第二十二話 休息と準備
今日も仕事になってしまいましたが、
なんとか投稿できました!
いつも読んで頂きありがとうございます!
朝、目を覚ますと、目の前が真っ暗だった。
どうやら、ミーアに頭を抱えられてるみたいだ。
なんて素晴らしい、目覚めなんだろうか。
起こさないように慎重にミーアの拘束から脱出し、
タバコを吸いに外に出た。
今日は狩りを休みにして、良かった。
酔っ払って積極的になったミーアに興奮して、
つい頑張りすぎてしまった。
ミーアにはあまりお酒を飲ませないようにしよう。
「ふぁ〜ぁ。おーす。」
翔があくびをしながら起きてきた。
「よお、随分眠そうだな。」
「いや〜、昨日の記憶があんまりないんだけど、
なんか凄い疲れた気がする。」
エリーに襲われでもしたか?
「今日は狩りを休んで買い物に行くからな。」
「まじか、そりゃ助かる。正直身体がしんどい。」
一体、あの後何があったんだよ...。
朝飯を食っていると、やっとエリー達が起きてきた。
「おはよー。」
「随分良く寝てたな。大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ! 問題ないわ!」
翔が聞くと、なぜか慌てたように返事をするエリ―。
本当に、なにがあったのだろうか...。
「ミーアも大丈夫か? 昨日は大分酔っ払ってたみたいだが。」
「...大丈夫。」
ミーアが恥ずかしそうに返事をした。
これは、あれだな。
酔ってる時のことを思い出して、恥ずかしくなるやつだ。
昨日は随分元気だったからな。
「さて、昨日も言ったが、今日は買い出しだ。
主に、防具や食料だな。」
「防具はわかるけど、食料はどうして?
また、ダンジョンに行くの?」
「その通り! あのダンジョンをレベルが上がらなくなるまで、
周回しようと思うんだ。」
「その通りじゃないわよ...。
あんな目にあったのに、よくそんな気になれるわね...。」
「無理しなくても、森でもいいと思う...。」
エリ―とミーアは反対か。
あんな目にあえば当たり前か?
「まあ、よく考えてみろよ。
この前みたいなことが、ダンジョンの外で起こってもおかしくないだろう?
だったら、経験値的においしいボスを狩った方が早く強くなれる。」
「でも、また大死鬼になったら...。」
「大死鬼になったらもっとうまいじゃないか!
俺達もレベルアップしてるし、弱点が分かってるからな。」
経験値がっぽりだ。
「前から思ってたけど、ユートってバトルジャンキーよね。」
ジャンキーとは失礼な。
俺はレベル上げが好きなだけだぞ。
「とにかくだ。中級ダンジョンに行くにはまだ早いだろうし、
他の初級ダンジョンも大して変わらないだろ?
なら、一度クリアしているダンジョンを周回して、
レベルを上げるのが一番効率的だと思うんだ。」
「はぁ、分かったわ。
どうせなにを言っても、結局行くんでしょうしね...。」
ほう、よく分かってるじゃないか。
「もし、大死鬼になったらエリーの魔法が頼りだからな!」
「しかも、なんで人任せなのよ...。」
「そりゃ、光魔法が効果抜群だからな。」
「はいはい、やればいいんでしょ...。」
渋々ながらも納得してくれた。
まあ、次も大死鬼になるとは限らないけどな。
中鬼の変異種だけでも、十分いい経験値になる。
今後なにがあってもいいように、
しっかりレベルを上げておこう。
「よし、じゃあまずは防具を見に行こう。
普段エリー達は何処で買ってるんだ?」
二人共、魔法職のローブ的なものを着ているが、
中に鎖帷子みたいなのを着ている。
俺達は、Tシャツの上に初心者防具を身に着けているだけだ。
今思うと、よくこんな装備で大死鬼と戦ってたな。
「私達が今の防具を買ったのは、リガロさんの店ね。
武器、防具、防具の下に着る肌着まで揃ってるわ。
この辺じゃ、一番大きいお店かもね。」
へ〜、そりゃ凄い。
この前のダンジョンアタックで、資金は潤沢だからな。
そこで、一式揃えるか。
エリーの案内で、そのリガロさんの店に向かった。
「ここよ。」
そこには、冒険者ギルドより少し小さい建物があった。
店の外から見ても高そうな商品がいくつもある。
「金足りるかな...。」
ちょっと心配になってきた。
「大丈夫よ。ここは初心者用から、玄人向けまであるから。
高いものもあるけど、殆どは手が出せる範囲よ?」
「そうなのか。」
「かっこいいのがいいな!」
翔が興奮気味に言った。
防具か〜。
動きやすければ、なんでもいいな。
正直、武器の方が興味ある。
だけど、心器があるから使わないよな。
「こんにちは〜。」
「おう、らっしゃい!」
エリ―が店に入り声をかけると、
奥から、がたいの良いおっさんが出てきた。
「お、エリーの嬢ちゃんか。今日はどうした?
