表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/346

第108話〜哀れな悪魔の末路

…………。


(何が起こった⁉︎転移魔法?あの一瞬でか?スキル?いや、今はそれどころじゃない…!)


悪魔族の男は目の前の老人からとにかく距離を取るため、全力で後方に跳ぼうとした。


しかし


「まぁそう慌てなさんな」


「ぐぎぃいぃ⁉︎」


目にも止まらない速さでトコハルの指先が、男の額に生えたツノを摘んでいた。


まるで指先で感触を確かめるように優しく触れている様子なのに、万力でガッチガチに固定されたように動かない。


男は自身の跳ぶ力をツノの一点に受け、あまりの痛みに悶絶する。


「おいおい、悪魔がなんて顔してんだよっと」


ボギンッ!


「⁉︎⁉︎」


人体で最も硬度があり、そして悪魔の命とも言えるツノ。


それをトコハルはあまりにも無造作に、根元からへし折った。


悪魔族の男は、あまりの出来事、あまりの理不尽に呆然とトコハルの手に握られているツノを見た。


「ん?なんだ、思ってたより脆いな。ちゃんと飯食ってるか?ああ、魔素の濃度が薄い所で長期間生活してると脆くなるのか。こりゃ一つ賢くなったのぅ」


悪魔か。


その光景を見ている者がいれば、そう呟いたことだろう。


悪魔のツノは獣人族の尻尾、ドワーフのヒゲ、エルフの耳のようなもの。


それらを失うという事は、それぞれの種族であれば死刑よりも恐ろしい所業と言える。


「ま、頭が残ってりゃ情報は抜き出せるからな。とりあえず寝ときなさいな」


いわゆるデコピン。


軽く指先を弾く動作がなされ、次の瞬間、悪魔族の男の体は数十メートル先の木々を薙ぎ倒していた。


…………。


「さて、こっちはこれで終わりかのぅ。おーい、念のために屋敷の連中の避難を頼む。どうも薬物と魔法で洗脳してるらしいから、少しでも違和感があれば意識奪って縛っときな。あとついでにあの悪魔の回収も」


「はい、トコハルさん!」


「任せて下さい!」


冒険者ギルドから同行してきていたAランク冒険者チーム『雷光』の2人。


トコハルが応援というよりは片付けのために借りてきたのだ。


2人は、憧れの存在を見るようなキラキラとした目でトコハルを見ている。


Aランク相手に雑用を任せるトコハルもトコハルだが、実力主義故に素直に従う獣人の2人。


その後、ギルドからの増援によって悪魔族の荷物は全て回収され、薬と魔法で洗脳されていた領主たちは教会に併設される施術院に運ばれていった。


悪魔族の男は騎士団が改めて捕縛し、尋問される事となる。


…………。


冒険者ギルドを出て僅か半刻で犯人を捕らえ、半日足らずで事件を解決する。


部下からの報告に、相変わらずと言えば相変わらずな師匠の規格外さに笑うしかないシラス。


しかし当のトコハルは苦い顔をしていた。


「管理者……神からの加護持ちの小鳥、か。こりゃ真っ当には終わらんかもしれんなぁ。加護のせいで妙な具合に【神々の試練】が発動せんことを祈るしかないか」


おそらくはルナ、というかマールが巻き込まれていたであろう悪魔による領主の洗脳事件。


それをトコハルが解決した今、【母なる魔樹の森】で起こるのは…


「こっちのがまだ荷は軽かったか?しょうがない、間に合うかは微妙だが…」


転生を司る神(管理者)の依頼は小鳥たちがのんびりと世界を楽しむための障害を取り除くこと。


トコハルは冒険者ギルドを後にし、【母なる魔樹の森】に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