表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/14

10話 俺はロリコンじゃない

 改めて回避も万能ではないことが分かった。

 俺がイルミナスに勝てたのは運が良かったからだ。

 イルミナスが俺を拘束したまま特に何もしなければ俺は餓死していただろう。


「命拾いしたな」


 俺の弱点も浮き彫りになってきたところだし、対策を考えないとな。


「おや、君は……」


「あ、どうもこんにちは」


 いつぞやの神官さんだ。

 相変わらず爽やかな笑顔だ。

 俺が女だったら間違いなく惚れてる笑顔だ。


「今日もお祈りかい?」


「まあ、そのようなものです」


 俺は神殿に来ていた。

 もちろん祈りの対象はゼロノス様だ。

 スキルをもっと詳しく知りたいのと、あとは少し調整してもらいたいこともあるからだ。


「じゃあ行っておいで。あなたに神のお告げがあらんことを」


 いい人、いや、綺麗な人だ。

 汚い人間を見たあとだからそう見えるだけかもしれないが、この神官さんは素晴らしい人だ。


「ありがとうございます」


 俺は一言お礼を言って神様の像が祀られてるエリアに向かう。



 おお、やはり何度見てもこのゼロノス様像はクオリティが低いな。

 本場の味を知るとパチモンでは物足りなくなるあれと一緒だな。


 おっ、これはアルマ様の神像か。

 これはなかなか。

 ちんちくりんさを巧みに表現しているな。

 見た目は完全にロ――おっと、突き刺すような視線を感じたからこれ以上はやめておこう。


 さて、以前と同じようにゼロノス様の神像の前で膝をつき、祈りを込める。

 そういえばいつでも神界に連れて行ける訳では無いって言ってたけど今回はどうなるかな?

 何だかんだ連れていってくれるのだろうか?


 おや、反応がないな。

 うーん、忙しいのだろうか?


 アルマ様の神像に祈れば何か分かるだろうか?

 俺は立ち上がり、アルマ様の神像の前に移動した。


(アルマ様ー、聞こえますか?)


(あれ? この声はジャック? どうしたの?)


 おお、声が届いた。

 頭の中にアルマ様の声が直接響いてる。


(今ゼロノス様っていらっしゃいますか? つい先程祈りを込めたのですが何も反応がなかったので)


(あー、ゼロノスね。分かった)


 それっきり声が聞こえなくなった。

 ゼロノス様に取り次いでくれてるのだろうか?


 すると突然俺の体は見覚えのある眩い光に包まれ、謎の浮遊感を感じた。


 ◇


 ◇


「いや、ゼロノス様もそうだけど、連れてくるなら先に一言言えよ! 毎度毎度びっくりするんだよ!」


「あははー、ごめんごめん」


 くそっ、悪びれもせずに笑ってるくせに中々かわいい笑顔じゃねえか。

 俺にロリコンの趣味はないが、妹みたいでなんかいいな。

 何度も言うが断じて俺はロリコンじゃない。そこだけは分かってくれ。


「ゼロノスなんだけどもう少ししたら来ると思うからそれまで私とおしゃべりしよっかー」


「おしゃべりって、別に構わんが何を話すんだ?」


「ほら、せっかく神を前にしてるんだから気になることでも聞いてみれば? 大体は答えてあげるよ」


 ほー、神ともあろうお方がなんとも太っ腹な。

 せっかくの技神様だ。

 遠慮なく聞かせてもらおう。


「じゃあ錬金術って何が作れるんだ? 今はポーションしか作ってないが、他にも色々と作ってみたい」


「おっ、いい事聞くじゃん。錬金術も色々と作れるものは多いからね。ジャックはまだポーションしか作ってないんでしょ? それなら毒薬とか麻痺薬とか作ってみれば?」


「いきなりそんなもんに手を出して大丈夫か?」


「大丈夫でしょ。確かに慣れないと失敗して暴発するかもしれないけど、ジャックの回避は麻痺と毒にも反応するんでしょ?」


 なるほど。

 こいつ、賢いな。


「それ、いいな。俺の戦闘パターンが広がるかもしれない」


「どういうこと?」


「煙とか霧状の麻痺薬や毒薬を作って敵に近づいて瓶を割れば、俺は範囲外に逃げられるだろ? 即効性があって、あまり蔓延しないものを作れれば使えるかもな」


「あー、いいかもね。ジャックも中々悪知恵が働くね」


「俺のスキルは後の先をとるものだからな。こっちから仕掛ける手段を探してたんだよ。いや、アルマ様がいい案を出してくれて助かった」


「普通に武器持って戦えばいいじゃん」


「いや、せっかく奇抜なスキルを貰ったことだし、回避を極めるのもいいと思ってな」


 成人してスキルを得て以来、このスキルに慣れすぎてしまった。

 武器無しでダメージを通せるならそれに越したことはないしな。


「あっ、来たみたいだよ」


 ゼロノス様か。

 結構遅かったけど、何してたんだ?


「ジャック君。祈りに応えてやれなくてすまなかったの」


「別にいいけど、何してたんだ?」


「武神に用があっての」


 へえ、武神か。

 どんな神様なんだろう。

 機会があれば会ってみたいな。


「それで一体なんの用じゃ?」


「スキルについて聞きたいことと頼みたいことがある」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