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第三話 渡り人

「ようこそ!赤の国 フランダルへ!」

おっさんが高らかと言った。



「「おぉーーー」」

今日はずっと驚いてばかりだな。



ドアの先には、中世ヨーロッパみたいな町並みが広がっていた。

辺りはすっかり暗くなっているが、大勢の人で賑わっている。



「すげーな!悠斗!アニメの世界みたいだ!」

「だな!これはたまらんっ!」


こんなに興奮したのは何時ぶりだろうか?

毎日退屈な日々をおくり

生きているかどうかもわからない生活をしてきたが

この世界に来れただけで、全てが報われたような気がした。


大げさかもしれないが、そのくらい興奮しているのだ。



「お〜いお前達、こっちに来てくれ。」

ガイルさんが、小さな建物の前で俺達を呼んでいる。


「ここで、簡単な確認と、お前たちの滞在許可証を発行する。

なに、金はかからないから安心しろ。」


異世界人の対応に慣れているようで

俺達の不安をすぐに解消してくれた。

金なんて一切持ってないからな。

まあ、まだ宿代という不安は残っているが。



「二人共そこに座ってくれ」

なんか、ちょっとドキドキするな...。



「今から、いくつか質問するから

この水晶に手を置きながら答えてくれ。

まずはユートからだ。」


「はい。」



「元いた世界で、殺人、窃盗、暴行などの犯罪行為をしたことがあるか?」

「ありません」

「これからこの世界で、犯罪行為をしようという意志はあるか?」

「ありません」

「よし。問題ないな!じゃあ次は、カケルだ」


え?これだけ?

あまりに簡単すぎる質問に拍子抜けした。


同じように翔にも質問していき

特に何も問題なく、滞在許可証が発行された。



「随分簡単に許可されるんですね...。」

俺達からしたら有り難いのだが、あまりにも警備が緩すぎないか?


「まあな。この水晶は触れているものが嘘をつけば赤く光るんだが

現時点で、犯罪を犯すような人間じゃなければ、問題なしとしている。」


なるほど。便利なもんだ。

さすがは異世界、いきなりファンタジーアイテムにお目にかかれるとは。



「この許可証は十日間有効だ。

それまでに、身分証を発行するか、延長申請をしないと

衛兵に捕まるから、忘れないように。」


おぅ。そこは厳しいんだな。



「身分証って何処で発行できるんですか?」

「一番手っ取り早いのは、冒険者ギルドだな。」

「「ギルド!?」」

「お、おう。15歳以上なら誰でも登録できて、何処の国でも通用するぞ。

ただ、最低限依頼を受けないと、除名処分になるが。」



食い気味に聞いたから、ガイルさんがちょっと引いているが

そんなことはどうでもいい。


やっぱ、異世界ときたら、冒険者ギルドだよな!!

依頼を達成し、お金を稼いで、冒険者ランクを上げる!

まさに、アニメやゲームそのものだ!

今から、テンションが上がってしまう!!



「とりあえず今日は、宿に案内するから

ギルドに行くのは明日にしろ。明日の朝、宿まで迎えに行くから。」

「俺達は有り難いんですが、そこまでしてもらって大丈夫なんですか?」

「な〜に気にすんな!これも仕事のうちだからよ。

ちなみに、宿代のことも心配すんなよ?渡り人用の宿があって十日間はただで泊まれる!」

「まじですか!?」


これは驚きだ。

転移者に対して優しすぎないか?

俺達が驚いていると、ガイルさんが説明してくれた。



どうやらこの世界は、昔から渡り人(所謂、俺達みたいな転移者)が多いらしい。

当時は、渡り人だとはわからず

身分証も金もない奴が突然この国にきて、大変だったみたいだ。

先程、俺達が使った水晶のおかげで

違う世界から来た渡り人として信じてもらえて、街には入れたが

金がないから、食事もできない、宿にも泊まれない。



そんな人間が行き着く先は、大抵犯罪者だ。

なかには、仕事について普通に暮らしていた人もいるらしいが

大半は盗みを働いたり、路地裏で野垂れ死んだりと

治安や衛生が一気に悪くなった。



この事態を重く見た、当時の国王が

渡り人が生活できる様になるまで援助し

犯罪に走ることの無い様、体制を整えたとのことだ。



昔の国王様に感謝だ。

おかげで、俺達は野垂れ死にしなくてすみそうだ。

因みに、あの洞窟から街までの道のでかい壁は

昔の渡り人達が、これからも来るであろう同胞達の安全のために

国王様に嘆願し、作ってもらったとか。

それ相応の、対価があったそうだが。



なんだろう。

皆、いい人過ぎないか?

俺だったら絶対そんなことしないだろうな。



「ってなわけで、お前たちは十日間以内に仕事を見つけて

なんとか生活できるように頑張ってくれや!

俺やカシューができる限りの手助けはしてやるからよ!」


なるほど。カシューさんが頑張れって言っていたのはこのことか。



「わかりました!お世話になります!」

「頑張ります!」


とりあえず、今日はもう寝たい。

腹も減ったが、それ以上に疲れた。



ガイルさんに案内されて向かった宿は

お世辞にも綺麗とは言えないが

野宿するより、遥かにましだ。

朝と夜には飯も出るらしいし。



「アンドレイ!邪魔するぜ!」

ガイルさんが大声で中に入ると、奥から熊のようにでかいおっさんが出てきた。

熊のようにといったが、実際熊みたいな耳が頭の上から生えている。


これが、獣人というやつか。

初めて見て、驚くには驚いたんだが...。

最初の獣人は、可愛い女の子がよかったなぁ。


というか今の所、おっさんとしか知り合ってないぞ...。


「渡り人か?」

「そうだ。金髪の方がカケル、銀髪の方がユートだ。」

「「よろしくお願いします!」」

「おう。飯は?」


翔も俺も、疲労が限界だったので、飯は遠慮した。


「部屋は、階段上がって左の突き当りだ。」

「「ありがとうございます。」」


「じゃあ、カケルにユート、明日の朝また来るからよ!」

「わかりました。今日はありがとうございました。

また明日、よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします!」

「おう!」




「いやー疲れたな。」

「そうだな。それに楽しかったな。」

まだ、特に何もしてないが、それでも楽しかったと感じた。


「明日から早速、職探ししなきゃなぁ。」

「いやいや翔くん。冒険者一択だろ?」

「まあ、そうなんだけどな。」


翔も俺も楽しみすぎて、にやにやしていた。

まあまだ、なれるかどうかわからないんだけどね。

とりあえず、元の世界ではできなかったことをやれたらいいな。



明日から頑張ろう。


物語ってやっぱり書くの難しいですね。

なんとか、書きたい世界を表現できるように頑張ります。

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