人間?
初投稿作品です。更に言うとスクショをとって友人に送るのがめんどくさくなったから投稿してググってもらえばいいやという下心を元に投稿しました。そんな作品を読んでくれるあなた、人生に幸多からんことを。では、どうぞ。
クヌギ・コウキは通勤のために、いつもの地下鉄に乗っていた。地上はもはや暑く、否、熱くて長時間滞在することなどできない。
(秋とか、涼しくなってこれば気軽に外に出れるんだがな……。)
秋や冬にもなれば外の気温も落ち着く。それでも暑いと感じる程度でしかないが。もはや「秋」や「冬」と言った季節の言葉も、形骸化してしまっていた。
(いつからだったかな……。“global warming”って言葉が使われだしたの。古代の文献にどこかを境に現れ出した言葉らしいけど。)
ここ最近、巷では“global warming”という言葉が頻繁に使われるようになった。はるか昔に使われていた言語らしいが意味はなんとなく「この星の気温がどんどん高くなっていく」状況を示しているだろうという予想のもと使われているだけだ。
コウキの記憶の通り、古代の文献で発見された言葉であるが、そもそも古代の文献は焼ききれて遺失してしまったものが多く、その断片を見ても文字の形に一貫性がないため解読が遅々として進まない、文献としての意味が全くない代物である。故に、その語感のよさから使われているだけであってそこまで詳しいことはわかっていない。
(あとひと駅か……。)
コウキは、車内アナウンスを聞いて自らの職場が近づいていることを知った。今の仕事に悪感情はさほど持っていないので、週始めの日でもない今日はそこまで憂鬱ではなかった。
そんなことを考えつつ、今日の予定を思い返していると、目的の駅に着いた。
と、ガンっという音が響く。
「すみません……!」
すれ違いざまに方が当たったようだった。コウキは咄嗟に謝ったが、相手方は気にする様子もなく、気づいていないような素振りで雑踏の中に消えていった。
熱さからできるだけ遠ざかれるように深く掘られた地下道から地上への長い階段を登っていくと、高層ビルがその周辺だけ乱立する一角へ出た。そんなことなら全部地下にしろよと毎回思うコウキだが、強度の問題とかなんとかでしょうがないらしい。
高層ビル群の隙間を縫ってさす強い陽射しを、コウキの黒光りする外骨格が反射する。さっき考えていた古文書を作ったらしい「ニンゲン」とかいう、隕石だか食糧難だかなんだかで急に歴史から消えた種に思いを馳せながら、彼は
“ゴキブリのゴキブリによる
ゴキブリのための社会を目ざして”
という看板が出ている高層ビルのひとつに入っていった。
叙述トリックを使おうと思って描き始めたんですが、思いのほか内容が薄くなって騙せてる気がしません。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。酷評でもなんでもいいのでとにかくなにか意見をくださると、それを元に勉強できるのでおねがいします。