表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/26

第十九話 予想外

ブックマーク、評価ありがとうございます!


時間を見つけて少しづつ投稿していきます。

どうか、よろしくお願い致します。

 



「さて、諸君! パーティー内のわだかまりも解消されたわけだし、

 ダンジョン攻略といこうじゃないか!」



 食堂に集まり、四人で今日の予定を確認する。

 ミーアもエリーもまだ若干照れているが、

 そのうち、いつも通りになるだろう。



「じゃ、じゃあ、西の森で狩りをしつつ、

 ダンジョンに向かうって感じでいいわね?」


「だな! 悪いが、荷物はミーアの空間魔法で頼む。

 俺達も何とか出来るようにはなったが、魔力消費が激しくて使い物にならん。」

「わかった。」


 お、いつもより素直だな。

 こりゃ、色々結果オーライだ。



「西の森じゃ、中鬼レベルの奴がゴロゴロいる。

 この前大分レベルアップして余裕だとは思うが、

 十分、気をつけていこう。」


「ちょっと、お願いがあるんだけど...。」

「なんだ?」

「私もミーアもこの前のレベルアップで中級魔法を覚えたから、

 ちょっと試させてほしいのよ。」


 おぉ! 中級魔法か!

 ミーア達は今まで援護だけだったが、

 これで、まともに戦闘に参加できるな。


「すごいじゃないか! 

 なら最初は、ミーア達の魔法メインで狩りをしてくか。」


「ありがとう!」

「うん、頑張る。」


 二人も順調に強くなってるな。

 負けないように頑張らなくちゃ。



「よし、じゃあ行きますか!」


 こうして俺達は初のダンジョン攻略に出発した。









「今のところ、小鬼や狼くらいしかいないな。」

 西の森に来た俺達だが、お目当ての敵が中々見つからなかった。


「豚鬼や大猪がいるのは、ダンジョン周辺だからね。

 もうそろそろ出てくると思うわよ。」


「なるほど。」

 早く出てこないかな―。

 最近小鬼程度じゃ全くレベルが上がらなくなったもんな。






「いたわよ。」

 エリーが指差した方向に三匹の豚がいた。


 おぉ、まさにオークって感じだな。

 中鬼と同じくらいでかいが、中鬼よりデブだな。



「心器・大盾小太刀」

「心器・爪手足甲」


 俺と翔はいつでも戦えるように、心器を発動した。



「ではお二人さん、やっちゃってください。」


「任せて!」

「了解。」


雷球(サンダーボール)

火球(ファイアボール)


 二人が魔法を発動すると、いつもの魔法の倍以上の大きさの魔法が、

 豚に向かって飛んでいった。





「これ、俺達の攻撃より威力あんじゃね?」

「そ、そうだな。」


 二匹に当たった魔法で、一匹はバラバラ死体に、

 もう一匹は全身黒焦げになっていた。


 魔法が直接当たらなかったもう一匹も、

 余波で重症だ。



(今後は絶対に二人を怒らせないようにしよう。)

(だな。あんなのくらったら間違いなく死ぬ。)


「なんか言った?」

「い、いやー、凄い威力だな!」

「ほんとほんと! 俺達の攻撃より威力ありそうだ!」


「そう? ありがとう! もう一匹の止めをお願いしてもいい?」

「任せなさい!」



 すかさず俺は残りの豚に心器で止めをさした。

 豚鬼の討伐証明は小鬼と同じく耳らしいので、ついでに回収した。



「この調子だと、初級ダンジョンも楽勝っぽいな。」

「そうだと良いんだけどね。最終層のボスは強いから。」


 たしか、Cランクモンスター並に強いんだっけ?

