表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/26

第二十話 大鬼

ブックマークありがとうございます!

もし良かったら、評価の方もしていただけると嬉しいです。


気づいたら、3000Pv ユニークアクセスが700を突破してました。

皆様、本当にありがとうございます!

こんなに、たくさんの人に読んで頂けて嬉しいです。


これからもよろしくお願い致します。

 



「中鬼が...大鬼になった...?」

 エリーが怯えた声で言った。


 こいつが大鬼か。

 でかすぎだろ...。

 四メートルくらいあるぞ。



「グォォォォォ!!」



「皆! やるしかないぞっ! エリ―、ミーア距離をとれ!」

 俺達は慌てて戦闘準備をする。



「ユート! 普通の大鬼は赤いはずよ!

 もし、変異種だとしたら強さはBランク相当よ!」



 まじかよ...。

 さっきの声といい、一体どうなってんだ。



「翔、やれるか?」

「やらなきゃ死ぬだけだろ?」

「そうだな。やるしかない。」



「エリ―! 回復用の魔力残しといてくれ! ミーア、援護頼んだ!

 一人でも死んだら全員死ぬぞ!」


「わ、わかったわ。」

「了解。」



「いくぞ、翔。」

「おう!」



「心器・大盾小太刀」

「心器・爪手足甲」



 先程の戦闘と同じく、翔が正面、俺が四方から攻撃。

 レベルアップで魔力が回復しているとはいえ、

 俺達の攻撃が通用するかわからない。



「くそっ、かてぇ!!」

 翔の魔刃が全く効いてないみたいだ。

 それに、大鬼の攻撃も防ぎきれてない。



 大鬼の攻撃は一発一発が重く、

 大盾に当たっても、衝撃を吸収できず徐々に後退している。



 俺の心器もかすり傷程度だ。

 これは、まじでやばいぞ...。



「避けてっ!」

 ミーアの声で俺達は大鬼から距離をとった。



小雷嵐ライトサンダーテンペスト

小炎嵐ライトファイアテンペスト




 距離をとった瞬間、大鬼のいる場所に竜巻が起こった。



「す、すげぇ...。」

 ミーアとエリーの攻撃が重なり、凄まじい魔法になっていた。


 燃え盛る炎の竜巻にいくつもの稲妻が走っている。

 普通、こんなものくらったらひとたまりもないだろう。




「グゥゥゥ...。」


 こいつは普通じゃなかったな...。

 竜巻がおさまり、五体満足の大鬼が膝をついて唸っていた。


 だが、多少は効いているみたいだ。

 身体の表面が焦げている。




雷矢(サンダーアロー)

 すかさずミーアが魔法で追撃する。



 だが、避けられてしまった。

 あの、図体でよく避けられんな。



雷矢(サンダーアロー) 十連」

 今度は十本もの雷の矢が大鬼に向かって飛んでいった。



 すげぇな、ミーア。

 連射なんて出来んのか。



 いくらか避けられてしまったが、何本かは当たり、

 かなり効いているみたいだ。

 やっぱこいつも、魔法がよく効くみたいだな。



「ミーア、残りの魔力は?」

「...もう半分をきった。」

「だよな。しばらく温存してくれ。俺と翔で弱らせる。」

「わかった。無理しないで。」

「おう。」



 ミーアの攻撃で怯んでいた大鬼が立ち上がり、こちらに向かってきた。


「翔、残りの魔力は気にせず、全力だ。」

「了解!」


 先程と同じ様に二人で大鬼に攻撃していく。



「くっ!」

 こいつ、さっきより早いぞ。

 ダメージくらって怒ったか?


 なんとか、攻撃は避けれているが中々攻撃できない。




「ぐぅぁぁ!」


 やばい! 遂に翔が大鬼の攻撃に耐えきれず吹っ飛ばされた。



「エリ―!!」

「任せて!」



 翔が離脱したことで、大鬼の攻撃が全て俺にくる。

 これじゃ、全く攻撃できないぞ...。



雷矢(サンダーアロー)


 ば、ばかやろうっ!  

 今攻撃したら...。


 大鬼がミーアに向かって走り出した。



「ミーアッ!!!」


 間に合ってくれっ!

