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第10話〜戦闘種族コッコ

「コケー!」


「コ、コ、コケ」


「ココー」


「コケコッコー!」


「コケ」


「ココココ」……。


「ぴ、ぴょ〜……(な、なにこれ……)」


森の奥から現れたのは10羽を越えるニワトリの集団だった。


妙に貫禄かんろくがあるというか、熟練じゅくれんしてるというか、まさに猛者もさって感じのオーラが出てる。


ただしニワトリ。


コケコケ。


ピヨピヨ。


(°△°)ええー?


森の中でたくさんのニワトリがいる光景ってなんか違和感ある。


それになんか強者って感じがばりばりしてるんですけど。


なんでかな?


地球のにわとりとの違いは……あ、なんかゴンぶとな眉毛みたいな模様がある!


それのせいで妙な迫力があるんだ。


…………………………。


ニワトリさんたちは巨大なワームの周りでひとしきり騒いだと思ったら、その巨体を取り囲んだ。


そしてあろうことか、ほんの十数羽だけで5メートル以上あるワームを持ち上げてしまった。


「ぴょ…(うそん…)」


ニワトリさんたちは器用に翼を使ってワームを背負って、わっしょいわっしょいって感じでそのままどこかに行こうとする。


「「「「コケッコ!コケッコ!」」」」


「ぴ、ぴょ〜!(ま、まって〜!)」


「「「「コケ?」」」」


ザッ!


って音がしそうなくらいそろった動きでこっちを見てきた!


こっわ(°△°)!


こわいよ!


昔小学生の時お世話したことのある鶏小屋の鶏たちのこと思い出しちゃったよ。


…………………………。


知ってた?


鳥って眼球運動が出来ないから常に首を前後左右に振ってるんだよ?


正確には人間ほど可動域が大きくないんだったかな。


なんと目の大きさが脳とほぼ同じ!


あのピョコピョコした可愛らしい動作にはそんな秘密があったんだね!


(°▽°)


みんなも見たことあるよね、ハトとかが首を前後にフリフリしながら歩いてたり、止まってキョロキョロしてたり。


あれって首を動かすことで安定した物の見方を調節してるんだよ。


以上、豆ちっしき〜!


…………………………。


けどなんか鶏の目って他の鳥より怖く感じるのってわたしだけかな?


う〜ん、その鶏に何度か攻撃されたことがあるから苦手意識があるのかも。


種類によっては大人でもケガさせられちゃうような凶暴な鶏もいるもんね。


というか現に5メートル以上あるワームをたった1羽で仕留めちゃったの見ちゃったし。


前世の鶏とは比べ物にならないね。


そんなニワトリさんたちがみんなこっちを見てる。


こ、怖いけど、お礼はちゃんとしないと!


「ぴょ〜」


……………以下鳥語翻訳……………


「助けてくれてありがとうございます」


「ふん、我は獲物を狩っただけのことよ。助けようと思ってのことではない。礼は不要だ」


「でも…」


「それよりお主は1人だけか?親はどうした」


「あ、えっと、昨日の嵐で巣から落ちて……。下にいたおおかみさんの背中に乗っちゃったみたいで、そのままここまで運ばれて来ちゃったんです」


「帰り道は……分からぬようだな」


「はい…」


「ふむ、口調はしっかりしてるが、まだ生まれたてのヒナか」


「この辺で狼と言えばフォレストウルフ」


「奴らは一晩で相当な距離を移動するぞ」


「見た所、この子はマルモ鳥のヒナだな」


「奴らは、高い所にある巣に卵を産むぞ」


「この森で巣を見つけ出すのは困難だな」


「このヒナが成鳥になる方が早いだろう」


「かといって置いていく訳にもいくまい」


「飛べず、戦えぬヒナなどすぐに死ぬぞ」


「それが弱肉強食の摂理せつりではあるが……」


「ここで会ったのも何かの縁かもしれぬ」


「我らコッコの里にて保護をしてやるか」


「ならば長老にお伺いを立てねばならん」


「ぴ、ぴょ⁉︎」


コッココッコ騒がしかったけど、なんとか話は理解できた。


コッコの里?という場所でわたしを保護してくれる流れみたい。


ママンたちにとって会いたいけど、こんな広い森で巣を見つけるのは難しいのはわたしにも分かる。


それにヒナが1羽で生きていけるほど自然は甘くない。


こうしてわたしはコッコの里に行くことになった。

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