第九話 一悶着と意外な事実
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俺達が兎肉の換金をしていると
若い二人組の冒険者に声をかけられた。
「やあ、君たち。最近よく見かけるけど、その格好を見る限り
駆け出しのEランクってとこかな?」
なんだ?この妙に気取った男は。
初めて話す人には自己紹介しましょうって教わらなかったのか?
「あぁ。そうだけど?」
見た感じ、二十歳前後くらいか?
「毎日毎日、兎を狩ってるみたいだけど、森には行かないのかい?」
全然他の冒険者見かけないと思ってたが、やっぱ森に行ってたのか。
「まだ、レベルが低いからな。地道にやってる。」
「ははは、そりゃ兎ばっか狩ってたらレベルは上がらないだろう!
森に入ってせめて小鬼くらいは狩らないとねぇ。」
「その小鬼って駆け出しEランクが勝てる相手なのか?」
「いやいや、まず勝てないだろうね。」
は?何いってんだこいつ。
じゃあ兎で多少レベル上げしないと無理じゃね―か。
「じゃあ、まだしばらくは兎狩りをするさ。」
面倒になってきたので、さっさと立ち去ろうとしたが...。
「まぁ待ちたまえよ。どうだい?僕らとパーティを組んで森に行かないかい?」
な〜にが、待ちたまえよ。だよ。
生理的に受け付けないタイプだなこいつ。
ちらっと翔を見ると、めちゃくちゃ胸くそ悪そうな顔をしている。
「おいおい、やめとけやめとけ。こいつら、草原で兎と変な武器で戦ってたぞ?
ありゃ、心器スキルだろうな。あんなクソスキルを使うってことは
ろくなスキルも持ってないだろうし、適正系統も対してないんじゃねーの?」
今の会話を聞いていたのか
テーブルに座って酒をのんでいた
ゴリラみたいな男が、話に入ってきた。
今度は誰だよ。
もうさっさとタバコ吸って帰りたいんだけど。
「こんな奴ら連れてったって、囮か荷物持ちにしかならねーぞ?」
「なんだとこの野郎!!」
「翔、やめとけ。」
「だ、だけどよ〜...。」
この手の奴らは相手にするだけ無駄だ。
実際、この男の言っていることは間違ってないしな。
「なんだなんだ図星か〜?雑魚は言い返すこともできねーのか。」
ゴリラ男が笑いながら煽ってたきが、無視して出口に向かう。
「まあ、雑魚は雑魚狩りがお似合いだなぁ!」
ピキッ。
「そのうち逆に雑魚に狩られちまうかもしれねーがなぁ!」
ピキッピキッ。
「まあそうなる前に、お家に帰ってママのおっぱいでも吸ってるかもなあ!!」
ピキッピキッピキッ。
「お、おい悠斗...。落ち着k...」
「んだとぉぉこのクソゴリラァァァ!!!!」
おっと。
落ち着け俺。こんな野郎に構っても碌な事にならんぞ。
どうせ奴らも大した冒険者じゃないだろう。
物語冒頭で主人公に無駄に絡む、酔っ払いの噛ませ犬みたいな奴だ。
自分を落ち着かせるために、タバコに火をつけた。
「あん?やんのかこのクソガキッ!!」
落ち着け落ち着け、ここは穏便に...
「いっちょ前に葉巻なんて吸いやがってよぉ!!オメーが吸うのはママのおっぱいだろぉ?」
「ぶっ殺すっっっ!!!」
心器を発動し、ゴリラ男の顔に銃を向けた。
「やっぱ心器スキルじゃね―か。そんなゴミスキルで俺に勝とうってか?
雑魚の上に、頭もわりーのか!救いようがねぇなぁ!」
そう言いながらゴリラ男が剣を背中の剣を抜いた。
俺の身長くらいありそうな長い剣だ。
今日の狩りで大分減っている残り少ない魔力をありったけ弾に込める。
こいつの言う通り、魔力を込めたところで兎を殺せる程度のスキルだ。
くたばりはしね―だろ。
「頭の悪いお前に教えてやるよ!強者の力ってやつをなぁぁ!!」
マジかこいつ。そんなん当たったら死んじゃうぞ?
