第112話〜常春からは逃げられない
…………。
「わしはトコハルと言ってな、冒険者をやっておる。今回はトレントの苗木たちをマザートレントに返す仕事を頼まれてな。お嬢ちゃんたちは怪我してないか?」
ぴょ⁉︎
このお爺さんが冒険者?
…………。
歳はたぶん60歳とかそれくらいかな?
旅支度にローブを着てるし、冒険者には見えないよ?
頭はスキンヘッドだし、片目は眼帯だし、片脚は義足だったみたいだし、なんか物凄く普通じゃないよ!
さっきもなんか魔王と戦ってたみたいな事言ってたけど、冗談だよね?
「お嬢ちゃんがルナで、お前さんがマールで合ってるか?」
「ぅん。でも、なんでマールの名前、しってるの?」
(°△°)ハッ!
そうだよ!
従魔登録はしたけど、名前の登録はしてないよ!
依頼を受けて助けに来てくれた冒険者でも、先に森に向かった冒険者であるルナちゃんの名前はともかく、わたしの名前を知ってるのはおかしいね。
なんでこのお爺さんが知ってるのかな?
「んん?ああ、そうだったそうだった。うーむ、お嬢ちゃん、頭の回転がいいみたいだなぁ」
むむむ、なんか怪しいね?
敵かな?
危ない人なのかな?
「ここじゃなんだ。どっか落ち着いて話せる場所にでも移動せんかね?ちょっと話したい事もあるし」
なんか怪しい!
き、きっと変態さんだ!
お爺さんだけど、ルナちゃんに手は出させないよ!
ちょっとだけ眠ってもらうからね!
とぅ!
「ん?なんだ、元気だな」
あ、あれ?
なんで、景色が逆さまに?
ぐるん!
あ、戻った。
って、いつの間にわたし、お爺さんの手のひらの上に乗ってるの⁉︎
い、一度距離を取らないと…
とぅ!
「おっと」
ぴょ⁉︎
と、跳べない⁉︎
ジャンプしても、横に逃げようとしても、その度に空気を蹴ったみたいに反動がなくなって、手のひらから逃げられない⁉︎
「おお、すごい脚力だな。だが、逃がさんよ?」
この人わたしがジャンプしようとするタイミングで手を動かしてるんだ!
「◼️◼️◼️に頼まれて、って言っても通じないか?転生の管理者、もしくは神様だか女神様って言えば通じるかい?」
「ぴょ?(……え?もしかして女神様のお知り合い?それとも地球からの転生者さんです?)」
「お?なんだ同郷か。わしも昔地球から召喚されてなぁ。もっとも、同じ世界線の地球か、そもそも時代が同じかは分からんがな」
一気に疑問がわいてきて、小鳥の頭がパンクしそう!
っていうか、今、言葉通じてた?
まだお話しようとはしてないはずなんだけど…
「ま、色々と疑問はあるだろうし、こっちも話しておきたいこともある。悪いようにはせんから、ついておいで」




