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第106話〜屋敷に訪れたるは【不滅】の…

「なに?街に人型のトレントが現れた?」


計画も終盤に差し掛かり、あと少しでマザートレントの【魔王化】に伴う隷属化の準備が整うという連絡が届いた矢先だった。


領主同様に洗脳し、情報収集を命じていた兵士の一人が報告してきた。


「ご苦労。持ち場に戻れ」


「はっ」


人型のトレント。


【母なる魔樹の森】の守護者と呼ばれる個体だろう。


あの個体がいるせいで【魔王化】の計画が遅々として進まず、こちらからもトレントの苗木を攫う事で目を逸らさせたりする手間が掛かっている。


本来ならばあの森から直接苗木を攫うのは最終段階に入ってからのはずだったが、違和感を感じ取っているのかここ数ヶ月は森から守護者が離れる事がなかったのだ。


おかげで実験に時間をかけることができたのだが、【魔王化】の計画が進まなければこちらも動く事ができない。


しかし街まで追ってくるとは、中々に執念深い。


時間をかけてトレントの森で苗木を地道に探しては捕まえてを繰り返していたので、いい機会だからと【母なる魔樹の森】から苗木を攫うのは早計だったかもしれない。


ほんの数本程度、森の規模を考えれば誤差の範囲であろうに…


マザートレントを奴隷化する為の儀式魔法はかなり大掛かりなものになる。


最終局面では魔王自らが姿を現し、その大半の魔力を肩代わりすると言えばその規模もとんでもないものになる。


守護者が長期間森を離れたタイミングで行う予定だったが、これではまたしばらく実行できないかもしれなかった。


…………。


男は計画の修正の必要性を感じ、万が一のために今ある研究成果をまとめて送ってしまうことにする。


今回手に入れた2つの苗木を使えば、さらに強力なものを生み出せたかもしれない。


しかしすでにノウハウと資機材はある。


魔王の拠点で続きをすればいい。


マザートレントのすぐそばで育った苗木は、トレントの森の苗木よりも数段質が良かった。


これならばもっと早くから、バレないよう一本ずつでいいから手に入れておけば良かったと思ったが、マザートレントを隷属化することができれば安定して手に入れる事ができる。


男が立ち去った後は部下にでも定期的に薬を飲まさせておけばいい。


もうこちら側の計画は完了間近。


あちら側の計画の完了に合わせて再びこちらにやって来ればいい。


荷物を地下室の転移魔法陣のある部屋に運び込み、最後に厳重に保管してある苗木を取りに戻ろうとして


「悪いが、ここまでだ」


瞬間、男は屋敷の外にいた。

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