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冥界区役所事務官の理不尽研修は回避不可能 〜甘んじて受けたら五つの傷を負わされた〜  作者: 田古 みゆう


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3.がとーしょこら色の思い出

3-15

 咲はどこを見るともなしに、遠くへと視線をやり、ポツリポツリと話し始めた。


「私、実は、あんまり料理得意じゃないんですよ……」

「うん」

「でも、今日の調理実習は、ちょっと気合を入れました」

「うん」


 咲が胸の内を全て吐き出せるように、僕は、小さく相槌だけを入れる。


「彼、甘いものが好きで……特に、ガトーショコラ が大好きなので……」


 そう言いながら、咲は、手元の紙皿へと視線を落とす。その顔は、どこか少し悔しさが滲んでいる気がする。


 咲の話を聞きながら、僕はあることが気になった。


 確かにアイツは、甘いものが好きだったけど、推しはシュークリームではなかっただろうか。


 そんなどうでもいいことを考えながら、咲の話に耳を傾ける。


「完璧とは言わないけれど、今日は上手く出来ました。だから、彼に渡そうと思って……学校の帰りに、彼の家の前で彼のことを待っていたんです」

「それなら、渡せるじゃないか?」

「それが……帰ってきた彼は、既にケーキの箱を持っていて……」

「どういうこと?」


 咲は、グスッと鼻を鳴らす。


「どうやら、帰ってくるまでに他の女の子から貰ったみたいで……」

「ああ……なるほど」


 相槌を打ちつつも、僕は、なんとなく不思議な思いだった。僕の知っているアイツは、咲一筋だったはずだ。他の女の子からスイーツをもらうなど、そんなことをするヤツだっただろうか。


 僕が考えている間にも、咲は苦しそうに声を出す。


「……め、迷惑だって……」


 その言葉だけは、本当に解せない。


「あのさ、本当にその彼は、迷惑だって言ったの?」

「……はい」


 咲は、またグスッと鼻を鳴らす。


「う〜ん。僕が思うに、家に来てくれた女の子に、話も聞かずに、いきなり、迷惑だって言うことは、あまりないと思うんだけど、何か心当たりは?」


 咲は、ハッとしたように、僕を見る。


「あの、実は……、私を最初に見つけたのは、彼と一緒に帰ってきた、友達だったようなんです」

「うん」

「彼は、その友達に、私とのことを囃し立てられたようで……」

「ああ、なるほど。一応、確認するけど」


 本当なら咲の口からは聞きたくない。けれど、僕は意を決して咲に確認する。


「キミは、その彼と付き合っているの?」

「いえ、幼馴染です。……私は、その……好きですけど……」


 分かっていた事を、自ら確認して、僕の胸は小さく疼く。


 今は付き合っていないようだが、咲と弟の保は、現世では付き合っていた。

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