4.とうもろこし色のヒカリの中で
4ー3
「しっかりしましょう、古森さん〜」
虚な目で小鬼を見れば、いつものような天真爛漫な笑顔ではないが、それでも、この世の終わりを思わせるような、沈んだ表情でもなく、どちらかと言えば、明るい顔をしている様に見える。
そんな表情を見せる小鬼に、何故なのかと恨めしい疑問が僕の心を占め、それが態度に出てしまった。
「しっかりしろなんて、簡単に言うなよ! 他人事だから小鬼は、そんな簡単に言うんだろうけど、僕の結果はもう決まっているんだろ! 4回目が、クリア出来なかったんだから!」
僕の態度に、小鬼はしばし固まった後、何か言いたげに、僕と事務官小野の顔を、チラチラと見比べる。
事務官は、そんな小鬼の視線に気付いているようだが、表情一つ変えず、僕を冷ややかに見据えていた。
尊敬する事務官の冷ややかな視線の意味を察したのか、小鬼は、ガックリと、肩を落とし、項垂れながら、事務官の足元へと戻って行く。
そんな小鬼の打ちひしがれた後ろ姿を、苛立たしく、視界に収めていると、僕の視線を遮る様にして、事務官が一歩僕に近づいてきた。
「古森、小鬼に八つ当たりするのは、やめろ。そなたが昨日、研修を完遂出来なかったのは、そなたが、自ら動かなかった結果だ。自業自得であり、我らが文句を言われる謂れはない」
事務官小野の、至極真っ当な言い分と、有無を言わせぬ威圧に、僕は口籠るしかない。
確かに小野の言う通りだ。自分の殻に閉じ籠っていないで、もっと自発的に行動していれば、こんな焦燥感に苛まれることなどなかっただろう。
僕は、俯き唇を噛みしめながら、手のひらが白くなる程に、両手を強く握り込む。
僕の様子をしばらく黙って見つめていた事務官は、特に慰める訳でもなく、叱咤するでもなく、ただ、淡々と物事を進めようとしている。
「さて、古森。まずは、そなたに言っておきたいことがある」
そんな、事務官小野の事務的な態度に、反発を覚えながらも、僕は、事務官に従順に従う。
「なんですか?」
「そなたは、先ほど、既に最恐レベル行きが決まった様な物言いをしていたが……」
「そうでしょ! 4回目がクリア出来なかったんだから」
僕は、もう分かり切っている話に、投げやりに答える。しかし、事務官小野は、淡々と事務的に話を続けた。
「それは、そなたの考えであろう。我らの答えを勝手に決めぬように」
「えっ?」




