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そして伝説に、ならない……  作者: 蒲生たかし
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レベル2 棍棒【武器】

レベル2 棍棒【武器】


「おお勇者よ、死んでしまうとは何事じゃ!」


俺は蘇り王様の前にいた。


「魔王討伐の旅にも出ず、薬草作りに精を出すとは、勇者としてしっかりと自覚を持つのじゃ! だいたいわしが送った使いの者を……」

この後、小一時間王様から説教を受けた。


生き返ってそうそうなんてこった。


「……とにかく、魔王を討伐するのじゃ! 行け勇者よ!」


なんとか小言を聞き流し王の御前を後にした。


まずは死んだ仲間を生き返らさないと、棺桶三つは重くてたまらない。

王宮の神父に金を払い仲間たちを生き返らせた。


そしてパーティを再編成した。

さすがに商人3人とでは魔王を討てる気がしない。

当初のパーティ「勇者、戦士、僧侶、魔法使い」に戻した。


全滅して資金が半分になったとはいえ、薬草ビジネスで得た莫大な資金が俺にはある。

戦いには、まずは武器! と、早速武器屋に向かった。


街の中心地にある武器屋に入ったものの、地方都市の武器屋という事で品揃えがあまりにしょぼかった。


「店主! この店で一番高い武器を出してくれ! 金ならいくらでもある!」


そう言うと俺は金の入った袋をカウンターの上に叩きつけた。


店主は奥からひと振りの棒を持って来た。


「若いの、これがこの店の最高級品だ」


それは一本の棍棒だった。


「おいおい、ただの棍棒じゃないか」


俺の言葉に店主はフッと笑った。


「これだから素人さんは。いいかい、この品はさる名工の作、しかも伝説の戦士のサイン入りだ!」


「な、なんだって!?」


同行しているパーティはもうすっかり飽きて店の角に座っていた。


「で、いくらなんだ?」


「まぁ、これくらいだな」


店主が示した金額は普通の棍棒の1,000倍ほどの値だった。


「よし、買おう!」


同行のパーティはすっかり呆れ果てていた。


「早速、装備して行くか?」


「当然だ!」


俺は『さる名工の作であり伝説の戦士のサイン入りの棍棒』を装備した。


なんだろう、この沸き立つ気持ちは、この棍棒で俺は飛躍的に強くなった気がする。


なんといっても名工の作! しかも伝説のサイン入りだしな!


それにしても、なるほど惚れ惚れする一品だ、肌触りといい重さといい、正に名工の作。


棍棒に頬擦りする俺からパーティがなぜか距離をとって歩いているが、気にはしない。


「よし、街周辺の魔物を狩りに行くぞ!」



戦闘が始まった。


「おい、勇者! さっさと加勢しろ! すごい棍棒持ってんだろうが!」


「馬鹿言うな! こんな名品、傷でも着いたらどうするんだ!」



そして、俺たちは二度目の全滅を経験した。

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