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第十七話 納得の称号

ブックマーク、評価ありがとうございます!

これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。



あの二人はどこいっちゃったのやら。

もう、外は真っ暗だし、宿に帰ったかな?



「さて、翔くん。どうやって謝ろうか。」

「俺に聞かれても...。そもそもそんな怒るような事いったか?」

「いや、まあちょっと言い過ぎだったのかもしれないな。」

「そうかぁ?いつも言われていることを言っただけじゃね―か。」



まぁ、そうなんだけどね。



「まあ、俺らも大人なんだし、ここはちゃんと謝ろうぜ。」

「今は子供だけどなー。」



ああ言えばこう言いやがって...。



「うるせぇ!! つべこべ言うんじゃねぇ!!

俺はさっさとこんな面倒なこと終わらせたいんだよ!」

「わ、わかったよ...。謝りゃいいんだろ...。

お前、その短気直したほうがいいぞ?」


「お前が怒らせてんだろうが!」



まったくどいつもこいつもイライラさせやがって。

もうなんか謝る気なくなってきたわ。

なんでこんなことしなきゃいけないんだよ。




(やべぇ...。これから謝りに行くつもりなのにこいつめっちゃ苛ついてるやん...。)

翔はやってしまったと思いながら悠斗の後を付いていくのであった。









「女将さん!エリー達戻ってます?」

「あ、ああ、さっき凄い勢いで部屋に戻ってったけど...。」


よし、部屋にいるな。




(なんかあったのかい?)

(いやぁ、ちょっと喧嘩しちゃって...。)

(だったら、早く謝っちまいな。女は怒らせると面倒だよ?)

(そのつもりだったんですが、別のことで俺が悠斗を怒らせちゃいまして...。)

(なにやってんのさ...。何でもいいけどあんまり騒がしくしないでおくれよ?)

(ははは...、すいません。)




翔と女将さんが何か話しているが無視だ。

とっととこの面倒事を解決して、さっさと寝る!






「おい! エリ―! ミーア! いるんだろ!」

ドアをノックして声をかけたが、中から返事はない。



このくそガキがぁ...。



俺はドアを開けて勝手に入った。



「おい!さっきのは一体なんなんだ...よ。」



中に入ると、ベッドの上で泣きじゃくっている二人がいた。



えぇ、どうしよう。怒ってたんじゃないの?

なんで泣いてんの...。



「ど、どうしたんだよ二人共...。」

翔が遅れて部屋に入ってきた。





「おい悠斗、何したんだよ...。」

「な、なんもしてねーよ! 部屋に入ったら泣いてたんだよ...。」

「どうすんだよこれ...。」

「どうしよう...。」




「えーと、さっきはごめん。ちょっと言い過ぎた...。」

「ご、ごめんなさい。」



とりあえず謝ってみたが、特になにも変わらない。

ひたすら、泣いている。



(よし、翔。とりあえず抱きしめてやれ。)

(嫌だよ!ぜったいひっぱたかれるじゃん!)

(じゃあ、他にどうすんだよ...。)

(泣き止むまで待つしか無いんじゃ...。)

(朝になっちまうわ!)



はぁ...。こんな時、世のモテ男はどうするんだろうか。


俺も翔も、元の世界で彼女はいたことはあるが

恋愛そのもが面倒になり、しばらく女付き合いがない。


それに、今までこんなに女の子が泣いているとこ見たこと無いぞ?

そんな、酷いこと言ったかなぁ?




ここでずっと突っ立っててもしょうがないか。



俺はミーアの隣に座り背中を擦ってやった。

翔にも目で促し、エリ―の横に座らせた。




しばらく背中を擦ってると、

エリーが何かをいい始めた。


「......なんて、してない...。」

「え?なに?」



「私達はカケルたちを利用なんてしてない!!」

えっと、なんのことだろうか...。

翔の顔を見ても、なんのこと言っているのか分かっていないようだ。



「そ、そんなこといったっけ?」

「言ったじゃない!!

