4.とうもろこし色のヒカリの中で
4ー4
「以前にも言ったが、此度の研修は、そなたの人となりを見ることが目的だ」
「はぁ……」
「結果次第では、他の者同様に、救済措置が与えられることになるやもしれんと伝えてあるはずだが?」
そういえば、初めの説明の時にそんなことを言われた気もする。
事務官の鋭い視線に晒されながら、彼の言葉を頭の中で反芻するうちに、僕は、絡まった糸が解けるような感覚を感じた。
額に手を当てて、目を瞑る。解け掛けた糸を緩めるように、頭の中でゆっくりと考えを整理する。
そして、一度糸口が見つかれば、途端に糸が解けるように、僕は、ある考えに突然辿り着いた。
額に当てがっていた手をパッと離し、勢いよく事務官の顔を見る。
事務官小野は、相変わらず、感情を読み取らせない、事務方然とした表情ではあったけれど、それでも、僕には、なんとなく彼が満足気にしているような気がした。
「もしかして、僕は、勘違いを……?」
「言ってみろ」
事務官小野は、細長い指の背で、細眼鏡のフレームをくいっとあげると、腕組みをして、僕の話を聞く態勢をとる。
「もしかしてなんですけど……、5回全てクリアすれば、最恐レベルが回避出来るとは言っていない?」
僕の言葉に、小野は、今度は、しっかりと満足しているとわかる、少し意地悪そうな笑みを浮かべて頷いた。
「そうだ。我らは、五日間の研修を受けよと言っただけ。そなたが勝手に早合点して、騒いでいただけのこと」
僕は、あんぐりと口を開け、しばらく放心してしまった。しかし、そうであるならば、あれほど言っていた最恐レベル行きとはなんだったのか。
「……だけど……」
呆然としながらも、僕が疑問を吐き出そうと口を開きかけると、僕の言葉に被せるようにして、事務官も口を開いた。
「しかし、そなたが、此度の研修を投げ出すと言うのであれば、研修は無効と見做し、即、最恐レベル行きを決定する」
「やっぱり……って、アレ?」
『最恐レベル』という単語に、消沈し掛けた僕は、既ところで、踏み止まり、考える。
「投げ出した場合……? ということは、僕には、まだ、チャンスがある?」
「そういうことだ。全ての研修の結果を受けて、初めて、そなたの処遇は検討される」
僕は、再びポカンとした顔で、事務官小野を見つめる。
そんな視線を、鬱陶しいと言いたげに、事務官は、眉間に皺を寄せつつ、話を続けた。




