表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥界区役所事務官の理不尽研修は回避不可能 〜甘んじて受けたら五つの傷を負わされた〜  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/95

5.うじ茶のように渋く甘くすっきりと

5-7

 事務官小野は、軽く咳払いをして、場を引き締めてから、口を開いた。


「その焼印が、地獄の認証印であることは、そなたも知っておろう?」

「はい」


 僕は、軽く頷く。


「地獄主導で、今回のような、研修が行われることは、極めて稀であるが、焼印が施されること自体は、実は、それほど珍しい事例ではないのだ」

「そうなのですか?」

「うむ。焼印が施される理由は様々ではあるが、総じて、地獄が定めた何かしらをクリアした時に、焼印は施される」

「はぁ」

「そして、五芒星を得た者は、地獄の苦行を免除される可能性がある」

「五芒星?」


 僕が聞き慣れない言葉に首を傾げていると、事務官が、鋭く僕の右膝へと視線を送る。


「そなたの膝にある、それらの傷のことだ」

「えっ?」


 僕は、ベッドに腰掛けたまま、右足をピンッと伸ばして、膝の傷をマジマジと見た。よくよく見ると、5つの傷は、星形のような配列をしている。


「これが五芒星と言うものなのですか?」

「そうだ。通常では、このような短期間で得られるものではない。地獄にいる者たちは皆、何年、何十年、何百年掛かっても、得られる焼印は、1つか、2つが良いところだろう。今回の研修を行う上でも、地獄の役人たちは、そなたが得られる焼印の数は、せいぜいそのくらいだろうと踏んでいた筈だ」


 僕は、言葉もなく、ただ黙って傷を見つめる。ただの、合否スタンプかと思いきや、どうやら、重要スタンプだったようだ。


 無言の反応でも、事務官には話が僕に伝わっているのがわかるらしく、淡々と話は続いていく。


「そして、そなたは、地獄の思惑を遥かに上回る、4つの認証印を得て、研修を終わらせたわけだが、4つの傷では、意味を為さない。まぁ、何百年かの地獄の苦行の中で、最後の焼印を得られる可能性も無きにしも非ず、ではあるが」


 そこまで話すと、事務官は、一度言葉を切る。そして、そばにあった椅子を引き寄せると、スッと座り、長い足を組む。


 そんな一連の動作が、なんだかとても様になっていて、思わず視線が釘付けになった。


「古森、聞いておるか?」


 またしても、呆けた状態になっていた僕に、辛辣な事務官の声が刺さる。


「ああ、はい。聞いています」


 事務官小野は、一つ頷くと、話を続けた。


「先程も少し言ったが、4度目の研修を終えた時点で、そなたの処遇は、等活地獄行きとほぼ決まっていた。しかし、その時、小鬼が、進言してきたのだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