自分たちの目的の為に仕方なくパーティーを組んでるって!」


あーそんなこと言ってたな、翔が。


翔がやっちまったみたいな顔をしている。



「ご、ごめん。そんなこと本当は思ってないよ?」


そりゃ、そうだ。

俺も思ってないし、翔もつい言ってしまっただけだろう。


「じゃあ、なんであんなこと言ったのよ!」

「つ、つい口が滑ったといいますか...。」

「それに他にも色々言ってたじゃない!」

「それに関しては事実としか言いようがないというか...。」


おい翔、余計なことを言うんじゃない。


「もういいわよ!いつも酷いこと言って悪かったわね!

お望み通りパーティーも解散するわ!」


とんでもないことを言って、エリーは部屋を出ていってしまった。


「あ、おい、エリ―!」

「翔、追っかけて説得してきてくれ。」

「わかった...。」


そうしてエリーと翔がいなくなってしまった。

ミーアは相変わらず俯いて泣いている。


気まずい...。

神様、どうか女の子を泣き止ませるスキルをください。



「えーっと、ミーアもエリーと同じことで怒ってるのか?」


ミーアが泣きながら頷いた。


「俺も翔もついあんなこと言っちゃたけど、

本当にそんなこと思ってないよ?」


反応なし...。


「酒の勢いでつい愚痴をこぼしたというか、

別に、ミーアたちを嫌ってるわけじゃないんだよ。」


お、ちょっと泣き止んできたか?


「二人がいてくれて俺達も助かってるし

これからも一緒に冒険者をやっていけると嬉しいな。」




「...本当?」


おぉ!やっと喋ってくれた。


「本当だよ!二人の魔法にはいつも助けられてるよ!

それに、二人共可愛いしな!うちのパーティーの自慢だよ!」


自慢する相手なんかいないんだけどね。


「うそ...。カケルもユートも私達に全然興味ない。」


ギクッ。


「そ、そんなことないぞ?」

「......。」



えぇ...。まただんまりですか。

別に興味なくてもいいじゃんか。

職場内とパーティー内の恋愛は碌な事にならないってよく聞くぞ?



それとも何か?ミーア達は俺達のことが好きなのか?

そんな訳無いだろう。

特に何かしたわけじゃあるまいし...。



あー森で危ないところを助けたか。



いやそれにしても無いだろう。

こんないい歳したおっさんを好きになるなんて。



...。

今は子供だったな...。




え?そうなの?

好かれちゃってるの?


もう面倒だ、聞いちゃおう。



「もしかして、ミーアは翔のことが好きなのか?」

ミーアは黙って首を横に振った。


「え、じゃあおれ?」


顔を真赤にしてそっぽを向いてしまった。



えぇぇ! まじで!?

そんな素振り一切なかったやん。

むしろ、めっちゃ冷たかった気がするんだけど...。



「...ユートは私のこと嫌いなの?」

めちゃくちゃ小さな声でポツリと言った。


「嫌いではないけど...。」




「私は...ユートが好き...。

ユートはいつも助けてくれる。

森で小鬼に囲まれて死にそうになった時も中鬼に襲われた時も...。

ほとんどの冒険者は自分の命の危険を犯してまで、他人を助けない。

それこそ、護衛の依頼でも無い限り。

怪我した時も何度も大丈夫かって心配してくれた。」



いやぁ、森で助けたのは確実に勝てる相手だったからで

翔も一緒にいたぞ?

中鬼の時もやらなきゃ、こっちがやられてたからなぁ。

それに大丈夫かってのも、ほんの二、三回聞いたくらいじゃ...。



そんなことで惚れてちゃあ、悪い男に引っかかるぞ?

