表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥界区役所事務官の理不尽研修は回避不可能 〜甘んじて受けたら五つの傷を負わされた〜  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/95

3.がとーしょこら色の思い出

3-18

 なんだかんだと言いつつ、僕たちは、ケーキを食べ尽くした。


 紙皿やフォークを処分している咲を見ていたら、ふとある言葉が思い出された。


「あれ? さっき、ケーキは、助言をしたお礼って言ってたけどさ、最初から、僕が処分するって話になってたんだから、お礼にならなくない?」


 僕の言葉に、咲もはたと気がついたようで、片付けの手を止めた。


「あ、本当ですね。そういえば、お水をあげた私に、お兄さんがお礼をしてくれるんでしたね」

「そうそう。でも、お礼はいいから、代わりに、ケーキを処分してくれって言う話だったと思うけど?」

「あ〜なんかもう、ややこしいですね。じゃあ、お水をあげたお礼に、お兄さんは、助言をしてくれたってことにしましょう。ケーキは……」


 咲は、しばし考えてから、ニカっと笑う。


「ケーキは、私たちが出会った記念って事でどうですか?」

「アハハ。なんだよ、それ。記念とか、いるかなぁ?」

「えー。ダメですか?」


 咲は、軽く膨れっ面をして見せてから、プッと吹き出す。


 そんなコロコロと変わる咲の表情を、僕はきちんと目に、そして、心に焼き付ける。僕が出会った、最初で最後の、沢山の咲を、どれ一つ見落とさないように、しっかりと見つめる。しかし、何故だか、視界が霞んでよく見えない。


 そんな僕を不思議に思ったのか、咲は、軽く小首を傾げる。コレは、僕もよく知っている咲の癖だ。


「お兄さん?」

「あ、ううん。なんでもない。ちょっと目にゴミが入ったみたいで」


 そう言いながら、僕は素早く上を向いて、パチパチと瞬きを繰り返す。


「ええ? 大丈夫ですか? 擦ったらダメですよ?」

「うん。大丈夫、大丈夫」


 何度か瞬きを繰り返してから、目を閉じた。目頭に、じんわりと熱を感じる。なんとか熱を落ち着かせてから、顔を正面に戻して、目を開けると、心配顔の咲と目があった。


「もう大丈夫だよ」


 僕は、笑顔を咲に向ける。咲も、安心したように、笑顔を返してくれた。


「あの、お兄さん。私、そろそろ……」


 帰り支度を済ませた咲は、名残惜しそうに言葉を濁す。


「そっか。そうだね」

「あの。また、お話しできますか?」

「う〜ん。それはどうだろう」


 咲と会う事は、もうないだろう。でも、そんな事を言って、寂しい気分にさせることもない。


「《《サキ》》のことは、神のみぞ知る、ってね!」


 僕は、無理に明るい声を出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