第七話 初めての戦闘
昨日は色々なことあって
疲れてすぐ寝てしまったが
今日はどうしてもやらなきゃいけないことがある。
いや、どうしてもやりたいことだ。
そう、それは、武器の具現化だ!!
俺達は、朝飯を食べた後
部屋のに戻り、どんな武器にするか悩んでいた。
いや、もうほぼほぼ決まっているんだが...。
朝飯のときにアンドレイさんにスキルの使い方を聞いたが
なんとこのスキル、大体のイメージをすれば
スキルが自動的に足りない部分を補完してくれるらしい。
まあ、その分イメージと多少違うものにはなるらしいが。
それでもだ!
なんて素晴らしいスキルなんだ!!
このスキルを作った創造神様の
靴を舐めて差し上げたいくらいだ!
冒険者として稼げたら
真っ先に教会に募金しに行こう。
「翔はもう決まったか?」
先程から、目をつぶり何か考え込んでいたみたいだが。
「ああ、決まったぜ!!」
俺もそうだが、初めてテレビゲームをプレイする時みたいに
翔の目は輝いていた。
「よし、じゃあ二人同時にやるか。」
「いいぜ、イメージは完璧だ!」
今こそ叶えるぜ、男のロマンを!!
「「心器!!」」
「おはようございます。キーナさん。」
「おはようございまーす。」
ギルドに行くと、キーナさんがカウンターにいた。
ああ、今日も素晴らしいおっぱいをありがとう。
「あら、ユートさんにカケルさん。おはようございます。
今日は、どうされました?」
「今日から早速仕事しようと思いまして。
何か初心者におすすめの依頼とかってあります?」
「そうですねぇ。だいたい皆さん、兎狩りから始める方が多いですね。」
「兎狩りですか?」
「ええ。角兎の討伐依頼です。これは常にある依頼なので、
失敗しても違約金は発生しないですし、何より角兎は最弱モンスターですからね。
初心者の方にはおすすめです。
10匹討伐報酬として銅貨五枚、肉も銅貨一枚で買い取ります。」
う〜ん。硬貨の価値がいまいちわからんな。
「宿で一泊すると大体いくら位なんですか?」
「普通の宿で大銅貨二から五枚位ですかね〜。
因みに、銅貨十枚で大銅貨一枚、大銅貨十枚で銀貨一枚
銀貨十枚で金貨一枚になります。
一応、金貨十枚で白金貨一枚になりますが、普段はまず使わないですね。」
「なるほど、ありがとうございます!」
とりあえず、うさぎを狩りまくれば宿代くらいにはなりそうだ。
「じゃあまずは兎狩りから始めます!何処に行けばいますか?」
「ん〜、割と何処にでもいますが、一番いい場所は正門付近の草原ですかね〜。
森に入らなければ、他のモンスターもあまり出ませんし、一番安全ですね。」
「わかりました。そこに行ってみます!」
「あ、ちょっと待っててください。お二人は渡り人ということですので
ギルドからプレゼントがあります。」
プレゼント?なんだろう。
プレゼントはあ・た・し♡ってやつか?
そういうことなら、喜んで受け取りましょう。
「革の防具と鉄製のナイフです。
あまり良い品ではありませんが、無いよりは全然ましです!」
ですよね。
ってか、防具のことなんて全然考えてなかったわ。
「おー冒険者っぽい!ありがとうございます!キーナさん!」
翔が早速装備している。
これが噂のここで装備していくかい?ってやつか。
「いえいえ、角うさぎといえど立派なモンスターですからね。
くれぐれもお気をつけください。」
「ありがとうございます!」
胸当て・肘当て・膝当てだけの簡単な防具だが
これだけでもかなりそれっぽい格好になった。
よし、いざ兎狩りへ!
正門を出ると草原が広がっていた。
キーナさんが行った通り、草原の先には森があった。
あまり森に近づき過ぎないようにしよう。
「じゃあ、早速兎を探すか!」
「おう!狩りまくってやるぜ!」
う〜ん。大丈夫かな?
仮にも生き物を殺すわけだし...。
俺は、動物好きだからちゃんとやれるか心配だ。
多少の不安を覚えながらうさぎを探し始めた。
しばらくすると、草の中で動くものを見つけた。
(おい、翔。あれじゃないか?)
(っぽいな。まずは俺からいかせてくれ。)
(分かった。)
そういって翔が、角兎の方へ走り出した。
「心器!!」
スキルを使い、二本の刀を具現化させた。
二本とも黒い刀身に、幾何学模様。
うん。かっこいい。
角兎は怯えるでもなく、真っ直ぐ翔の方へ駆けてきた。
そして、翔に向かって角で突こうと跳ねてきて
そこを翔が、刀で横から胴体を切断...。
「え?」
しなかった。
ものすごい勢いで角兎がぶっ飛んでった。
翔はありえない出来事に一瞬驚いていたが
すぐに、兎が飛んでった方に駆け出した。
そして、まだ生きていた角兎を
刀で叩きはじめた...。
あれぇ〜...刀って鈍器だっけ?