 そうだとしても、さっきの魔法をくらいまくってたら、

 あっという間にお陀仏だろう。



「とりあえず、さっさとダンジョンを目指すか。

 この辺の敵も問題ないようだしな。」

「そうね!」



 魔法の試し打ちを終えた俺達は、ダンジョンに向かって歩き出した。




 エリーの道案内の元、森の中を暫く進むと、

 大きな洞窟にたどり着いた。


 途中、何度かモンスターに襲われたが、特に問題なく倒せた。



「ここが、一つ目の初級ダンジョンね。」

「ぱっとみ、ただの洞窟だな。」

「見た目はね。中は全く違うわよ。」


 さすが、ダンジョンだな。


「どうする? 早速挑戦するか?」

「そうね。夜の森の移動は危ないし、さっさと行きましょう。

 最悪、ダンジョンの中で一泊するかもしれないけど。」


 それはそれで、楽しそうだ。

 テントやら食料やら、色々揃えたから問題ないだろうし。


「じゃ、行きますか!」

「「「はーい。」」」







 洞窟の中は薄暗かったが、灯りが必要なほどではなかった。

 少し進むと草原の様な場所に出た。



「え、反対側に抜けたとかじゃないよな?」

「違うわよ。正真正銘ダンジョンの中よ。

 ダンジョンの中は全く別の空間が広がっていて、常に昼間のように明るいの。

 まあ、中には薄暗いダンジョンもあるらしいけど。」


 へぇ、凄いな。


「三回層まではEランクモンスターくらいしか出ないから、

 さっさと抜けちゃいましょう。」


「「「了解。」」」



 こうして俺達はダンジョン攻略に取り掛かった。




 草原をしばらく進むと、大きな階段を見つけた。

 途中小鬼やら狼やらに遭遇したが、森にいるやつと大して変わらなかった。

 違うのは、死体が勝手に消えて小さな赤黒い石が残るところだ。


 この石は、魔石というらしく、様々な物の材料になるのだとか。

 ギルドでも買い取ってくれるらしいので、忘れずに回収した。


 階段を降りると、大きな扉が見えてきた。



「この扉の先に、ボスモンスターがいるわ。

 多分、中鬼でしょうね。」

「なら、楽勝だな。とっとと突破しちゃおう。」



 扉を開けると案の定、中鬼がいた。

 翔と俺の心器で瞬殺すると、少し大きめの魔石と

 二つの光る魔法陣みたいなのが出てきた。


「これって、もしかして...。」

「これは、転移門ね。奥にあるのが二階層に、

 手前のはダンジョンの入口につながっているわ。」


「「おぉー!」」

 そんなものまであるのか。

 随分と親切なダンジョンだな。


 まるで、人が攻略することを前提に出来ている気がするが...。


「なあ、ダンジョンってどうやって出来るんだ?」

「出来るっていうか、昔からずっとあるわよ?

