レベル1 薬草【アイテム】
レベル1 薬草【アイテム】
父は勇者だった。俺が幼い頃、魔王討伐の旅に出るも消息を絶った。
勇者の息子という事で、今度は俺が旅立つ事になった。
王様から呼び出され、はした金と初期装備をいくつか渡された。(いや、もっとさぁ、金か使える武器を……しょっぱすぎだろコレ)
酒場で戦士の女と僧侶の女、魔法使いのジジイを仲間にした。
すべて女のパーティにしたかったけど、あいにくと魔法使いだけは女がいなかった。
街を出て初めての戦闘で傷つき、道具屋で買った薬草を食べた。
!!
不味い! これがとにかく不味い。
食べられた物ではなくすぐに吐き出してしまった。
「ほっほ、良薬口に苦しじゃよ」
魔法使いのジジイがそう言った。
「じゃあてめえが食べてみろ!」
俺はそう言うと、そのジジイの口に薬草をねじ込んだ。
「わしはいい! 傷ついてないし! ほんといいって!! うごぉっ!」
ジジイも即座に吐き出した。
「何が口に苦しだ」
しかし、なんということだ、この薬草の不味さは冒険の旅の命運さえ左右しかねない。
その時、自分のなかで何か雷の様なものが走った!
「そうだ、美味い薬草を売ればボロ儲けじゃないか!」
神の掲示ともとれるこの思いつきに旅の方針が決まった。
それからというもの、魔物退治はそっちのけで薬草集めやその栽培に心血を注いだ。
パーティはいつしか「勇者、戦士、僧侶、魔法使い」から「勇者、商人、商人、商人」となっていた。
そして季節がいくつか回った頃に、それが完成した。
『美味しい薬草』
その反響たるや、世界中から注文が押し寄せた。
あまりの評判に生産が追いつかないほどであった。
商人が会社として組織すべきだから、何か適当な屋号を考えろと言ってきた。
少し考え、意味は無いがなんとなく音の響きで「ロート製薬」という名前にした。
きっと伝説的な大企業に発展するだろう。
※この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません
商売は順調だった。
王様から魔王討伐再開を促す伝令が何度か来ていたが、「それどころではない!」と、使いの者を一括して追い返し続けた。
そんなある日、魔王の軍団が街に攻めて来た。
俺は商売にかまけてレベル上げを一切していなかった。
あっけなくパーティは全滅した。
なんということだ、俺は目的を見失っていた。
ただ、気づいた時にはもう遅かった。