こないだ、帷子の修理したばっかだろ。」
「今日は、この二人の防具を見に来たのよ。」
「こんちは、翔です。」
「悠斗です。」
「前に言ってた、パーティーメンバーか。
俺はリガロ、よろしくな。」
ザ・武器屋のおっちゃんって感じだな。
「で?どんな防具がいいんだ?
自慢じゃないが、品数はこの辺の武器屋で一番だ。
もちろん、オーダーメイドも出来る。
その分金もかかるがな。」
オーダーメイドか。
別にそこまでしなくてもいいかな。
どうせ、中級ダンジョンにいけるくらいになったら、
防具も更新しなきゃいけなくなるだろうし。
「俺は身軽さ重視で、最低限の防御性能があればいいですね。」
「俺も動きやすいのがいいです! あと、かっこいいので!」
うるさいなこいつは。
「かっこいいかはわからんが、
動きやすさで言えば、レザーアーマーだな。
部分的に金属製にすれば、多少防御力もましになる。」
う〜ん、面倒だ。
命に関わることだから、
慎重に決めなきゃいけないんだろうが、
あんまり、気乗りしないな。
「あんまり高すぎないもので、
リガロさんのおすすめをお願いします。」
「そうだなぁ。ちょっと待ってろ。」
そう言って奥の部屋に消えていった。
「これなんかどうだ? 大猪のレザーアーマーに、
胸・肩・足・篭手は鉄製だな。
そこまで重すぎず、ある程度の防御力がある。」
リガロさんが持ってきたのは、
黒っぽい革のベストに、革のズボン。
金属製の肩当て、胸当て、篭手、膝当てだ。
割とかっこいいな。
もうこれでいっか。
後はこれにインナーとブーツを買えば、
一通り揃うかな?
「じゃあ、それと適当にインナーとブーツをお願いします。」
「即決だな。まあいいんだが。
じゃあサイズを図るから奥に来てくれ。」
身体の測定をして、ブーツと長袖のインナーを選び、
俺の買い物は終了だ。
「随分早い買い物ね。」
「昔から、服とか選ぶのが面倒でな。
店員さんにほとんど任せちゃうんだよ。」
「相変わらずの面倒くさがり屋ねぇ。」
「今度、私が服を選んであげる。」
それは助かる。
服なんて着れれば何でもいいからな。
「頼むよ、ミーア。」
「任せて。」
自信満々に言うミーア。
そんな会話をしている間に、
翔の買い物も終わったみたいだ。
防具はサイズ調整があるから後日受け取りらしい。
「二人は、何も買わなくてもいいのか?」
「ええ、特に必要なものもないしね。」
じゃあ、後は食料関係かな。
エリーの魔力が切れた時用に、薬とかも買っときたいな。
「リガロさん、ありがとうございましたー!」
「おーう。明日の朝には出来上がるからよ!」
「わかりました。また明日来ます。」
さて、次にいこう。
「あとは、食料とか?」
「そうだな。それと薬とかもほしいな。」
「なら、二手に分かれましょ。
私とカケルで食料を買ってくるわ。」
エリーは積極的だな。
そんなに二人きりになりたいのか。
「わかった。じゃあ終わったら宿に戻るって感じで。」
「そうね。じゃあまた後で。」
そう言って、カケルと腕を組んで行ってしまった。
寄り道しなきゃいいけど。
「じゃあ、俺らも行くか。」
「うん。デートだね。」
ミーアもご機嫌のようだ。
こうして、俺達は薬屋に向かった。
「いらっしゃい。おやユートじゃないか。
もう葉巻がきれたのかい?」
やってきたのは、いつもタバコを買う薬屋だ。
しょっちゅう来てるから、
店主のドロテアばーさんに覚えられてしまった。
「それもあるけど、今日は薬を見に来たんだ。」
「そりゃ、珍しいねぇ。
そっちの可愛い嬢ちゃんは初めましてだね。」
「ミーア、よろしく。」
「あたしゃドロテアだ。よろしくねぇ。
しっかしこんな可愛い子どこで、見つけてきたんだい。」
「拾ってきたみたいに言うんじゃない。
うちのパーティーメンバーだよ。」
「それに恋人。」
ミーアよ。
このおしゃべりばーさんに余計なこと言わないほうがいいぞ。
「おやおや、ユートは見た目の割に
どこか枯れてるような感じがしてたが、
恋人とは、驚いたねぇ。」
「余計なお世話だ。」
まったく、今日はいつもよりお喋りだな。
「ユートは昼も夜も元気だよ?」
おい、ミーア。
初めの頃の羞恥心はどこいった。
「アッハッハ! それは何よりだ!
