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第16話〜コッコの里にさよならバイバイ

サブタイトルを少し変更しました。

特に意味はありません。

コッコの里にやってきてから、1年経った。


「あんたがいないんじゃこの里にいてもつまらないし!ヤダし!」


「ぴょ〜。泣かないでよギャルちゃん。また会いに来るからね」


そう、わたしは旅に出ることにしたの。


小鳥に生まれ変わって、色んなことがあった。


1年もお世話になって、出て行くのは正直すごくさびしい。


でも、わたしは小鳥。


体の小さな鳥は寿命もそれなりに短い。


もちろん長く何十年も生きる小鳥もいるけど、でもわたしが生まれ変わったマルモ鳥は長くても10年くらいで死んじゃうらしい。


繁殖力はんしょくりょく旺盛おうせいで、環境に適応する能力が高いからどんなとこにでもいるマルモ鳥。


でも正直マルモ鳥は弱い。


強い繁殖力も、環境適応能力も、弱過ぎて簡単に死んでしまうから。


長生きでも10年。


生まれてから1年しか経ってないけど、『しか』って思えるのはわたしが前は人間だったから。


人間からすれば1年は長いと言えば長いけど、長すぎるってほどでもないと思う。


けど鳥からしたら1年は長い。


人間に当てはめてみればマルモ鳥の1年は10年にも匹敵することになる。


だから、旅に出て、この世界のことをもっとたくさん見て回りたいって思ったの。


(°▽°)


寿命を迎えるまで、コッコの里で生活するのもいいなって正直思う。


ギャルちゃんや里長おじいちゃん、コッコのみんながいる。


コッコとマルモ鳥、種族は違うけど家族みたいにこの1年接してくれた。


だから一生コッコの里で生きていこうかなって。


でも、せっかく異世界に生まれ変わったんだから、知りたいって気持ちもあるんだよね。


それに人間だった時、わたしは何もやってこなかった。


周りに合わせてそれなりに生きて、あっさり死んじゃった。


でもこの世界で、コッコたちのおかげで、小鳥わたしでも変われるんだって知ったの。


色々初めてのことばっかりで、なんとなく生きていた人間の時と違って、生きるために必死なか弱い小鳥になったからこそ。


最期を迎えるまで、精一杯この世界で生きていきたいなって思えたんだ。


だから今日、わたしは1年間お世話になったコッコの里を出て、異世界を旅することに決めたの!


…………。


「あんたと一緒に行けないなんてヤダし〜!」


女の子として心配になるくらいの号泣。


鳥はそんな風に泣いたりしない、というか涙を流して悲しむなんてことないと思ってたけど、ギャルちゃんは人みたいに涙を流してわたしを抱きしめてる。


鳥にだって涙腺はあるし、目の保護のために涙だって出る。


けどこんな風に感情的になって涙を流すのは、なんて考えるだけ野暮やぼだよね。


もしかしたら前の世界の鳥さんたちも悲しい時に涙を流していたのかも。


ギャルちゃん、ありがとう。


わたしがここまで頑張ってこれたのも、世界を見て回ろうって覚悟を決められたのも、ギャルちゃんがいてくれたからだよ。


…………。


「しばらくはあんたの毛づくろいもお預けかぁ」


ようやく泣き止んだギャルちゃんのふわふわな羽毛を流れに合わせてほぐして、整えて、最高の状態に持っていく。


今は最後のモフ納めの毛づくろい中。


1年前と比べてもギャルちゃんの毛並みはよくなった。


羽毛がふわふわツヤツヤで思わず全身を預けたくなっちゃうくらい。


ま、わたしが育てたんですけどね!


(°▽°)ぴょ〜。


毎日毎日ギャルちゃんだけでなくコッコのみんなの羽毛の手入れモフりをしてきたから、腕前はもうプロ級だって自負してるよ。


今ではわたしも立派なモフリスト。


毛づくろいさせたら右に出る鳥なんていないよ〜。


(°▽°)ぴょ〜。


さて、それじゃあ。


「ぴょ〜!(いってきます!)」

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