 纏雷を使い、少しでも速度を上げる。



 大鬼がミーアに拳を振り下ろすその瞬間、

 何とか滑り込みで間に合った。



「ぐっっ!」

 片手だけで、この威力かよ...。


 両手で大鬼の攻撃を防いだが、防ぐだけで精一杯だ。


「ミーア離れろっ!」

「ご、ごめんなさい!」


 ミーアが泣きそうな顔で言った。


 怒ってるわけじゃないから、そんな顔しないでくれ。

 何とか守れてよかったが、こりゃまじで死にそうだ...。




「 魔刃・焔! おらぁぁぁぁ!」

 大鬼がもう片方の拳を振り上げたその時、

 翔が、後ろから双刀で連撃を繰り出した。



 効いていはいるんだろうが、

 倒れる気配が全くしないな。



 一か八か、やるしかないな。



「心器・双銃」

 大鬼が翔に攻撃している間に、

 心器を入れ替え、ありったけの魔力を双銃に込め始めた。



 右手の銃に爆轟弾(デトネーション)を、左手の銃に雷轟弾(サンダー・ロア)を込めた。

 ほとんどの魔力を使ってしまったので、これで決めるしかない。



「翔っ!!」

 俺の意図にすぐ気づいた翔が、大鬼から離れた。



「くたばれ、クソ野郎っ!」

 大鬼がこちらに気づき、俺は引き金を引いた。



 その瞬間、周囲にけたたましい爆発音と雷鳴、強烈な光が広がった。






 くそっ!

 しぶといやつだ!



 土煙が収まると、大鬼が物凄い形相で、

 こちらを睨みつけていた。


 所々、肉が焼けてただれていたが、

 致命傷にはなっていないようだ。



「心器・大盾小太刀」

 間髪入れずに、翔が攻撃を仕掛ける。


 俺も、残り少ない魔力でなんとかやるしかない。

「心器・爪手足甲」






 どのくらい時間がたっただろうか、

 凄い長くも感じたし、短くも感じた。



 回避と攻撃を繰り返していた俺達だが、

 大鬼を倒しきれずにいた。




 なんとか、その攻防を維持していたが、遂にそれが崩れた。


「ぐぅぁっ!」

「がはっ!」



 翔が吹き飛ばされたと同時に、

 大鬼の猛攻に耐えきれなくなった俺も、吹き飛ばされてしまった。



 くそいてぇ。

 骨が何本かいったんじゃねーかな...。



「ユート!」

「カケル!」

 ミーアとエリーが悲痛な声で叫んだ。



雷球(サンダーボール)!」


 やめろ、ミーア...。



雷球(サンダーボール)雷球(サンダーボール)雷球(サンダーボール)!」



 ミーアが必死になって魔法を連発する。

 大鬼は怯みながらも、徐々にミーアに近づいていく。


 遂に魔力が切れたのか、ミーアが膝をついて座り込んでしまった。


「ミーアっ!」

 エリーが翔に回復魔法をかけながら叫んだ。



 くそっ!

 まさか、こんなことになるとはな!




 俺は、何とか立ち上がり大鬼に向かって走り出した。




 そして、さっきの攻撃で肉がただれた大鬼の背中を手刀で貫いた。



「纏雷!!」

「グァァァァァッ!!!」


 大鬼が苦しそうに叫び声を上げた。


「纏雷、纏雷、纏雷!!」

 俺の残りの魔力をくれてやるよっ!



 俺は何度も大鬼の体内に纏雷を流し込んだ。

 大鬼の体から、黒い煙が上がっているが、

 それでも、まだ倒れそうにない。



「ユート! 離れてっ!」

 エリーが叫んだ。

 どうやら、魔法を撃とうとしているみたいだ。



 だけど、体力も魔力も限界に近い俺は、大鬼をこの場に留めるので精一杯だ。



「エリ―! 撃てっ!」

「で、でもっ!」

「いいから撃てっ!」

「っっ!!」


 正直、特に何も考えていないが、

 ミーア達が助かるなら、それでいいだろう。

 これでも倒せないようなら、後は翔に任せた...。



聖光柱(ホーリーピラー)!」

 その瞬間、大鬼と俺の頭上から光の柱が降り注いだ。


 俺の意識はそこで途切れた。














「......ト! ユート!」

 気がつくと、目の前で号泣しながら叫んでいるミーアの顔が見えた。



「ミ、ミーア。無事だったか...。大鬼は...?」

「ユート! よかったぁぁぁ...。」


 ミーアは俺が無事で安心したのか、

 俺の腹に顔をうずめた。


 ミーアさん、肋折れてるかもしれないんで痛いです...。



「無事で良かった...。大鬼は最後の魔法で何とか倒せたわ。」

「悠斗、無茶し過ぎだぜ...。」


 エリーと翔が涙ぐみながら言った。


「そうか、倒せたか。よかった...。」

 今回はかなりギリギリだったな。

 しかし、あんだけ攻撃して駄目だったのに、よく倒せたな。



回復(ヒール)