しばらくすると、死体を持って戻ってきた。
「お、お前容赦ないな...。」
「いや、俺も最初は生き物殺せるか不安だったんだけどよぉ。
見ろよこの顔。めっちゃブサイクじゃね?」
うげ、まじだ。
こんなブサイクな兎は見たことね―わ。
それになんだろうこの感じ。
ゴキブリでも見ているかのような妙な嫌悪感がある。
これがモンスターってやつなのかな。
そんなことより...。
「てかそれ...。見た目刀の実は棍棒かなんかなの?」
「ちっげーよ!ちゃんと刀のイメージでやったわ!」
とすると、これがキーナさんが言ってたことか。
見た目めっちゃ切れ味良さそうなのに、まったく切れないとか...。
ある意味、ファンタジー武器だな。
「たしかにこれは微妙なスキルかもな。
あんなタコ殴りして、切り傷一つないぞ...。」
「逆にすげーわ。」
これは、俺の方もあんま期待できないな。
「ま、まあ、これから頑張ってスキルレベル上げてこーぜ!」
「そうだな。じゃ次は俺の番だ!」
探し始めるとすぐに見つかった。
角兎めっちゃいますやん。
よし、なんとなく結果は予想できるがいっちょやりますか。
「心器」
俺がイメージしたのは、二丁拳銃だ。
拳銃と言うにはちょっとでかいけどな。
本当は銀色をイメージしたんだけど
なぜか出来上がった銃は真っ黒だった。
そしてこれまたかっこいい幾何学模様。
翔もそうだが、この幾何学模様はイメージしたものではない。
そもそもこんなかっこいい模様イメージできんわ。
スキルの自動補完さんありがとうございます。
この大きさなら普通、反動がヤバそうだが
そこは、ファンタジーさんに仕事してもらおう。
さあ、いざ実践!
先ほどと同じ様に突っ込んでくる角兎に向かってまずは一発。
銃弾は見事に当たり、身体を貫通...しなかった。
「おぉ...。見事なファンタジー...。」
当たったと思ったら、まるで小石を投げたかのように弾かれてしまった。
だが、多少怯んだようだ。
俺はすかさず兎に駆け寄り至近距離で撃ちまくる。
ふむ。弾は八発づつか。
装填ってどうするんだろう。
その瞬間、弾が装填されたのが分かった。
なるほど、イメージってやつね。
そして、また撃ちまくる。
弾を撃ち尽くしたところで、やっと倒せた。
もちろん、至近距離から撃っても貫通しませんでした。
「ふぅ〜。なんとかやれたな。」
「おーやったな!しっかしお前、端からみたら死体撃ちしまくるサイコパスだぞ。」
「うるせーよ。撃っても撃っても全然効かねーんだよ。」
「だろうな。俺のと似たようなもんだ。」
ゴミスキルと呼ばれるだけはあるな。
「なあ、ステータス見てみようぜ!レベル上がってるかも!」
「どうだろうな。兎一匹だぞ?」
流石にそんなんで上がったらヌルゲーだ。
まあ一応確認するけど。
「「ステータス」」
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ユート・カンザキ Lv.1
体力 100/100
魔力 46/50
物理攻撃力 12
物理防御力 8
魔法攻撃力 5
魔法防御力 5
俊敏 9
命中 5
回避 7
適正系統 銀(5) 赤(1) 青(1) 黃(1) 茶(1) 白(1) 黒(1)
称号 【■■■■】 【クズ】 【渡り人】
加護 【創造神の加護】
スキル 万能言語Lv.ー 体術Lv.3 算術Lv.1 心器Lv.1 (1/4)
・双銃 New
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カケル・クミヤマ Lv.1
体力 100/100
魔力 47/50
物理攻撃力 10
物理防御力 7
魔法攻撃力 5
魔法防御力 5
俊敏 7
命中 8
回避 9
適正系統 金(5) 赤(1) 青(1) 黃(1) 緑(1) 白(1) 黒(1)
称号 【■■■■】 【クズ】 【渡り人】
加護 【創造神の加護】
スキル 万能言語Lv.ー 剣術Lv.3 算術Lv.1 心器Lv.1 (1/4)
・双刀 New
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魔力が4減っていて
心器スキルの横に知らぬ間に数字がついている。
しかしスキルの自動補完さん。
名前までつけてくれたんですね...。
うん。ネーミングセンスねぇわ。
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