表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥界区役所事務官の理不尽研修は回避不可能 〜甘んじて受けたら五つの傷を負わされた〜  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/95

4.とうもろこし色のヒカリの中で

4ー8

 小鬼は、フフっと笑いながら、水面に手を入れてバシャバシャと水の感触を楽しんでいる。


「でも、三途の川なんかでは、さすがにこのように、水に触れることはできないんですよ〜。触れてはいけない決まりがあるのです〜。それに、この川のように、流れを感じることもないですね〜。ただそこに、大量の水があるって感じで……。やっぱり、生きてるって感じるのは、現世の水だけです〜。といっても、僕は、現世へは行ったことがないので、僕が知っているのは、この体感ルームに現れる川や海だけ、なんですけどね〜」


 目の前の川の流れに、さらさらと流れ出るように、小鬼の口からは、川への思いが流れ出る。いや、それは、現世への思いだろうか。


 確かに、ここのように、大きな川や、海を眺めて居ると、流れに心を洗われるのか、無心になれるし、流れを眺めているだけで、楽しくもある。僕も、近所に流れる川を眺めるのが好きだった。


「小鬼たち、冥界区役所の職員が、現世へ行くことはないの? 仕事とかで? う〜ん。例えば、迷信だと思うけど、現世では、『死神が命を取りに来た』とか言われたりするよ。そう言うのは、区役所の仕事ではないの?」


 小鬼はキョトンとしながら、僕を見上げる。


「古森さんは、区役所のお仕事に興味がお有りなんですか〜?」

「いや、そういう訳ではないけれど、もしも、そう言う仕事があるのなら、小鬼にも、現世の川や海を見る機会があるのかなぁと思ってさ」


 僕の言葉に、小鬼は目を丸くして、さらにキョトン顔を濃くする。しかし、それは、一瞬のことで、すぐに、満開の花が咲いたように笑顔になる。


「僕のことを考えてくださるなんて、お優しいんですね〜。古森さんは〜」

「いや、別に、そんなんじゃないよ。ただ、気になっただけ」

「ありがとう〜ございます〜」


 小鬼は、フフっと、はにかむように笑う。


「でも、残念ながら、区役所には、そう言ったお仕事は無いんですよ〜。死神さんはいますけどね〜。また別の管轄のお仕事なのです〜」

「そうなのか……」

「あ、でも、小野さまくらい、上級の事務官になると、特別任務で、現世へ行くことはありますよ〜。僕のような下っ端では、まだまだですが……」


 小鬼は、照れたように片頬をポリポリと掻きながら、土手の上にいる、事務官小野へと尊敬の籠もった眼差しを向ける。


 僕もつられて、土手の方へと視線を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