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第一話 刺激的な非日常の始まり

「すげぇ...」

思わず、そんな一言が漏れた。



洞窟の出口はそんなに高くない

崖みたいな場所になっていて

その下には森が広がっていた。



いよいよここが何処だかわからなくなってきたな。

地球上にこんなとこないんじゃないか?

ろくに海外にも行ったこともないから知らんけど...



「まじで、どうなってんだよこれ...」

しばらく唖然としていた翔がどこか嬉しそうに言った。



「さっきまで喚いていた割に随分嬉しそうじゃねぇか」

「いやいや、最初は訳わかんなくて焦ったけど

この光景を見たら興奮せずにはいられないだろう?」


たしかに。

この光景はまるで、よく見ていたアニメや漫画に出てくるような景色だった。

異世界系アニメ好きの俺にとっても、この広大な景色を見て

興奮しないわけがない。



これはあれか?

本当に異世界転移しちゃった感じか?

だとしたら嬉しすぎる!

やっとあんな退屈な生活から抜け出せた!



だがしかしだ。

ここが本当に異世界だとしたら

喜んでばかりはいられない。

この場所が安全とは言えないだろうし。


これが物語の主人公なら

チート能力でさくさく進んで行くだろうが

今の所、そんなものがあるような感じはしない。


力が湧いてくるとか

めちゃくちゃマッチョになったとかもないし

なんなら子供になって前より非力そうだ。



因みにさっき、小声で

「ステータスオープン」とか言ってみたけど

それらしき物は出てこなかった。



こっそり試しといてよかった。

危うく痛いやつになるとこだった。




「ステータスオーップンッ!!」

いたわここに。痛いやつ。

めちゃくちゃ大声で言いますやん。



案の定何も出てこなくて

翔は固まっている。



「さてと...。」

「さてとじょねーよ。頭大丈夫かお前。

やるならやるで、静かにやれよ」

「い、いいだろ別に!俺とお前しかいないんだし!」

「別にいいけどさ...。俺もさっき試したし。

間違っても他の人がいるところで、今みたいな醜態は晒さないでくれよ?」

「醜態言うな!お前もやったんじゃねーか!」

「やったけど、アホみたいに大声でやってねぇよ」

「ぐっ...。」



まったくこいつは本当に後先考えないな。

俺も人のこと言えないけど

こいつよりはマシだ。




「そんなことより

ここが何処だかわからない以上、安全とは言い難い。

とっとと街とか村とかに移動しないと転移初日にあの世行きだぞ?」


街や村があるかもわからないが...


「やっぱり異世界転移的なやつなのかねぇ」

「そうとは言い切れないが、その方が納得できるだろ?」

「まぁ、そうだな...」



とりあえず移動だな。

といっても、この崖どうやって降りようか...



そんなに高くないとはいえ

飛び降りたら確実に怪我する高さだし

ロープ無しでロッククライミングは嫌だしなぁ



他に降りれそうな場所がないか、周りを見渡すと

先程出てきた洞窟の出口の横に、何かがあるのが見えた。



「あれ、看板か...?」

近づいていくと、看板らしきものがぽつんと立っていた。



看板らしきものには、見たこともない文字で

『裏の階段を降りて真っ直ぐ進め』

と書かれていた。



「翔。これ読めるか?」

「なぜか、読めるな。俺は天才だったのか」

いつも通り、翔が馬鹿なことを言った。


俺も読めるが、見たこともない文字だ。

これは所謂、異世界言語スキル的な感じか?

自分のステータスが見れないからわからんし...

そもそも、スキルやステータスがあるかも謎だ。


それよりもだ...

なぜ、こんな看板がここにあるかだ。

「これじゃあまるで、俺らがここに来るとわかってたみたいな感じだな」

いや、『俺らが』というより、『誰かが」と言うべきか...


「スルーかよ...」

翔がボソッと言った。



「お前のボケに付き合ってあたら、日が暮れちまう

どうする?素直にこの看板に従うか?」

「う〜ん、他に降りられそうなとこもないしなぁ。

行くしかないんじゃないか?」


そうだな...

ここが何処なのか。

なぜ、こんな看板があるのか。

なぜ見たこともない文字が読めるのか。


色々気になることはあるが

その答えはここに居てもわからないだろう。



「よし。じゃあ行ってみるか」

「おう!」



階段は、丁度看板の裏にあり

下に真っ直ぐ続いていた。


階段を降りきると

左右に高い壁が立つ通路らしきものがあった。

天井は無く、陽の光が入るので

通路は割と明るかった。


どうやらこの道は

森を突っ切るように続いているみたいだ。



「何処まで続いてるんだこれ...」

翔が通路の先を見つめながら呟いた。


明るいとはいえ、通路が長すぎて先が見えない。


「とりあえず、進んでみよう」

「そうだな」





どれくらい歩いただろうか。

最初のうちは、まだ見ぬ世界に期待を膨らませ

会話も弾んでいたが、流石に歩きすぎて喋る気力もなくなってきた。


多少明るかった通路も

日が落ちてきたのか、薄暗くなってきていた。


もうこのまま、何処にもたどり着かないんじゃないかと

不安になってきたその時、ぼんやりと何かが見えてきた。



「翔、見えるか?」

「あぁ。まさか行き止まりじゃないだろうなぁ?」

「あれは...門か?」


散々歩いてたどり着いた場所が行き止まりかと絶望しかけたが

よく見ると、バカでかい門だった。

門があるということは街があるのか?


「やっと着いたぜー!!」

門に向かって走りながら叫ぶ翔をみて安堵した。

正直不安だったからなぁ。



「いや〜、随分久しぶりだなぁ!」

「っっ!!」


突然の知らない声に驚き、声がした方を見ると

門の端っこに騎士風の鎧を身に纏った、禿頭のおっさんがいた。




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