おじさん心配だ。


「まるで...父さんみたい...。」


いやぁぁ。心が痛い。

そんな立派な人間じゃないんだよ俺は。

称号にクズなんて付くくらい

どうしようもない人間なんだから。




さて、なんて言えばいいのやら。

異世界に来てまで、恋愛で悩むとは思わなかった。


恋愛に疲れて、自堕落な生活を送ってたってのもあるからなぁ。



「俺さ、翔も似たようなもんなんだけど、

元の世界で女性関係で色々あって、

恋愛そのもに嫌気がさしてたんだよ...。」


「色々って?」


「そりゃ、色々だよ。浮気をされたり、結婚迫られたり。

一番最悪だったのは、プロポーズしたら既婚者だったってやつだな。

それで相手の旦那から慰謝料だのなんだのって...。

まあ、その旦那は嫁とグルになって、慰謝料を騙し取ろうとしてたんだけどね。」



ってそんなこと言ってもわからないか。

そもそもこんな子供になんでこんな話をしてるんだか...。



「まあ、とにかく、それでしばらく女性との関係を絶ってたんだ。

だから、今日ミーアにそうゆう風に言ってもらって

驚いたと言うかなんというか...。」



「私は浮気なんてしないし、騙したりしない。」



いや、最初は皆そう言うんだよ...。

どうしたもんかなぁ。

ここで、君の気持ちには答えられないなんて言ったら

今後気まずくなるだろうし。


はぁ、なんでこんな悩まなきゃいけないんだ...。

もう面倒臭くなってきてしまった。



いや、まてよ?

もう、好きだって言っちゃえばいいんじゃないか?

そうしたら、ミーアの機嫌も直るし気まずくもならない。

それに、こんな可愛い子に好かれてるんだ。

ここは気持ちに答えてあげるのが男ってもんだろう。


うん、そうしよう。



「俺も好きだぜ、ミーア。」

あれ?

なんか、ただのクズ野郎にしかみえないな...。


「...本当に?」

「もちろんだとも!」

「どこが?」


うっ。

でました、一番面倒な質問。

だが、ここは大人の経験値ってものを見せてやろう。


「普段、落ち着いてるけど、たまに見せる笑顔が可愛くて大好きだ!」

うぁぁ。我ながら、よくそんなことが言えたもんだ。


「...嘘くさい。」

しかも、駄目だった!

ど、どうしよう...。

いや、もうゴリ押しするしかない!



「本当だって! ほら、ミーアも優しいだろ?

俺達に魔法を教えてくれたし、魔法適正の低い俺達ともパーティーを組んでくれた。

それに、小鬼に襲われてた時も、エリーを逃がそうとしてただろ?

そんな、優しくてたまに見せる笑顔が可愛くて大好きだよ!」



それ、さっきも言ったわ...。

テンパって何言ってるかわかんなくなってきた。



「...嬉しい。」

な、なんとかなった!


「さっきは悪かった。つい酒の勢いで思ってもないことを言っちゃんたんだ。

ミーアのことも嫌ってなんかないし、これからも一緒に冒険しようぜ!」


「うん、わかった。ありがとう!」

おぉ、すげえ嬉しそう。

なんか罪悪感が...。

こりゃ、クズって称号も納得だわ。


いやまあ、好きってのもあながち嘘でもないし

良いんじゃないでしょうか...。



とりあえず、ミーアの機嫌が直ってよかった。

今後は余計なことは言わないように気をつけよう。





翔は大丈夫かなぁ。

エリ―めっちゃ怒ってたもんな。



こっちはなんとかなったから、

翔もどうにか頑張ってくれ...。




「よし、じゃあ今日はもう寝よう!

エリーのこともきっと翔が何とか説得してるさ。」


そう言って、部屋に戻ろうとしたら、

ミーアに手を掴まれた。



え?一緒に寝るの?

それは、流石にちょっと...。


いや、もういいか。どうにでもなれ。




精神的に疲れた俺は、場の勢いに任せて、

そのままミーアと一夜を共にした。





すまん、翔...。

あとは任せた。




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