今度、精力剤でも買っていくかい?」
「いらんわっ!」
完全にバカにされてる。
次からは一人で来よう。
「そんなことより、体力や魔力を回復させる薬とかあるか?」
「それなら、向こうの棚だよ。精力剤はそっちだ。」
「だから、いらないっての!」
まったく、ほんとふざけたばーさんだ。
そんなものを店の棚に並べとくんじゃね―よ。
言われた棚には、三種類づつの回復薬があった。
初級から上級まであるらしい。
とりあえず、中級までを四つずつ買うか。
「毎度あり。こんな買い込んで、どこか行くのかい?」
「ダンジョンにな。初級だが、念の為だ。」
「そうかい、ちゃんと嬢ちゃんを守っておやりよ?」
「はいはい、わかってるよ。
ばーさんも、喋りすぎて呼吸困難になるなよー。」
「口の減らないガキだねぇ。精々がんばりな。」
「お互い様だ。じゃ、また来るわ。」
口うるさいばーさんとの会話を切り上げ、店をでた。
「仲いいね。」
店を出てすぐに、ミーアが笑いながら言った。
「どこがだよ。いっつも妙に絡んでくるんだよなぁ。」
「きっと、ユートとのお喋りが楽しいんだよ。」
「どうだかな。」
日中に、ミーアと二人きりなのは、
初めてだった気がするが、割と楽しかったな。
今度は、ちゃんとデートしに出掛けてみるか。
そんなことを考えながら、宿に戻った。
宿に戻ると、すでにエリー達が買い物を終わらせていた。
「早かったな。」
「まあ、食料を買うだけだったからね。」
てっきり、どこかでイチャイチャしてるのかと思った。
どうやら、そんな節操なしではなかったようだ。
「あとは、明日防具を受け取って準備完了だな。」
「そうね。防具を受け取ったら早速行くの?」
「そのつもりだけど、大丈夫か?」
「ええ、問題ないわ。」
「俺も大丈夫だ!」
「私も。」
じゃあ、あとはひたすらレベリングだ。
あと、三つ目の心器もそろそろ考えようかな。
この前の戦いでちょっと思いついたこともあるし。
「よし、じゃあ今日は飯食って、明日に備えて早めに寝よう。
くれぐれも、次の日疲れが残るような、過激な運動は控えるように!」
「わ、わかってるわよ!」
「そんな、しょっちゅうやってるみたいに言うなよ...。」
いや、しょっちゅうどこでもやってるだろ...。
まあ、狩りに支障がなきゃいいけどさ。
ダンジョン周回楽しみだな。
どのくらいレベルが上がるだろうか。
35くらいまでは、なんとか上げときたい。
35を超えるまでは銀の適性はスキルを覚えないって
キーナさんが言ってたからな。
早く、それ以上に上げて、
本当にスキルを覚えないのか、検証しなくては。
ちょっと期待をしつつ、眠りにつくのであった。
読んで頂きありがとうございます。
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