4.とうもろこし色のヒカリの中で
4ー7
僕は、足元の小鬼に助けを求める。困った時の小鬼様様。
「自由にって言われてもなぁ。どうしようか、小鬼?」
そんな僕の問いかけに、小鬼は、僕を見上げながら、ウキウキを隠しきれない様子で、胸の前で手を組んでモジモジとしながら、目をキョロキョロとさせている。
「あ、あのですね〜」
「うん。何?」
「もしよろしければ、あちらへ行ってみませんか?」
小鬼の小さな手は、土手の下を指し示している。
「川? 別にいいけど……」
僕の答えを聞くや否や、小鬼は川辺目掛けて、飛び跳ねるように、土手を降り始めた。
チラリと事務官を見るが、腕を組み、まるで待機モードを体現しているかのように、微動だにしないので、多分、ここから動かないのだろうと、判断して、僕は、のんびりと小鬼の後に続いて、土手を降りた。
川岸は、丸みのある小石がたくさんあり、少し歩きにくい。ジャリジャリザリザリと小石同士が擦れる音を聞きながら、水面に手が届く場所まで来ると、小鬼は蹲み込んで、嬉しそうに、水面をパシャパシャと叩き出した。
「楽しそだな。川、好きなの?」
あまりにも、小鬼が楽しそうにしているので、思わず聞いてしまう。
すると、小鬼は、いつもよりもさらに低い位置から僕を見上げ、二ヘラっと笑う。
「そうなんですよ〜。川とか海って、なんかよくないですか〜? 自然を感じるというか……壮大な感じがするというか……、生きてるっていうか、生命体じゃ無いのに、なんか意志を持って動いている感じがして、つい触りたくなってしまうんですよ〜」
小鬼の饒舌ぶりに若干戸惑いながら、ふと、疑問に思う。
「あれ? 宿泊所のある辺りには、何もなかったと思うけど、黄泉の国にも、川や海があるの?」
小鬼は、まだ、水面をパシャパシャとやりながら、軽く答える。
「ありますよ〜。まぁ、現世の海や川とは、すこし異なりますけどね〜」
「ふ〜ん」
「例えば、有名な川ですと、三途の川ですね〜」
「あ、ああ」
何気ない小鬼の言葉が、死後の世界を、唐突に意識させる。思わず、僕の喉がひりついた。
「そうですね〜。後は、地獄の血の池とかが有名ですかね〜」
「い、池じゃん!」
僕の、吃ったツッコミに小鬼は、アハハと笑う。
「ほんとですね〜。池でした〜。他にも、僕は、まだ行ったことがありませんが、天国の桃源郷と言うところにも、素敵な川があるらしいですよ〜」
「そ、そうなんだ……」




