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冥界区役所事務官の理不尽研修は回避不可能 〜甘んじて受けたら五つの傷を負わされた〜  作者: 田古 みゆう


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4.とうもろこし色のヒカリの中で

4ー22

 自宅を出ると、事務官小野が、相変わらずの事務的な声で研修の終わりを告げる。


「では、これにて本日分の研修を終了とする。まずは、宿泊所へ戻るとする」


 そう言うと、事務官は、こちらの気持ちの整理などは全く考慮せずに、両手を軽く上げ、それぞれ左右の指を1度ずつパチンパチンと鳴らした。


 すると、僕の周りの景色は瞬時に消え去り、白一色の世界へと様変わりした。


 自室として充てがわれている、部屋の中央辺りで立ち尽くす僕の対面に立つ小鬼が、事務官の足元から声を掛けてきた。


「お疲れ様でした〜。古森さ〜ん」

「ああ。うん」

「古森。よくぞ最後までやり終えた。本日分の研修終了をもって、そなたに課された研修は全て終了となる」

「はい」

「して、以前にも聞いたが、この度の研修で得た物、感じたことはあるか?」

「はい。先ほど、母にも伝えましたが、自分の気持ちを相手に伝えることが如何に大切か、その瞬間を逃してしてしまうことが、どれほどの後悔を生むのかを、僕は知りました」


 僕は、事務官の細眼鏡の奥の瞳をしっかりと捉えて答えた。そんな僕を、事務官も瞬きもぜずに、見返してくる。


「そなたは、悔いているのか?」

「……はい。できることなら、家族との関係を、周囲の人との関係を、修復したいと思っています。……ですが、死んでしまった僕には、無理なことですから……」

「まあ、そうだな」


 事務官は、腕を組み、何かを考えるように、眉間に皺を寄せながら眼を瞑った。


 しばらくすると、パチリと眼を開け、自分の足元に控える小鬼に、事務的に指示を出す。


「小鬼。本日分の認証印を、古森に施しておくように。これから私は、急ぎ地獄へ行き、今回の研修結果を報告してくる」

「畏まりました〜。……あの、小野さま……」


 事務官に向かって、頭を下げた後、珍しく、小鬼は何か言い難そうに、言葉尻を濁した。


 その様子から、何かを察したように事務官は小鬼に向かって軽く頷く。


「分かっている。例の件についても話してくる故、安心して待っておれ」


 事務官の言葉に、パッと笑顔を見せて小鬼は、もう1度頭を下げた。


「ありがとう〜ございます〜」

「良い。私もお前の案に納得しているのだから」


 そう言い、事務官は、僕には内容の分からない話を終わらせると、僕へと向き直る。


「では、古森。しばし、此処で待っているように」


 事務官小野は、指をパチンと鳴らし、ターンをすると、パッと姿を消した。

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