそういうの一回も感じたことないわね。

 きっと周囲に親類以外の男子なんて誰もいなかったからわからないんだわ。

 はあ、まだまだ子供って言うことなのよ。

 美晴さんはどなたか意中の男性いるの?」


「アタシ? いないいない、まったく。

 やっぱ夢みたいなませた女子だけなんだって」


 だが夢路が引っ張り出してきた小学校の卒業アルバムには、美晴が好きだった男子が載っているらしい。八早月はワクワクしながらそのページを見せてもらうと、予期せぬ、いや載っていてもおかしくない顔が映っていて再び驚いていた。


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