俺は、近づきながら長剣を振りかぶってきたゴリラ男の胸を狙って引き金を引いた。
「ぐぇっっ!?」
その瞬間ゴリラ男がカウンターの方に吹き飛んだ。
あれ?
「お、おい悠斗!殺してね―だろうな!?」
「多分...。」
恐る恐る、倒れて動かないゴリラ男に近づくと...。
「うん、生きてるな。予想通り。」
「ウソつけ!!さっきまで焦ってたじゃね―か!!」
「ま、まあ結果オーライってやつですよ...。」
ゴリラ男の防具が壊れているが
見た感じ、大きな怪我はしてなさそうだ。
ふぅ〜。よかったよかった。
さあ、うるさいゴリラも静かになったし
帰りましょうかね。
「なに普通に帰ろうとしてるんですか?」
ですよね〜。
逃げ帰ろうとしたら、キーナさんに止められた。
「何をやってるんですか。」
「す、すいません...。」
怒ったおっぱいも可愛いですね。
「ユ〜トさん?」
「ひっ!」
怒った顔は全然かわいくなかった。
「すいませんでした。」
「はぁ。まあ事の顛末は職員が見てましたし
壊れたカウンターの弁償はゴンザさんにしてもらいましょう。」
あのゴリラはゴンザって言うのか
ピッタリの名前だな。
「それで大丈夫なんですか?」
「ええ。初心者冒険者に絡み、心器スキル相手に剣を抜いたんです。
非は完全にゴンザさんにあります。」
相変わらず、心器スキルの評価低いなぁ。
まあそのおかげで助かったけど。
「でーすーが!ユートさんも気をつけてくださいね!
冒険者同士の争いはご法度ですからね!」
「はい。すいません..。」
「こいつは昔からこうなんですよ〜。切れると何するかわからないって感じで。
困ったもんですよね〜。」
おい翔。なに自分は悪くありませんみたいな感じで喋ってんだ。
お前が最初にあのゴリラに突っかかっていったんだろうが。
「それにしても、さっきの本当に心器スキルなんですか?
ゴンザさん凄い勢いで吹っ飛びましたけど...。」
「ええ、そうですよ。さっきの威力には俺も驚きましたが。」
「そうなんですか...。あぁ、すいません。詮索するつもりはありませんので。
しかし、あれ程の威力なら、森の小鬼相手でも通用するんじゃないですか?」
え?そうなの?
「小鬼と戦ったことがないんで分かりませんね...。」
「まあ、そうですよね。けど、角兎をこれだけ安定して狩れるのであれば
小鬼相手でも、問題ないとは思います。大勢に囲まれなければですが。」
う〜ん、悩むな。
今まで安全第一でやってきてからな。
森に入れば他のモンスターもいるだろうし。
しかし、このまま兎を狩ってても
いつレベルが上がるかもわかんないしなぁ。
「ちょっと考えてみます。」
「そうしてみてください。しかし決して無理はしないように。」
「わかりました。ありがとうございます。」
一悶着あったが、有用な情報を得ることが出来たから良しとしよう。
「しっかし、焦ったなぁ。危うく人殺しになるとこだったぜ。」
「ほんとだよ...。まあ、あんなムカつくゴリラ別にどうなってもよかったけどな。」
同感だ。
「明日からどうするか〜。」
「森に行ってみるか?」
明日から宿を探さなきゃいけないし、その分出費も増えるだろう。
多少貯金はあるが、兎肉の買取だけじゃ全然稼げなくなりそうだしな。
「よし。ちょっと様子を見に行こう。
厳しそうなら、またしばらくは兎狩りだな。」
「そうするか!今度は小鬼を狩りまくろう!」
「安全第一でな。」
「それじゃあ、アンドレイさん。十日間お世話になりました!」
「お世話になりましたー!」
次の日の朝、ギルドに行く前にアンドレイさにお礼を言った。
「おう。あんま無理しないようにな。
金さえ払えばいつでも飯くわせてやるぞ。」
普段寡黙なアンドレイさんが珍しく長文だ。
「はい、頑張ります!」
「また飯食いに来ますね!」
アンドレイさんの飯も美味かったなぁ。
また絶対に来よう。
さて、今日から小鬼狩りだ!
読んでいただきありがとうございます。
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