 エリ―が回復魔法を使ってくれた。


「さっきも何回か回復魔法かけたんだけど、どう?大丈夫?」

「ああ。さっきまで痛かった肋ももう痛くない。ありがとう。」


 起き上がって、体を確認したがどこも痛くない。

 それにしても、エリ―の魔法...。



「エリ―、光魔法も中級になったのか?」

「ええ、そうなの。中鬼を倒した後のレベルアップで覚えたみたいね。」

「そうか、おかげで助かったよ。」

「お礼なんていいわよ。皆無事でよかったわ。」



 ほんとだな。

 何度ももうダメだって思ったが。



「しかし、よく倒せたなぁ。」

「それなんだけど、あいつ大死鬼だったみたいね。」

「大死鬼?」

「ええ。魔法や呪いとかで一度死んだモンスターが生き返ると、

 死霊系のモンスターになるのよ。

 最初、中鬼から黒いもやみたいのが出てたでしょ?

 あれが、死霊系のモンスターの特徴でね。

 ユートの最後の攻撃で黒い煙がでて、そのことを思い出したのよ。

 それで咄嗟に光魔法を撃ったってわけ。

 死霊系には光魔法が凄い有効で、逆にそれ以外にはあまり効果がないの。

 だから、ユートも無事だったのよ。」



 なるほど...。

 そりゃ、あのまま普通の魔法くらってたら死んでるもんな。



「でも、死霊系のモンスターになると言っても

 中鬼が大死鬼に変わるなんて、聞いたことがないわ...。」



 そうなのか...。

 それに...あの声...。

 一体なんだったんだろうか。



「ま、まあとにかく無事で良かったぜ!」

 翔が重苦しい空気を変えるように言った。



「そうだな。皆のおかげでなんとかなったよ。ありがとう。

 ミーアもありがとな。」


 さっきから泣きじゃくっているが、

 俺も無事だったわけだし、そろそろ泣き止んでほしい。


「わ、わたし、なんにもできなかった...。」

「そんなことないって。

 四人のうち誰か一人欠けていたら勝てなかったさ。

 皆無事だったわけだし、もう泣くなよ。な?」

「う、うん...。」


 ミーアの頭を撫でてそう言った。


 少しは落ち着いたみたいだな。





「さて、予想外のことがあったが、何とか当初の目標は達成だ。

 で、どうする?このまま帰るか?」

「う〜ん、多分外はもう夜だと思うから、

 今日はここで一泊していきましょう。」

「それも、そうか。」


 正直、もうくたくただ。

 さっさと眠りたい。


 ミーアが空間魔法でテントなどを取り出し、野営の準備をし始めた。



「ユート、今日はミーアと寝てあげて?

 ミーア凄い心配してたから。」



 今日はって、昨日も一緒だった気がするが...。

 まあ、全然いいんだけど。



「わかった。じゃあエリーは翔とだな。

 くれぐれも静かに頼むぜ? 今日はもうくたくただ。」


「な、なに言ってんのよ!当たり前でしょ!」


 おっと、余計な一言だったか。

 顔を真っ赤にして、翔の方に走っていった。




 そして、水魔法で水浴びをしてから、

 テントに入ってミーアと横になった。



「ミーアが無事で良かったよ...。」

 ミーアを抱きしめながらポツリと言った。


「ユートも無事でよかった。いつも助けてくれてありがとう。」

「お互い様だよ。」




 こうして、初めてのダンジョン攻略はなんとか無事に終わった。




 ステータスは明日確認するか。

 今は、もう寝たい...。


 タバコを吸うのもの忘れ、そのまま眠りについた。






読んで頂きありがとうございます。


ブックマークまだしていないって方

面白い!続きが気なる!と思って頂けたら是非ブックマークを


ブックマークしてくれた方

面白い!続きが気なる!と思って頂けたら下の

★★★★★をぽちっとワンクリックで評価を


励みになりますのでよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