 増えもしないし、減りもしないわ。

 神様が作ったって言われてるけど、実際のところわからないわね。」



 神様ね〜...。

 この世界に来る時、変な声を聞いた気がするが、

 あれは神様の声だったのだろうか。

 そうだとしたら、なんて言っていたのだろう。


 未だに、俺達の身体が若返った理由もわからないしなぁ。

 まあ、特に真剣に考えてもないけど。



 考えるだけ無駄か。今後もわからないことは放置プレイでいこう。




「よし、じゃあ二階層に進みますか!」

 考えるのを放棄して、転移門に乗った。


 少しして、魔法陣が光りだすと視界が歪んだ。



 気づくと、最初の洞窟みたいな場所にいた。

 その洞窟を抜けると、今度は森が広がっていた。



「なんか、いつもの狩りとあんまり変わらないなぁ。」

「初級ダンジョンだからね。代わり映えしないわよ。」


 そんなもんか。

 ちょっと期待しすぎてたかもな。



 ちょっとがっかりしつつ、さくっと二階層を攻略し、

 三階層行きの魔法陣に乗った。


 二階層のボスモンスターは大猪だった。

 真っ直ぐ突っ込んでくるだけだったので、

 エリー達の魔法で瞬殺した。




 三階層に着き、洞窟を抜けると、

 これまでと違い迷路の様な場所に出た。



「おぉ! ダンジョンっぽくなってきたな!」

「だな!」


 俺と翔はやっと感じたダンジョンらしさに興奮した。



「二人共油断しないでね。今までと違って罠とかもあるかもしれないし、

 出会い頭にすぐ戦闘とかもあるんだから。」


「なるほど、そりゃ油断できないな。」

「さすがエリ―。頼りになるな!」


 仲直りできたからって、随分調子のいいことを言うなぁ。

 エリーの逆鱗に触れなきゃいいけど。


「そ、そんな、大したことないわよ!」


 うん、お似合いだわこいつら。

 めっちゃ喜んでますやん。



「なんか、空気が甘ったるいな。」

「うん。こんなエリ―初めてみた。」


 俺とミーアは生暖かい目で二人を見ていた。





 そんな調子で三階層を攻略していった。

 三階層もゴールを見つけること以外は、

 今までとあまり変わらなかった。



 ただ、弓を持った小鬼とかがいた。

 初めての敵からの遠距離攻撃だったが、

 翔の大盾に簡単に弾かれていた。



 そして、ボス部屋の前にたどり着いた。



「いやぁ、結構面倒な迷路だったな。」

「たしかにね。でも一応マッピングしたから、次は迷わないわね。

 もう一回このダンジョンに挑む意味があるのかはわからないけど。」



 多分、ないだろうな。

 ダンジョン攻略報酬みたいなのが貰えるなら別だけど、

 エリ―曰く、そんなものはないらしい。


 宝箱とか見てみたかった気持ちもあるが、

 割とレベルも上がってるから、良しとしよう。



 三階層のボスは大蛇で、見た目強そうでびびったが、

 ただでかいだけの蛇だった。



 四階層は先程と同じく、迷路だった。

 三階よりは広く感じたが、如何せん敵が弱いので苦にならなかった。


 ボスは豚鬼で、言うまでもなく速攻で終わった。




「順調すぎてなんか怖いな。」

「まあ、本番は五階層のボスだからな、気を引き締めていこう。」



 こうして、特に問題もなく五階層にたどり着いた。



 五階層は今までと全く違って、

 洞窟の先に広い空間があって、そこに中鬼が五匹いた。


「これがボスってわけじゃないよな?」

「違うわ。ボスはあの扉の中よ。」


 エリーがさして方向にボス部屋への扉があった。


「よし、ちょっと数が多いが、いつも通りやろう。」

「「「了解。」」」



 まず、エリーとミーアの魔法で牽制。

 牽制と言っても、二匹死んだが。


 その隙きに俺と翔で一匹づつ相手をして、

 最後の一匹をエリー達が倒した。




「ふぅ。中鬼が5匹いても余裕だな。」

「そうね、大分レベルも上がったみたいだし。」

「後は、五階層のボスだけだな。」

「その前に、ちょっとここで休憩してくか。

 他に敵もいなさそうだし。」


 どのくらい時間が経ったかわからないが、腹が減った。


「そうね、万全の状態で挑みましょう。」



 エリー達が買ってきてくれた、保存食を食べて、

 少し、身体を休めた。



 保存食は、黒いパンや干し肉だったが、

 お世辞にもうまいとは言えない味だった。




 一時間くらいだろうか?

 休憩をとった俺達は、最後のボス部屋の扉を開けた。



「皆、油断するなよ。エリーは回復用の魔力を温存しといてくれ。」

「「「了解。」」」



 部屋にいたのは、中鬼だった。

 しかし、いつもの緑色の中鬼とは違い、真っ赤な色をしていた。


 中鬼・変異種って感じか?



「エリ―、ミーア、先制頼む!」

「任せて!」

「分かった。」


雷球(サンダーボール)

火球(ファイアボール)


 ミーア達の魔法が当たると同時に、俺も爆轟弾(デトネーション)を打ち込んだ。



 その隙きに、翔が中鬼に近づいた。

「心器・大盾小太刀」


 俺達の攻撃は効いてはいるようだが、

 致命傷にはなってない。


「心器・爪手足甲」

 俺も心器を変えて翔の援護をする。



 翔が、正面で中鬼の攻撃を防ぎながら小太刀で攻撃し、

 俺は四方から、攻撃と回避を繰り返し中鬼の体力を削っていく。


「カケル! ユート! 離れて!」

 エリーの声で俺達は中鬼から距離をとった。


火矢(ファイアアロー)

雷矢(サンダーアロー)



「グゥァァァッ!!」

 ミーア達の魔法が、中鬼の胸と腹に当たった。


「翔っ!」

「おうっ!」


「心器・双刀 魔刃・焔」


 翔が正面から、燃え盛る双刀で胸を、

 俺は背後から、手刀で腹を貫いた。



 中鬼から力が抜けていき倒れそうになったので、

 慌てて俺達は退避した。



 その後、すぐにいつもの熱い感覚が身体を駆け巡った。




「ふぅ。ちょっと手こずったな。」

「だな。まあでも無事に倒せてよかった。」


「二人共おつかれ!」

「おつかれ。」


 ミーア達が駆け寄ってきた。



「やったわね!これで初級ダンジョン攻略達成よ!」

「うん。嬉しい!」

 二人が珍しくハイテンションで喜んでいる。


「いやぁ、やっぱ二人の魔法があると助かるな。」

「最後の魔法が大分効いてたな!」


「なに言ってんのよ!二人が臆さず前で戦ってくれてるから

 私達は、魔法を撃てるのよ?」

「うん、かっこよかったよ。」



 う〜む、こんな可愛い子に、

 そんなこと言われると照れますな。


 翔もだらしない顔をして照れている。



「まあなんにしろ、無事攻略できてよかった!」

 今日はお祝いだな。










(………い…………よ)



 え?



(.........を............よ)



「お、おい悠斗! 聞こえたか!?」

「あ、ああ。聞こえた...。」


 この声は、あの時の...。



「み、みんな! あ、あれ...。」



 エリ―が指差した方向を見ると、

 中鬼の死体から黒いもやみたいなものが出ていた。



「な、なにこれ...。

 ダンジョン内のモンスターは死んだら消えるはずじゃ...。」


 ミーアが怯えた声で言った。




 黒いもやは中鬼の身体を包み込み、大きくなっていった。

 そしてモヤが消えて、死体だったはずのものが立ち上がった。




 黒い肌に、額に二本の大きな角。

 これは、まるで...。




「オ、オーガ...。」









読んで頂きありがとうございます。


ブックマークまだしていないって方

面白い!続きが気なる!と思って頂けたら是非ブックマークを


ブックマークしてくれた方

面白い!続きが気なる!と思って頂けたら評価を


励みになりますのでよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