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9話 買取査定と昇級試験

 あれからギルド近くの宿をとってすぐに休んだ。

 疲れていたから夕飯も食べずに眠ってしまった。


 泥のように眠って疲れを癒した俺は万全の状態で目を覚ました。

 とりあえず森に行って日課の回避をしてからギルドに向かうことにした。


 ◇


「おはようございます、ジャックさん」


 ギルドへ足を運ぶとミラさんが笑顔で挨拶をしてきた。

 かわいいなぁ。


「おはようございます」


「ジャックさんがいらしたら応接室にお連れしろとの事なので着いてきて頂いてもよろしいですか?」


「はい」


 こうして俺はミラさんのあとを着いていき、昨日と同じ部屋に案内された。


「今日は素材買取についての説明と、昇級試験の説明になります。ギルドマスターを呼んで査定の書類と買取金をお持ちしますので少々お待ちください」


 ミラさんはそう言って出ていってしまった。

 昨日の今日だというのに仕事がお早いこと。


「昇級試験って何するんだろうな」


 ミラさんの説明では特に何も言ってなかったな。

 やっぱ試験ということは対人戦になるのだろうか。

 そうなると少し不安だな。

 別にスキルを隠している訳では無いが騒ぎになりそうだ。


 そんなことを考えているとノックの音がした。そして扉が開きハロルドさんとミラさんが入ってきた。


「待たせたね。わざわざすまない。昇級試験の話と買取の話だが、先に買取から話そう」


 ハロルドさんがそう言うとミラさんがジャラジャラと音のする袋を机に置いた。

 中には大量の貨幣が入っている。

 そしてミラさんが紙を渡してきた。


「それが今回君が持ち込んだ魔物の素材の査定結果だ。そしてその袋にはその査定結果の三倍の額が入っている。確認してくれ」


 うわ、この量の確認をするのか。

 めんどくさいけどやるしかない。


 憂鬱な気持ちになりながらも中身をひっくり返し、金貨の枚数を確認する。

 ……うん、確かに査定の三倍あるな。


「大丈夫です」


「よかった。それでもし、ジャック君がその量の金貨を管理しきれないと言うのならギルドの口座に預けるということも出来るのだがどうする? 口座はどこの支部でも使えるから作っておくといい」


 へえ、確かにそれは便利だな。

 アイテムボックスにも容量はあるし、あまりたくさんのものを詰めて、いざと言う時に使えないのは困るしな。

 じゃあ半分だけアイテムボックスに突っ込んで、残りは預けておくか。


「じゃあ半分だけ預けます」


「分かったすぐに手続きしよう。ミラ」


「はい、ジャックさん。ギルドカードをお預かりしますね」


 ミラさんはそう言って俺からギルドカードを受け取ると手続きのために部屋を出ていってしまった。


「それで昇級試験の話だ。君の実力を考慮してCランク昇格試験を受けてもらいたいのだが、都合のいい日はあるか?」


「いつでも大丈夫です」


 今のところラトビアから出るつもりは無い。

 ここは神殿もあるし、安定するまではこの地で修行するつもりだ。


「分かった。こちらから追って連絡するからそれまでは好きに過ごしてくれて構わない」


「はい」


 話すことも無くなったので沈黙がこの場を支配する。

 男二人で黙りは中々絵面的にしんどいな。


「そういえばギルバート……さんはどうなったんですか?」


 ならば俺が話題をふってやろう。

 あのクソ野郎の末路。

 俺にも聞く権利くらいはあるはずだ。


「そうだな。ジャック君は聞く権利がある。昨日の今日でまだ正式に発表された訳では無いが、ギルバートは解雇することになる。ギルドは基本中立をとる。依頼の斡旋以外でランクを持ち出すことは厳禁だ。ましてや冒険者登録をしたばかりだから不正をしたと決めつけるのは仮にもギルドのトップに位置する人間のすることではない」


「新しいサブギルドマスターはどうなるんですか?」


「王都本部のギルドから職員が送られてくるはずだ」


 本部から新たに配属か。

 まともな人が来てくれるといいな。

 じゃないとハロルドさんが過労死しそうだ。


「何度も言うがうちの職員が本当に申し訳ないことをした。謝って許されることではないがこの通りだ」


 ハロルドさんが頭を下げてくる。

 部下の責任は上司の責任と言うが、ここまで来ると不憫に思えてくるな。


「頭を上げてください。終わったことです。もう気にしてません」


 ギルドはちゃんと対応してくれたし、今後このようなことを起こさないことも約束した。

 それで充分だろう。


「ジャックさん、手続き終わりました。入金や引き出しの際はギルドカードを出していただき声をかけていただければ行えます。また、カード左下に書かれた口座番号を用いて第三者からの振込が可能になります。是非ご利用ください」


 開けっ放しだった扉からひょっこり顔を覗かせたミラさんが口座の説明をしてくれた。

 口座番号で他の人から振込が出来るのは便利だな。


「じゃあ昇級試験の日程が決まったらまた連絡する。それまでは定期的にギルドに顔を出してくれると助かる」


「分かりました。では俺はこれで失礼します」


 話も終わったようなので応接室を後にする。

 せっかくギルドに来たけど、今のところ受けたい依頼もないし、最低限用事は済ませたし今日はもういいかな。


「神殿でも行くか」


 イルミナスと戦って判明した弱点もある。

 それをゼロノス様に話してみようと思う。



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