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11話 弱点と調整

「俺の回避、精神攻撃は回避できないことが判明したわ」


「ほう、それは興味深いの」


「拘束といい、幻覚といい、回避できないものが多くて大変だな。スキルを使い続けたらいづれは避けられるようになるかな?」


「そもそも精神攻撃を避けるというのは不可能じゃないかの? さすがにそれは回避スキルの範疇を超えておると思うのじゃが」


 確かにそれはそうだ。

 だが俺の回避は特別製。

 ゼロノス様もびっくりの進化を遂げている。

 不可能と言い切るにはまだ早いぜ。


「あとさ、その幻覚かけてきたのイルミナスって魔物なんだけど、あれに一回捕まっちゃったんだよね。あのまま拘束されてたら死んでたわ」


「なるほどの。確かにそれはジャック君の攻略法じゃな」


「他にも回避できないものがあるなら先に知っておきたいんだよ。だからちっとばかし協力してくれないか?」


「別に構わんぞ。アルマもそれでいいか?」


「私は全然おーけーだよっ」


 ここにいる神は協力的で助かるな。


「そうじゃな。では片っ端から試していくかの」


 こうして俺の弱点を探る実験が幕を開けた。


 ◇


 ◇


「あー、意外と避けられないものってあるんだな」


「ふむ、確かに思っていたより多かったの」


「逆にそれ回避できるのっていうのもあったけどね」


 そうそう。意外なものが多かったな。

 まず魅了、これは回避できなかった。

 次に睡眠。これも無理。

 気絶も同様に無理。

 しかし、石化。なんとこれは回避出来た。

 さらに暗闇などの視界を奪うものも回避出来た。


 何が基準がさっぱりわからん。


 そして実験は続いた。

 俺はイルミナスに拘束されたまま攻撃をされたが回避で拘束を抜けることが出来た。

 そのため状態異常中でも回避は発動するのかというところに焦点を当てた実験も行った。


 これに関しては結論はすぐに出た。

 答えは回避出来る、だ。

 睡眠や気絶など意識のない状態であったとしても俺の回避は見事に発動した、らしい。

 俺の意識はないから全部聞いた話だけど。

 まあ、ゼロノス様とアルマ様が言うんだから間違いはない。


 寝てる間に襲われるなんてことがあっても安心だ。

 ただし、攻撃に限る。


「対策ってなんかあるか?」


「耐性がつく魔道具を身に付けるしかないんじゃない?」


 まあ、そうなるよな。

 だが簡単に言ってくれるなアルマ様。

 魔道具は高いんだぞ。


「錬金術で作ればいいじゃん。指輪とか首飾りとか」


 なるほど、あなたは神か。

 このくだりは二回目になるな。


 だがないものは作る。

 それが錬金術の真骨頂だ。

 毎度毎度名案を出してくれるアルマ様には頭が下がるばかりだ。


「今度アクセサリー作りにも手を出してみるよ」


「うん、頑張ってねー」


「おう、あとさ、拘束ってどう対処すればいいと思う?」


 正直拘束が一番の死活問題だ。

 何としても対策したい。


「ジャック君の回避は自傷行為には反応するのかの?」


「自傷?いや、試したことは無い……いや、待てよ。俺、料理してる時に指を切ったことがあるぞ」


 寝ぼけてざっくりやってしまった。

 思い出しただけで痛い。


「ふむ。では自傷行為には反応せんか。自傷で回避が作動するなら、指輪の内側に針を仕込むとかが出来ると思ったのじゃが……」


 ゼロノス様の案が採用出来ればよかったけどやっぱりダメか。

 そう上手くはいかないよな。


「手っ取り早く仲間をつくれば?」


「仲間?」


「そう。いざと言う時にジャックを攻撃してくれる仲間」


 それ仲間か?と問いたくなる文面だがやはりアルマ様は冴えてるな。


「確かに回避は味方の攻撃にも反応するからな。アルマ様天才かよっ!」


「ふっふーん。そうでしょー」


 アルマ様なドヤ顔で胸を張っている。

 ああ、圧倒的まな板……

 悲しくなっちゃうからそれ以上はやめてくれ。


「む、なんか失礼なこと考えたでしょ?」


「ソ、ソンナコトナイヨ」


 女性はやはり男の視線には敏感なのか。

 アルマ様は女性って感じしないけど。


 とりあえず弱点の把握はだいたい済んだな。

 あとは昇格試験に向けてのスキル調整だな。


「ゼロノス様、スキルのことなんだけどさ。HP1で止めるんじゃなくて、反射ダメージを与えるか与えないかのオンオフを自分で切り替えれるように出来ないか?」


「ふむ、出来るがどうしてじゃ?」


「ギルドの昇格試験で模擬戦をやるかもしれないんだよ。さすがに模擬戦でHP削るのはまずいかなって」


 別にスキルを隠している訳では無いが、何分信憑性が低い。

 こんな眉唾物のびっくりスキル、誰が信じてくれるだろうか?


「なるほどのう。確かに一理あるの」


 そう言ってゼロノス様はいつもの如く俺の頭に手をかざした。


「よし、終わったのじゃ」


「ありがとう。じゃあ用事も済んだし俺はこれ――」


「待たれよ」


 知らない声が聞こえた。

 あー、このパターン知ってるぞ。

 アルマ様の時みたいにまた帰れないやつか。



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